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スタートアップ企業の資金調達方法5選!メリットデメリットも解説

資金調達は、スタートアップ事業を成功させるために重要な要素の1つです。いくつかの方法のなかからメリットやデメリットを見極め、自社に合う方法を選ぶことが重要です。

本記事ではスタートアップ企業が利用できる資金調達の方法やメリット、デメリットを解説します。

目次

国内スタートアップにおける資金調達の状況

実績がほとんどないスタートアップでも、資金調達に成功している事例は多くあります。国内スタートアップにおける資金調達の状況に目を向けると、日本ベンチャーキャピタル協会が発表した「ベンチャーキャピタル最新動向レポート(2022年度)」では、2021年に8,508億円、2022年には8,774億円の調達があったとしています。(参考:「ベンチャーキャピタル最新動向レポート(2022年度)」

この結果からもわかるように、スタートアップにとって資金調達は事業の成功に欠かせない要素であり、今後もその規模は拡大すると見込まれています。

スタートアップが利用できる5つの資金調達の方法

これから市場を開拓し、新しい事業を展開するスタートアップが利用できる資金調達方法は、大きく次の5つに分かれます。

このなかから、事業の状態やステージに合わせて自社に適切な資金調達方法を選ぶ必要があります。ここでは、各方法の内容について詳しく解説します。

アセットファイナンス

アセットファイナンスとは、自社が保有する資産を元に資金調達をする方法です。信用度が低いスタートアップでも資金調達できる方法として注目されています。

特に、ファクタリングは最短で翌営業日に資金調達できる可能性があるため、スタートアップがランウェイ期間を乗り切るために用いることがあります。また、短期間で「人材を獲得したい」「マーケティングに力を入れたい」といった局所的な資金調達にも向いています。

アセットファイナンスについて、詳しくは以下の記事も参考にしてください。

アセットファイナンスとは?メリットや資金調達方法の違いなどを解説

エクイティファイナンス

投資家や投資会社などからの出資による資金調達方法で、エクイティファイナンスと呼ばれています。株式を譲渡することによって出資を受けます。

返済の義務がなく、有益な事業と認められれば、設立して間もないスタートアップでも資金調達できます。一方で、株式を譲渡することになるため、持株比率が低くなったり経営体制が変わったりする恐れがあるでしょう。

エクイティファイナンスについては次の記事で詳しく解説しています。

エクイティ(Equity)とは株主資本のこと!メリットや手順を解説

デットファイナンス

デットファイナンスとは、金融機関や公的機関からの融資によって資金調達することです。融資であるため、経営状況に関わらず返済義務があります。

一方で、エクイティファイナンスのように株式を譲渡する必要がありません。また、利息を損金に算入できるというメリットもあります。

助成金や補助金

国や地方公共団体による補助金や助成金を利用するのも、資金調達方法の1つです。スタートアップの支援や新規事業の促進を目的とした制度も多く存在します。

助成金や補助金は、返済の義務は生じません。募集要項に沿う形で審査に通過できれば、誰でも資金を調達できます。

ただし、自治体により条件が異なる点や、募集期間などに制限があるためタイミングが合わないと申し込みができない点には注意が必要です。

クラウドファンディング

インターネットを通して事業をアピールし、不特定多数の人から資金を募る「クラウドファンディング」も資金調達方法の1つです。

クラウドファンディングは、出資者とスタートアップの両者にとってリスクが少ない方法です。しかし、出資者が個人の場合が多いなどの理由で希望金額を調達できないケースや、出資者を集めるためのマーケティングや情報拡散などを行う必要があります。

スタートアップの資金調達方法①アセットファイナンス

アセットファイナンスは、資産を元手にして資金を調達する方法です。一般的に、資産売却や債権回収、ファクタリングを実施します。

資産売却

資産売却は、会社が有する不動産などの有形資産や商標権などの無形資産を売却する資金調達方法です。資産売却のメリットは、資金調達に加え、資産整理を行えることです。たとえば、活用していない不動産を売却すれば、固定資産税などの費用も削減できます。

ただし、スタートアップでは有形資産を持たないケースが少なくありません。商標権や特許権などの無形資産は売却できますが、今後の経営に支障をきたさないかをよく検討する必要があります。

債権回収

債権回収とは、保有する債権を回収して資金を調達する方法です。自社で回収することもできますが、債権回収代行会社に依頼する選択肢もあります。

債権回収はスタートアップでよく用いられる資金調達方法です。ただし、回収が困難なケースや債権を債権回収会社に売却できないケースでは現金化が難しい点に注意が必要です。

ファクタリング

ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に売却して現金化する資金調達方法です。スタートアップでは、主に事業を次のラウンドに進めるための前向きな資金調達として用いられます。

ファクタリングの大きなメリットは、資金調達のスピードが比較的早い点です。たとえば、エクイティファイナンスやデットファイナンスの場合、数ヶ月かかることも珍しくありません。しかし、ファクタリングなら最短で翌営業日に資金調達可能なケースがあります。

ファクタリングについての主なメリット・デメリットは次の記事でまとめています。

ファクタリングのメリット・デメリットとは?

スタートアップの資金調達方法②エクイティファイナンス

エクイティファイナンスは、投資家や投資会社などから出資を受ける資金調達方法です。資金調達先として、次の4つが挙げられます。

ここでは各方法の概要やポイント、注意点を解説します。

VC(ベンチャーキャピタル)

VC(ベンチャーキャピタル)とは、未上場の企業に出資する投資会社やファンドのことです。スタートアップの株式を取得し、上場やM&Aによって株式を売却して利益獲得を目指します。

ベンチャーキャピタルからの出資はスタートアップの資金調達方法として一般的な選択肢です。資金調達ラウンドのシードからシリーズC、場合によってはシリーズDまで幅広く対応しています。また、ベンチャーキャピタルから経営への助言やネットワークの紹介を受けられる可能性があるため、資金調達以外でも事業拡大に役立つ側面があるでしょう。

ただし、出資を受けるためには、事業計画書などで事業の将来性や成長性をアピールし、自社の魅力や強みを具体的に伝える必要があります。詳しくは次の記事も参考にしてください。

ベンチャーキャピタル(VC)とは未上場企業への投資会社!メリットや注意点は?

CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)

CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)とは、一般企業が母体となるベンチャーキャピタルです。イグジットを目的とするVCとは異なり、自社とのシナジー効果を期待するために出資します。

CVCから資金調達を受ける場合、出資元が同種の業界に属していれば、経営サポートや販路拡大をサポートしてもらえる可能性があるでしょう。ただし、投資や出資先の取り込みを目的として行われるケースもあるため注意が必要です。

エンジェル投資家

エンジェル投資家とは、起業後間もない企業に対して出資する個人投資家のことです。ベンチャーキャピタルに比べて早期の資金調達が可能ですが、出資額は低くなる場合があります。

エンジェル投資家のメリットは、アイデア段階であっても投資を受けられる可能性がある点です。投資家個人の判断によって出資の可否が決定するため、VCやCVCに断られた企業でも出資を受けられるケースがあるでしょう。

エンジェル投資家の概要や探し方は、以下の記事でも解説しているので参考にしてください。

エンジェル投資家とは?メリットや注意点、探し方について解説

株式投資型クラウドファンディング(CF)

株式投資型クラウドファンディング(CF)は、インターネットを通じて不特定多数の出資者から資金提供をしてもらい、リターンとして非公開株を提供するクラウドファンディングです。

一般的に行われるクラウドファンディングは購入型と呼ばれ、資金提供に対するリターンとして商品やサービスなどが用いられます。株式投資型では、出資者は非公開株の株主となり、配当金を受け取ります。

スタートアップの資金調達方法③デットファイナンス

デットファイナンスは、金融機関から融資を受ける資金調達方法です。主に次の方法があります。

  • 公的融資
  • 銀行借入
  • ビジネスローン
  • 公募債
  • 私募債
  • コマーシャルペーパー
  • シンジケートローン
  • ソーシャルレンディング

公的融資

公的融資とは、国(日本政策金融公庫)や地方自治体などの公的な機関から資金調達する方法です。個人事業主やスタートアップなどの小規模企業においても、条件を満たせば公的融資を受けられます。

たとえば、日本政策金融公庫では創業資金や運営資金、設備資金など広く融資を受けることが可能です。詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

日本政策金融公庫で融資を受ける流れを解説!注意点や審査のコツも紹介

銀行借入

銀行借入とは、銀行から融資を受ける資金調達方法です。幅広い段階の資金調達方法としても用いられます。

一般的に、銀行借入は審査が厳しく、財務状況が厳しい企業は認められにくい傾向があります。そのため、スタートアップは財務状況が健全であることや返済能力を銀行に提示し、信頼できる企業であると認めてもらうことが大切です。事業計画書や返済計画書、決算書を提出するなどして、信頼性を伝えましょう。

銀行借入の概要や流れについて、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

法人が銀行から融資を受ける方法とは?必要書類や流れもわかりやすく解説

ビジネスローン

ビジネスローンとは、事業性資金に特化したローンのことです。公的融資や金融機関と違い、スピーディーに資金調達できる点が主な特徴です。商品によっては即日融資にも対応しており、早急に資金を要するケースに向いています。

一方、公的融資や金融機関に比べると金利が高くなる傾向にあります。同じくスピーディーに資金調達できるファクタリングとの違いは、次の記事で紹介しています。

ビジネスローンとファクタリングの違いについて

公募債

公募債とは、不特定多数の投資家に向けて債券を発行する資金調達方法です。銀行融資と異なり、個人を含めた投資家から広く資金を集められます。

ただし、公募債の発行には有価証券届出書などの提出義務があり、スタートアップにとって利用は困難です。一般的には、後述する私募債が用いられます。

私募債

私募債(少人数私募債)とは、募集人数を50人未満に限定して社債を発行する資金調達方法です。公募債に比べて簡易的な手続きで発行でき、スタートアップでも身内や知人、取引先などに限定して社債を発行できます。

基本的には2年から7年で償還期限を迎えるため、資金難に陥らない財務戦略を要する点に注意が必要です。

コマーシャルペーパー

コマーシャルペーパーとは、短期で資金調達をするために無担保の約束手形を発行する方法です。一般的に約束手形は、1ヵ月から1年未満で発行されます。

ただし、少額の発行はできず、発行額は1億円以上となります。また、すべてのスタートアップが発行できるものではありません。

シンジケートローン

シンジケートローンとは、複数の金融機関が連携してシンジケート団を組織し、同一の取引条件、同一の契約書に基づいて行う協調融資のことです。

一般的に、事業規模が小さいスタートアップ企業では、シンジケートローンが認められにくい傾向にあります。ただし、安定した経営や新規事業への取り組みなどで市場における成長性がみられる場合には、シンジケートローンを実施できる可能性があるでしょう。

ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングは融資型クラウドファンディングとも呼ばれ、不特定多数の出資者からインターネットを通じて資金調達を受ける方法です。一般的に、1万円程度〜の金融商品として販売され、集められた資金が企業に貸し付けられます。

銀行借入に比べて審査の負担が軽く、過度な実績を必要としない傾向にあるため、早い段階で融資を受けたいスタートアップにおすすめです。一方で、ソーシャルレンディング業者自体の倒産リスクがある点に留意しましょう。

新たに注目されている資金調達方法

ここまでに解説した資金調達方法以外にも、新たに注目されている3つの方法を解説します。

ベンチャーデット

ベンチャーデットとは、エクイティ(資本)とデット(負債)双方の性質を備えた金融商品の総称です。たとえば、新株予約権付融資等が該当します。

「保有株式の希薄化を防ぎながら資金を確保したい」というスタートアップの要望に応えられるよう設計されているのが特徴です。

トークン

トークンとは、企業がブロックチェーン上で発行するデジタル証票のことです。トークン発行による資金調達は一般にICOと呼ばれ、さらに狭義のICO、IEO、IDOに分かれます。

  • ICO(Initial Coin Offering):トークン発行者が投資家へ直接トークンを交付する方法
  • IEO(Initial Exchange Offering):暗号資産交換業者が仮想通貨取引所としてトークン発行者と投資家との間に介在しトークンが交付される方法
  • IDO(Initial DEX Offering):DEXと呼ばれる管理者の存在しない分散型取引所を介在させ、ブロックチェーン技術を活用したスマートコントラクトによってトークンを自動的に販売する方法

従来の資金調達と異なるのは、ブロックチェーン技術を用いる点です。株式発行のような企業単位ではなく、プロジェクト単位で実施される点も異なります。

現在、トークン発行による資金調達は法制度の整備が追いついておらず、会計や税務、金融規制面で課題が残るため注意が必要です。

RBF(レベニューベースドファイナンス)

RBF(レベニューベースドファイナンス)とは、株式と借り入れの利点を生かした新たな資金調達方法です。将来発生する売上の一部をロイヤリティとして返済する契約を結び、資金調達を行います。

資金調達方法においては、過去の事業実績や将来性を見込んで融資や出資が行われるのが一般的です。一方、RBFでは過去の売上データを基に将来の収益を予測し、発生するであろう売上の一部を現金化します。

性質の似ている資金調達方法としてファクタリングがありますが、ファクタリングは過去の請求書を債権の対象とするのに対し、レベニューベースドファイナンスは将来の売上高を債権対象とするという違いがあります。

継続的な売上を期待しやすいSaaS型ビジネスやサブスクリプションモデルにおすすめの資金調達方法です。

資金調達の各方法におけるメリット

スタートアップは事業内容や設立年数を問わず、前述の方法などを活用すれば資金調達ができる可能性があります。ただし、資金の調達方法ごとに得られるメリットが異なります。

そのため、自社が資金調達をする目的や用途にあわせ、いずれかを選択しなければなりません。ここでは、方法ごとのメリットの内容について詳しく解説します。

スタートアップが「出資を受ける」メリット

スタートアップが出資によって資金調達するメリットは「自己資本比率を上げられること」です。自己資本比率は、返済を必要としない自己資本が全体の資本調達の何%を占めるかを表しています。

自己資本比率が高いほど経営は安定しており、倒産しにくいと判断されるのです。そのため、返済の必要がない出資は自己資本比率を高め、社会的信用力の向上を期待できます。

また、返済を前提しないため、資金繰りを圧迫するリスクが少ない点も大きなメリットといえるでしょう。

スタートアップが「融資を受ける」メリット

スタートアップが融資によって資金調達するメリットは「利息を損金計上できること」です。金融機関などから融資を受ける場合、利息の支払いが生じます。

しかし、利息は税務上において「損金」として計上でき、その年の所得から差引くことが可能です。その結果として節税効果も期待できます。

また、融資の完済は自社の社会的信用度を向上させ、次回からの融資を受けやすくする効果もあるのです。

スタートアップが「助成金や補助金を利用する」メリット

助成金や補助金を利用するメリットは「返済不要のお金を受け取れる点」です。

国や地方自治体は経済活動の活発化を目的として公的に支援しているため、返済の義務はありません。これから新たな事業に参入するスタートアップにとっては、大変嬉しい制度といえます。

また、審査に通るためには労働環境の改善を図ったり、優秀な人材を育成したりといった改善が必要になり、結果的に経営体制の見直しが図られ事業の成長につながることも期待できるでしょう。

スタートアップが「クラウドファンディングを利用する」メリット

クラウドファンディングによる資金調達のメリットは「手軽に早く資金調達できる点」です。スタートアップとしてビジネスを始めるにあたっては、出資や融資はハードルが高い方法といえるでしょう。しかし、クラウドファンディングであればサイトに登録し、プロジェクトを立ち上げるだけでまずは利用を開始できます。

また、多くのアクセス数を持つクラウドファンディングサイトでプロジェクトが成立すれば、製品やサービスの認知を高めるきっかけにもなります。その結果として、自社のファン獲得にも効果を発揮する可能性があるのです。

スタートアップが「ファクタリングを利用する」メリット

ファクタリングによって資金調達するメリットは、他の方法よりも「大きな金額を調達できる可能性がある点」です。

ファクタリングは、売掛債権を早期に資金化するためのサービスです。そのため、事業が成長中のスタートアップであれば、保有する売掛債権額によっては融資などよりも大きな金額を調達できる可能性もあります。

また、ファクタリングの場合は自社の業績だけでなく、売掛先の業績や信用が反映されるため、自社の業績が伸び悩んでいても資金を調達できるケースも少なくありません。

さらに、出資や融資の場合は審査や手続きなどが必要となるため、資金調達までに多くの時間を要します。一方、ファクタリングは回収不能のリスクが低く、その結果として時間をかけずに資金を調達できる可能性があります。

▼より詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考ください。
「【資金調達の方法】各方法のメリットや注意点を法人・個人別に解説」

資金調達の各方法におけるデメリット

資金調達を目指す状況は、企業によってさまざまです。そのため、自社に適した方法は1つではありません。場合によって、いくつかの方法を併用するケースもあります。

そこで、前述の方法ごとのメリットを理解したうえで、デメリットについても把握しておく必要があります。ここでは、方法ごとに考えられるデメリットの内容をみていきましょう。

スタートアップが「出資を受ける」デメリット

スタートアップが出資を受けるデメリットに「第三者の議決権割合が大きくなる」ことが挙げられます。

新株の発行数次第では、第三者の議決権割合が大きくなる可能性があります。出資によって株主構成に影響を与えてしまい、経営権が第三者にわたる危険性もはらんでいるのです。

また、新株を大量に発行しすぎると既存の株式も含めて市場に多く出回ってしまい、結果として株価の下落を招きかねません。さらに、出資金に返済義務はないものの、配当金の支払いが生じる点にも注意が必要です。

スタートアップが「融資を受ける」デメリット

スタートアップが融資を受けるデメリットは「元利金の返済義務が生じる点」です。他の方法とは異なり、融資は金利を含めた返済が前提となります。

場合によっては、毎月の返済が資金繰りに影響を与え、経営状況の悪化にもつながりかねません。そのため、綿密な返済計画のもとに資金調達を実行する必要があります。

さらに、自己資本比率の低下によって不安定な経営であると判断され、社会的信用力を落とす可能性にも注意しなければなりません。

スタートアップが「助成金や補助金を利用する」デメリット

助成金や補助金をスタートアップが利用するデメリットは「受給までに時間を要する点」です。助成金や補助金の申請から受給までにタイムラグがあり、すぐには受け取れないケースが多いです。

場合によっては、支給申請から支給までに約1年を要する助成金や補助金も少なくありません。そのため、多くの時間を要することを前提にして、希望する受給時期から手続きを開始する必要があります。

また、補助金は助成金に比べて応募期間が短く、募集のタイミングが合致しないと利用できません。状況次第では申請書作成の外部委託などが必要となる場合もあるため、注意しましょう。

スタートアップが「クラウドファンディングを利用する」デメリット

スタートアップがクラウドファンディングを利用するデメリットは「目標金額が達成されないと資金調達できない可能性がある点」です。クラウドファンディングは、新たなプロジェクトを立ち上げても必ず目標金額が集まるとは限りません

クラウドファンディングサービスによっては目標金額に達していない場合、出資者に返金となるケースもあります。手数料等の金銭的な損は被らないにしても、新たなプロジェクトに要した手間や時間は少なくとも無駄になるでしょう。

また、プロジェクトが成立した際は支援金の中からサービスの運営側に対して「約10〜20%」の手数料を支払う必要があります。目標金額を1,000万円として達成したとしても、20%の手数料であれば200万円の支払いが生じ、決して少ない金額ではありません。

目標金額のすべてが手元に入るのではないことを理解したうえで、プロジェクトの立ち上げを検討しましょう。

スタートアップが「ファクタリングを利用する」デメリット

スタートアップが売掛債権を売って現金化するファクタリングを利用するデメリットは「手数料が割高になる可能性がある点」です。ファクタリングの手数料の相場は1〜20%程度と、提供する会社ごとに大きく異なります。

そのため、利用の際はファクタリング業者ごとの手数料を精査しなければなりません。近年では、比較的低手数料率で利用できるオンライン完結のファクタリングサービスもでてきておりますので活用を検討してみるといいでしょう。

また、3者間ファクタリングは売掛先に債権譲渡を通知する取引となるため、資金繰りの悪化を疑われその後の取引に影響を与えるケースもあります。しかし、2者間ファクタリングであれば売掛先への通知や債権譲渡登記が不要なケースも多く、安心して利用できるでしょう。

スタートアップの資金調達で失敗しないための3つのコツ

ここまで紹介したスタートアップが利用できる資金調達の方法やそれぞれのメリット、デメリットを踏まえたうえで、資金調達で失敗しないためのコツについても確認しておきましょう。主なコツとして、次の3つが挙げられます。

  • 事業計画に沿った調達方法の選択
  • 償還期限の確認
  • 持ち株の維持
  • ラウンドに適した資金調達計画の立案

ここでは、押さえるべきコツについて詳しく解説します。

1.事業計画に沿った調達方法の選択

1つ目は「事業計画に沿った調達方法の選択」です。事業計画とは、事業の目標を達成するために必要な行動を示す計画で、具体的な目標や戦略、戦術を描きます。

事業計画が曖昧なままに資金調達手段を選ぶと、参入する市場のニーズを捉えないままに事業を進めてしまったり、経営権が第三者に渡ってしまったりといった失敗を引き起こしかねません。

このような失敗を防ぐためにも、事業ステージごとの資金調達方法を明らかにし、事業計画に落とし込みましょう

2.償還期限の確認

2つ目は「償還期限の確認」です。ベンチャーキャピタルからの出資によって資金調達を進める場合、償還期限の事前確認が欠かせません。

ベンチャーキャピタルによっては、ファンドの運営によって金融機関や投資家などから投資資金を集め、スタートアップや起業家に投資します。

ただし、集めた資金は通常10年の償還期限を設け、元本と利益を付けた形で投資家たちに返還する必要があるのです。そのため、ベンチャーキャピタル側は償還期限までに株式公開やM&Aなどを起業家に実行させ、なんとしても利益を得なければなりません。

もし、償還期限までに利益を得られない状況となれば、保有する株式を処分して換金を求められる可能性もあります。償還期限にあわせ、どのような事業設計にするのかを事前に決定しておくことをおすすめします。

3.持ち株の維持

3つ目は「持ち株の維持」です。スタートアップ期に株を多量に発行することで、多くの投資家に株式が渡ることになります。その結果として持株比率が減ると、出資をした投資家に経営権を奪われかねません。

持株比率が下がるにつれて、行使できる権限は少なくなります。素早い経営判断が求められるスタートアップにおいては、株主総会の特別決議を通せる「3分の2以上」の持株比率を維持しておくほうがスムーズに企業活動を進められるでしょう。

株主構成に関しては、弁護士などの専門家の意見も参考にしながら検討することをおすすめします。

4.ラウンドに適した資金調達計画の立案

資金調達ラウンドとは自社の成長段階を把握し、必要とする資金額や資金調達方法を検討する考え方です。スタートアップが資金調達に失敗しないためには、ラウンドごとの資金調達計画を検討する必要があります。

ラウンド 必要となる資金調達計画 代表的な投資家・融資元
エンジェル
プレシード
数百万円~数千万円 エンジェル投資家
シード
アーリー
数千万円~数億円 エンジェル投資家、VC、公的機関・金融機関
シリーズA 数億円~十数億円 国や地方自治体による補助金・支援制度、クラウドファンディング、VC、CVC、公的機関・金融機関
シリーズB 十数億円~数十億円 VC、公的機関・金融機関
シリーズC 数十億円~ VC、公的機関・金融機関

資金調達ラウンドについては、次の記事も参考にしてください。

資金調達ラウンドとは?スタートアップが知っておくべきステージや資金調達方法を解説

まとめ

スタートアップ企業が利用できる資金調達方法は大きく5つあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。自社のラウンドに適した資金調達方法を選び、償還期限や持株比率などに注意しながら資金調達の確度を高めましょう。

なお、資金調達を急ぐスタートアップ企業の場合には、ファクタリングの活用をおすすめします。融資等をはじめとした資金調達方法と比較して、短い期間での資金調達が期待できます。『マネーフォワード トランザクションファイナンス for Startups』の場合、次のような特長があります。

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