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デットファイナンスとは?メリット・デメリットや向いている企業を解説

デットファイナンスとは借り入れによる資金調達方法です。状況やその企業の成長ステージによって、デットファイナンスが適している企業とそうでない企業があるため、自社がどちらに該当するかをしっかり把握する必要があるでしょう。

本記事ではデットファイナンスのメリット・デメリットや向いている企業、デットファイナンス以外の資金調達方法を紹介します。

目次

デットファイナンスとはなにか

デットファイナンスとは、借入金によって資金を調達する方法です。英語では「Debt Finance」と呼び、「Debt」は借金、「Finance」は資金調達を意味します。

具体的には金融機関からの融資や社債の発券、ソーシャルレンディング、コマーシャルペーパーなどを通じて外部から資金を借り入れ、運転資金の補填や設備投資などを行います。

デットファイナンスのメリット

デットファイナンスには、メリットとデメリットがあります。自社の置かれたフェーズや状況に合った資金調達を実現するためにも、メリットとデメリットを把握しておくことが大切です。

ここではまず、デットファイナンスのメリットを紹介します。デットファイナンスの主なメリットは次の5つです。

  • 持株比率が変わらない
  • 資金繰りの予測がしやすい
  • 資本金が変わることがない
  • 支払利息が損金となり節税に繋がる
  • 信用の向上に役立つ

それぞれ詳しく解説します。

持株比率が変わらない

デットファイナンスは既存株主の持株比率が変わらないため、経営権の分散を防ぐことができます。必要な資金を確保しながらも、経営の自主性を維持できるでしょう。

一方で借り入れではなく、主に株式発行によって資金調達するエクイティファイナンスの場合、持株比率によって外部の出資者が重要な意思決定を行えます。持株比率が50%を超えると取締役の解任ができ、66.7%以上になるとM&Aや増資、解散が可能となります。

資金繰りの予測がしやすい

デットファイナンスによる資金調達のメリットには、資金繰りの予測しやすさがあります。返済スケジュールと支払利息があらかじめ定められているためです。

エクイティファイナンスの場合、返済義務は生じないものの、一般的には利益に応じた配当金の支払いが求められます。また、出資者ごとに出資条件が異なる場合、配当金や対価などの計算が難しくなる可能性もあるでしょう。

資本金が変わらない

デットファイナンスは株式発行を必要としない資金調達法のため、基本的に資本金が変わることはありません。対してエクイティファイナンスの場合は資本金が変動することがあるため、法人住民税の納付額が増加したり、税金の軽減措置が受けられなくなったりする可能性があるでしょう。

資本金が一定額以上になると、法人住民税などの支払額は増加します。

資本金等の額 都道府県民税均等割 市町村民税均等割
従業者数50人超
市町村民税均等割
従業者数50人以下
1千万円以下 2万円 12万円 5万円
1千万円超1億円以下 5万円 15万円 13万円
1億円超10億円以下 13万円 40万円 16万円
10億円超50億円以下 54万円 175万円 41万円
50億円超 80万円 300万円 41万円

出典:総務省|法人住民税

デットファイナンスであれば資本金を増やさず、税金の負担を抑えながら必要な資金を調達できます。

支払利息が損金となり節税につながる

デットファイナンスは節税効果も期待できるでしょう。支払利息は損金扱いとなり、基本的には課税対象外となるためです。

2つの企業を例に節税効果を紹介します。

U企業
(負債がない)
L企業
(負債がある)
営業利益 50 50
負債の利払い 0 20
税引前利益 50 30
法人税 15 9
税引後利益 35 21

出典:みずほ銀行×一橋大学|負債の節税効果

利益が同じであっても、負債がある企業のほうが、利得が高くなっていることがわかります。

信用の向上に役立つ

デットファイナンスはしっかりと返済することで返済実績をつくることができるため、信用の向上に役立ちます。信用度が高まると、融資の条件で金利が低く設定されるなど優遇される可能性があるでしょう。

対して、返済が滞ると企業の信用は低下します。今後の資金調達が困難になるだけでなく、融資を受ける際の条件が不利になるリスクがあります。デットファイナンスを活用する際には、返済能力を慎重に評価することが重要です。

デットファイナンスのデメリット

デットファイナンスにはデメリットもあります。主なデメリットは次の通りです。

  • 負債が増える
  • 返済義務と期限がある
  • 自己資本比率の低下を招く
  • そもそも利用できない可能性がある

詳しく解説します。

負債が増える

デットファイナンスは負債として計上され、会社の財務健全性に影響を及ぼします。資金調達によって短期的には資金繰りの改善に役立ちますが、負債が増えることで長期的には企業の財政負担を重くする可能性があります。

特に、デットファイナンスを繰り返しても収益向上につながらない場合、債務超過に陥るリスクがあるでしょう。債務超過に陥ると信用力が低下し、今後の資金調達に悪影響を与えかねません。

返済義務と期限がある

デットファイナンスは元金に加えて利息の支払いが必要です。返済には期限があるため、計画的な運用が求められます。返済期限の管理が不十分な場合、強制執行や債務不履行に関する追加費用が発生するリスクもあるでしょう。

返済できない場合、企業の財務状況をさらに悪化させ、ほかの金融機関からの信用も失う可能性があります。そのためデットファイナンスの利用には、計画的な資金運用と返済スケジュールの厳格な管理が求められます。

自己資本比率の低下を招く

デットファイナンスによる資金調達は、企業の自己資本比率が低下します。自己資本に対する他人資本(負債)の比率が高まるためです。

自己資本比率の低下は、自社の資本で賄える範囲が狭まり、経営構造が他人資本に依存することを意味します。場合によっては企業の財務構造が脆弱になり、信用度に悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。

そもそも利用できない可能性がある

返済能力が不足している企業や個人事業主は、そもそもデットファイナンスの機会を得られない可能性があります。

金融機関にとって、返済能力は融資を実行する重要な判断要素の一つです。個人事業主や新設法人のように経営基盤がまだ確立していない、あるいは資本金が少ない場合、返済能力を不安視され、金融機関からの融資を断られる可能性が高いでしょう。

デットファイナンスが向いている企業

デットファイナンスが必要かどうかは慎重に見極める必要があるでしょう。ここではデットファイナンスが向いている企業を4つ紹介します。

  • 経営権を保持したい企業
  • 返済のめどが立つ企業
  • 借り入れへの担保が用意できる企業
  • 一定の業歴があり、直近決算が好調な企業

詳しく解説します。

経営権を保持したい企業

デットファイナンスは、経営の自由度を高く保ちたい企業に向く資金調達方法です。既存株主の持株比率に影響を与えず、経営権の変動を招くことがないためです。

例えば、成長段階にある企業にとって、経営の自由度は事業展開や拡大において重要な要素の一つです。このような企業にとってデットファイナンスは、自己資本を維持しつつ資金調達を行うための効果的な手段といえるでしょう。

返済のめどが立つ企業

デットファイナンスは負債の返済義務があるため、安定した収益や将来の成長が予測できる企業に適しています。特に、中長期的な利益増加や売上向上を見込める場合、財務戦略の一環として検討する価値があるでしょう。

一方で、返済能力を過大評価すると財務危機に直面するリスクもあるため、収益予測と返済計画は慎重に策定する必要があります。

借り入れへの担保が用意できる企業

借り入れへの担保が用意できる企業も、デットファイナンスが向いているといえるでしょう。担保や保証がある場合、金融機関のリスクを低減できるため、資金調達できる可能性が高まります。

担保の価値が高ければ、より大きな額の融資を受けることも可能です。ただし、返済不能になった場合、担保を失う点に注意してください。

一定の業歴があり、直近決算が好調な企業

一定の業歴があり、直近の決算が好調な企業はデットファイナンスに向いています。デットファイナンスの審査において、決算内容はとても重要な判断基準だからです。

決算書は企業の財務状況や業績を示しています。一定の期間における企業の財務活動を集約し、収益性や財務健全性、キャッシュフローの状況などを確認できます。そのため、決算書の内容が良好であれば、資金の貸し手からは返済能力が高くてリスクの低い融資とみなされやすくなります。

デットファイナンス以外の資金調達方法

資金調達方法には、デットファイナンス以外にも選択肢があります。主な資金調達の方法が次の2つです。

  • エクイティファイナンス
  • アセットファイナンス

株式を発行することで出資を受け入れる場合はエクイティファイナンス、自社の所有する試算を元に資金調達を行う場合はアセットファイナンスがおすすめです。

エクイティファイナンス

エクイティファイナンスとは、株式を発行する対価として、出資者から資金提供を受ける資金調達方法です。具体的な方法として、次のような資金調達先が挙げられます。

  • VC(ベンチャーキャピタル)
  • CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)
  • エンジェル投資家など

主なメリット・デメリットは次の通りです。

エクイティファイナンスのメリット エクイティファイナンスのデメリット
  • 返済の必要がない
  • 自己資本に含まれる
  • 赤字でも資金調達ができる可能性がある
  • 株数が増える分、1株の価値が下がる
  • 既存株主の理解を得る必要がある
  • 持株比率の変動によって経営権が弱まる可能性がある

上記のメリット・デメリットから、エクイティファイナンスは将来的な成長が期待される企業や自己資本を増やして財務の安定性を高めたい企業に適しています。特にスタートアップなど、研究開発や新規事業の立ち上げに時間がかかる企業におすすめです。

具体的なメリット・デメリットや手順は次の記事で解説しています。
「エクイティ(Equity)とは株主資本のこと!メリットや手順を解説」

アセットファイナンス

アセットファイナンスは、企業が保有する資産を元に資金を調達する方法です。有形資産や無形資産、売掛債権などを元に資金調達を行うことから、デットファイナンスやエクイティファイナンスより簡潔かつスピーディーに資金調達できる可能性があります。

例えば、マネーフォワードケッサイが提供する トランザクションファイナンス for Startupsの場合、売掛債権を売却していただくことで、審査通過後、最短翌営業日に最大数億円の資金調達が可能です。資金調達が未経験のスタートアップ企業でも、サービスを利用することができます。

主なメリット・デメリットは次の通りです。

アセットファイナンスのメリット アセットファイナンスのデメリット
  • 負債を増やさずに資金調達できる
  • 資金調達のスピードが早い
  • 比較的簡潔に利用できる
  • 資産がなければ資金調達できない
  • 手数料が発生する
  • サービスによっては調達額が少ない

アセットファイナンスはスピーディーに資金調達できることから、スタートアップにおすすめの資金調達方法です。返済実績などがなく信用度に乏しい企業でも、資産や売掛債権などがあれば資金調達が見込めます​​​​。

具体的なメリット・デメリットや資金調達方法は次の記事で解説しています。
アセットファイナンスとは?メリットや資金調達方法の違いなどを解説

まとめ

デットファイナンスとは、借り入れで資金調達する方法です。確実に返済できる企業や決算書の内容が良好な企業は、デットファイナンスが向いているでしょう。

デットファイナンス以外の資金調達方法としてエクイティファイナンスとアセットファイナンスが挙げられます。どちらもスタートアップに向いている資金調達方法ですが、スピーディーに資金を調達したい企業には、アセットファイナンスの一つであるファクタリングがおすすめです。

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