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ストックオプションは株価にどう影響する?上昇・下落するケースを紹介

ストックオプションとは、企業が従業員や役員に対して、自社の株式をあらかじめ決められた価格で購入する権利を付与する制度のことです。ただし、株式を購入する権利を付与することから、「自社の株価に影響があるのでは」と考える方もいることでしょう。


本記事では、ストックオプションが株価に与える影響について解説し、ストックオプション以外にも株価を左右する制度についても紹介します。

目次

ストックオプションとは

ストックオプションとは、企業が従業員や役員に対して、一定期間内にあらかじめ定められた価格で自社の株式を購入する権利を付与する制度です。主に従業員のモチベーション向上や長期的な企業へのコミットメントを促すために用いられます。

詳しくは次の記事を参考にしてください。
ストックオプションとは?主な種類や導入する手順・手続きを紹介

ストックオプションの付与は株価に影響しないことが多い

ストックオプションの付与による直接的な株価への影響は限定的です。 ストックオプションは将来にわたって特定の価格で株式を購入できる権利を付与するものであり、付与時点では新たな株式が発行されるわけではありません。

株価は市場の需要と供給、企業の業績、経済状況、業界動向などさまざまな要素によって決定されています。ストックオプションを付与するだけでは、株式の需給バランスや企業価値に直接的な影響を与えることは少ないといえるでしょう。

ストックオプションが株価に影響するケース

ストックオプションは、基本的には株価に影響を与えにくいです。ただし、理論上は、影響が出る可能性もあります。

ここでは「株価が下落するケース」「株価が上昇するケース」を紹介します。

株価が下落するケース

ストックオプションを行使すると、新たな自社株式が市場に供給されます。企業全体の利益や資産を発行済株式数で分割すると、新株が市場に出回ることで1株当たりの利益や資産が減少します。これが「株式の希薄化」です。

株式が希薄化すると、1株当たりの利益や資産が「減少する」ことを受容できない投資家による売り注文が増加します。これにより株価の下落を招く可能性が考えられます。特に、大量のストックオプションが一度に行使された場合や、企業の業績が悪化している状況下では、株式の希薄化を投資家がネガティブに捉え、将来性に対する懸念を強める場合もあるでしょう。

しかし、ストックオプションによって発行される株式数は、一般的に発行済株式総数に対して少ないため、株価に大きな影響を与えないケースがほとんどです。

株価が上昇するケース

ストックオプションは企業の業績向上を促進する可能性があります。従業員は企業に貢献することでストックオプションの価値が高まると期待して、より高いパフォーマンスを発揮します。結果として企業全体の生産性が向上しやすくなるでしょう。

また、ストックオプションは従業員のモチベーションや忠誠心を高める効果も期待できます。従業員は、株主の一員として企業の成長に貢献しているという意識を持つことで、企業の目標達成に向けて努力するようになるでしょう。

さらに、ストックオプションが企業の成長に寄与する制度であることを投資家に理解してもらえれば、将来の業績向上を期待され、株価が上昇する可能性もあります。

ストックオプション以外に株価を左右する可能性のある制度

ストックオプション以外にも、株価を左右する可能性のある制度がいくつかあります。ここでは3つの制度を紹介します。

新株予約権

新株予約権とは、企業が発行する株式をあらかじめ決められた価格で将来購入できる権利のことです。概念はストックオプションと同じです。ただし、ストックオプションが従業員へのインセンティブとして用いられるのに対し、新株予約権は資金調達やM&Aなど広範な目的で使用されます。

新株予約権には3つの種類があります。

  • 社外向け発行
  • 無償割当
  • 有利発行

それぞれ説明します。

社外向け発行

社外の投資家向けに新株予約権を発行することを「社外向け発行」と呼びます。社外向け発行には、既存株主に割り当てる「株主割当」と広く募集する「第三者割当」の2種類があります。

社外向け発行の主な目的は資金調達です。企業は新株予約権を発行する際に、投資家からオプション料を受け取ります。権利が行使されれば、さらなる資金調達が可能です。調達した資金は設備投資や研究開発、事業拡大など企業の成長戦略に活用できます。

また、社外向け発行は安定株主を増やす効果もあります。経営の安定化につながり、敵対的買収のリスクを軽減することも可能です。ただし、株式の希薄化や経営権の支配比率の変化などのリスクも伴います

無償割当

既存株主に対して、株式の所有比率に応じて新株予約権を無償で割り当てることを「無償割当」と呼びます。新株予約権の無償割当を実施するケースは、企業が大規模な増資を行う際に見られます。大規模な増資によって新たに株式が発行されると、現在発行されている株式が希薄化し、株価が下落する可能性が高まるでしょう。

既存の株主にとって、保有株式の価値が下がることは不利益です。そのため、大規模な増資に対しては、既存株主から反感を買うことも少なくありません。

そこで企業は既存株主の反感や不満を軽減するために、無償割当を実施します。無償で新株予約権を割り当てることで、既存株主は新株を市場価格よりも低い価格で購入できる権利を得られます。

有利発行

有利発行とは、新株予約権を既存株主以外の第三者に対して、現在の株価よりも割安な価格で発行することを指します。株式会社が新たな株主を募る際に、よく行われる手法の一つです。

しかし、割安な価格で新株予約権が発行されると、既存株主の株式持ち分が希薄化し、1株あたりの価値が下がる可能性があります。そのため有利発行を行う際は、株主総会において特別決議を行わねばなりません。特別決議では出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要となり、既存株主の意見を尊重する手続きが求められます。

新株予約権付社債

新株予約権付社債は、債券と新株予約権が組み合わされた金融商品です。将来的に一定条件で株式に交換できる権利を有する社債です。社債の保有者は、発行企業の株式をあらかじめ定められた価格で購入することが可能です。社債の保有者は利息収入に加えて、将来的な株式転換によるキャピタルゲインも期待できます。

ただし、新株予約権付社債の最終的な収益は、株価の動向や行使条件によって変動する可能性があります。株価が上昇すれば利益を得られますが、株価が下落した場合は利息収入のみとなります。

譲渡制限付株式

譲渡制限付株式は企業が従業員や役員に付与する株式の一種で、一定の制限が課されている点が特徴です。制限の解除条件は企業によって異なりますが、一般的には一定期間の継続勤務や業績目標の達成などが挙げられます。

制限が付いている間は株式を売却できないため、キャピタルゲインを得ることはできません。一方で、株式を保有している間は、配当金を受け取る権利があるため、配当利回りを得られる可能性があります。

譲渡制限付株式は、ストックオプションと同様に、従業員や役員に業績向上へのインセンティブを与える効果があります。また、投資家は、渡制限付株式を企業の将来性や成長に対する自信の表れと捉えることがあるため、株価上昇を促す要因となる可能性も考えられます。

まとめ

ストックオプションの付与や行使が株価に悪影響を与える可能性は少ないといえるでしょう。むしろ、うまく活用できれば、従業員の業務効率や生産性、モチベーションが高まり、株価の上昇につながる場合もあります。

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