ベンチャー企業にとってストックオプション導入には、さまざまなメリットがあります。ただし、注意点もあります。IPOを目指していたり、IPOを終えた後でも、人材確保のためにストックオプションを導入する場合は慎重に検討することが大切です。
本記事ではベンチャー企業がストックオプションを導入するメリットとデメリット、注意点を紹介します。
ストックオプションとは企業が従業員や役員に付与する、自社株をあらかじめ定めた価格で購入できる権利です。優秀な人材の確保・定着、従業員のモチベーション向上、経営者と従業員の目標共有を目的として活用されます。
株価が上昇すれば、権利行使時に市場価格との差額分を利益として得ることができます。詳しくは次の記事を参考にしてください。
ベンチャー企業がストックオプションを導入すると、さまざまなメリットを享受できます。ここでは3つのメリットを紹介します。
ストックオプションは将来的な株式価値の上昇によるキャピタルゲインを期待できます。そのため、ベンチャー企業にとっては、優秀な人材を惹きつけるためのインセンティブ報酬になります。成長意欲の高い人材や企業の成長に貢献したいと考える人材にとっても、魅力的な制度といえるでしょう。
ストックオプションは通常、一定の在籍期間を満たした場合に権利を行使できます。権利行使前に会社を辞めると保有するストックオプションを手放さなければならないため、人材の流出防止に役立ちます。こうした理由により、企業側としては優秀な人材の定着率を高める効果も期待できます。
会社の業績が向上し、株価が上昇すると、ストックオプションの価値も上がります。ストックオプションの価値が高まれば、将来的な個人の利益につながるため、従業員がより積極的に業務に取り組むようになるでしょう。
また、ストックオプションは通常、一定のベスティング(一定期間が経過することで権利が確定する契約条件)期間を経て行使可能となります。つまり、従業員は一定期間会社に留まり続ける必要があるため、意欲的に業務に取り組むモチベーションが強まります。
リスクを取って事業投資に注力するベンチャー企業やスタートアップは、手元の現金を最小限に抑える傾向にあります。しかし、現金が少ないと従業員に十分な報酬を還元できず、人材の確保やモチベーションの維持が難しくなる可能性があるでしょう。
ストックオプションを導入すれば、従業員に現金報酬を支払う代わりに、株式購入権を付与できます。これにより企業は現金を手元に残したまま、必要な運転資金や投資の予算を確保できます。
ベンチャー企業がストックオプションを導入することには、デメリットもあります。ここでは3つのデメリットを紹介します。
ストックオプションは非上場株式のIPOや上場済み株式価格が上昇した際に、権利を行使することで大きな利益を得られます。そのため、社員が権利行使後に「目的を達成した」と感じ、企業への貢献意欲が薄れるリスクを内包するのがデメリットです。ベンチャー企業は環境変化が激しいため、社員が自身のキャリアアップや新たな挑戦を求めて離職するケースも考えられるでしょう。
権利行使後も人材の定着をはかるためには、次のような対策が挙げられます。
※一定期間が経過することでストックオプションの権利が確定する制度
ストックオプションの付与率は通常、企業のフェーズや入社時期によって異なります。特定の役員や一部の従業員にのみ付与されることも少なくありません。このような状況下では、ストックオプションを多く付与された社員とそうでない社員の間で、不公平感が生じる可能性があるでしょう。
ストックオプションの付与基準が不明瞭な場合、従業員は「なぜ自分が付与対象にならなかったのか」「なぜ少量のストックオプションしか付与されなかったのか」といった疑問を抱く可能性があります。不公平感を防ぐためには、ストックオプションの付与基準を明確にし、透明性を持たせることが重要です。
ストックオプションは、株価が上昇することを前提とした報酬制度です。しかし、ベンチャー企業は業績の変動が大きいため、株価が下落するリスクも伴います。株価が下落するとストックオプションの価値も下がり、従業員は期待していたインセンティブ報酬を得られない可能性があるでしょう。
特に気をつけたいのが、株価がストックオプションの権利行使価格を下回るケースです。従業員は利益を得られず、モチベーションを低下させてしまうリスクがあります。株価の低迷が長引くと、従業員だけでなく、会社全体の士気にも悪影響を及ぼすでしょう。
ここまでで説明したとおり、ベンチャー企業にとってストックオプションはメリットとデメリットがあります。メリット・デメリットを把握したうえで、導入を検討するのが大切です。
次に、実際の導入に際してのポイントを2つ紹介します。
ストックオプションの割当比率を考える際は、株数ではなく付与比率で検討することが重要です。付与比率が低すぎると、働くモチベーションや就職へのメリットを感じてもらえない可能性が高まります。逆に、付与比率が高すぎると、将来的に大量のストックオプションが市場に供給され、株式の需給バランスが崩れて株価が不安定になる可能性があります。
また、ストックオプションは無制限に発行できるわけではなく、付与上限があることも考慮しなければなりません。一般的に、IPO直前の企業では、発行済株式総数の10〜15%程度を上限とするケースが多いです。
ストックオプションの行使条件とは、従業員が自社株を購入する際の要件や制約を指します。行使条件が明確に設定されていないと、従業員が混乱する可能性があるでしょう。
行使条件は、企業の現況や目的に応じて設定できます。以下に、一般的な行使条件の例をいくつか紹介します。
上記のほかにも、企業の業績や株価に連動した行使条件を設定することも可能です。行使条件を適切に設定することで、従業員のモチベーション向上や企業の成長促進につなげられます。
ストックオプションは、ベンチャー企業における重要な資本政策の一つです。ストックオプションを導入することによって、優秀な従業員の確保や定着につながります。
同時に、ベンチャー企業は資金調達もしっかりと考慮しなければなりません。資金調達し、IPOできなければ、ストックオプションが無意味になってしまう可能性もあるでしょう。
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