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資本政策と財務戦略の違いとは?具体的な策定のポイントやつくり方を紹介

#資金調達

資本政策と財務戦略では、企業が抱える課題の解決方法が異なります。それぞれを正しく理解し、自社にとってどちらを優先すべきか考えることも重要です。

本記事では資本政策と財務戦略の違いを紹介し、財務戦略の策定におけるチェックポイントや戦略の立て方、必要な財務分析などを解説します。

目次

資本政策と財務戦略の違い

資本政策は、主に「株式」を軸とした戦略です。株式の発行や売却、買収などを通じて、資金調達や持株比率の調整などを目指します。

財務戦略は、より広範な「資金」の管理を対象とした戦略です。株式の移動に加えて、資金運用や金融機関からの借入、社債発行など、さまざまな手段を使って資金調達や資金運用の最適化をはかります。詳しくは次の記事も参考にしてください。

IPOにおける資本政策とは?目的や立案の流れ、具体的な8つの方法を紹介

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財務戦略を策定する際のチェックポイント

財務戦略を策定する際は、「財務状況」「企業の状況や環境」「経営陣の意向」という3つのポイントを重視することが大切です。

ここではそれぞれ詳しく解説します。

財務状況

財務状況の良し悪しは、資金調達の成否や条件に影響を及ぼします。そのため、財務戦略を策定する前に、必ず現在の財務状況を把握しましょう。

たとえば、営業利益率が低いとわかった場合は、コスト削減や販売価格の見直しなど収益改善に向けた施策が必要です。財務状況を多角的に分析することで企業の強みと弱みを把握でき、適切な財務戦略の策定につながります。

企業の状況や環境

企業の収益や成長には、世界の経済情勢や市場の動向、需要の変化、競合の有無などといった外部環境の変化が影響します。たとえば、世界的な不況や業界全体の需要低迷は、企業の売上減少につながり、財務戦略の見直しを迫られる可能性があるでしょう。

また、社内の状況も財務戦略にとって重要な要素です。人材の質や量、技術力、組織体制などは、企業の競争力や成長性に直結します。

経営陣の意向

企業の経営方針は、最終的には経営陣が決定します。そのため財務戦略を策定する際は、経営陣の意向やビジョン、目標などを反映させることが求められます。

ただし、経営陣の意向に従うばかりでは足りません。客観的な分析を行い、冷静に状況を見極めることも大切な要素です。財務状況や市場環境などを考慮し、実現可能性やリスクを評価することで、より効果的かつ持続可能な財務戦略の策定につながるでしょう。

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財務戦略のつくり方

財務戦略をつくるには、大きく分けて3つのステップがあります。

  • ステップ1:現状分析
  • ステップ2:目標設定
  • ステップ3:計画の立案・実行

各ステップを詳しく解説します。

ステップ1:現状分析

現状分析では、まず企業の長期的なビジョンを明確化します。5年後、10年後にどのような会社になりたいかを決め、ゴールから逆算することで、財務戦略の方向性が定まります。

次に、決算書などの財務関連データをもとに、安全性や収益性、資金繰りの観点から財務分析を行います。それぞれの課題を把握し、成長戦略の達成に必要な短期・中期の対策を明確にしましょう。

ステップ2:目標設定

目標設定では、将来の売上高や経費、利益などを予測し、目標とする収益水準を明確にすることが大切です。事業計画をもとに、資金繰り計画とB/S戦略を立案します。資金繰り計画では資金調達可能額を明確にし、事業計画の実現に必要な資金を適切なタイミングで投入できるよう資金の流出入を管理しましょう。

そして、計画の達成に必要な投資戦略を立てます。設備投資や研究開発、マーケティングなど、具体的な投資計画を策定し、投資する「タイミング」「方法」「規模」を検討します。

ステップ3:計画の立案・実行

計画の立案では、目標達成のために必要な資金調達方法や投資計画、コスト削減策などを検討します。資金調達においては自社の現状を把握したうえで、資金調達や借入条件の適正化を目指します。

取引条件は企業の成長ステージによって異なるため、適切な要素に焦点を当てることが重要です。たとえば、安定期にある企業であれば、金利の引き下げや担保・保証人の解除などを重視するでしょう。成長期の企業であれば、「必要なときに資金調達し、お金が入ったら借入金を返す体制」を構築するために、借入形態の条件交渉を重視するでしょう。

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財務戦略に必要な財務分析

財務戦略の立案には、詳しい財務分析が必要です。ここでは5つの財務分析方法を紹介します。

収益性分析

収益性分析は、企業がどれだけ利益を生み出す能力を持っているかを評価する財務分析です。売上高に対する利益や資本に対する利益などをパーセンテージで比較することで、企業規模の違いを考慮せずに同業他社との収益力を比較できます。

収益性分析には、大きく分けて「取引収益性」と「資本収益性」の2つの視点があります。取引収益性では、売上高総利益率や売上高営業利益率といった指標を用いて、企業の営業活動や販売活動の効率性を評価します。

  • 売上高総利益率:売上高に対する売上総利益の比率
  • 売上高営業利益率:売上高に対する営業利益の比率

一方、資本収益性では、総資本経常利益率(ROA)や自己資本当期純利益率(ROE)といった指標を用いて、企業がどれだけの資本を投下して利益を生み出しているかを評価します。

安全性分析

安全性分析は企業の返済能力を評価し、経営状態を判断する財務分析です。ストック分析(貸借対照表)とフロー分析(キャッシュフロー計算書)の両方を用いて、企業の財務状態をさまざまな角度から評価します。

ストック分析では企業の保有する資産と負債のバランスを評価し、フロー分析では資金の流れを分析することで実際の返済能力を査定します。

安全性分析でよく使われる指標は次のとおりです。

  • 流動比率
  • 自己資本比率
  • 固定比率
  • 当座比率

上記の指標では、一般的に数値が高いほど財務的に安全で、返済能力も高いと評価されます。ただし、業種や企業の特性によって適切な指標や数値は異なるため、注意が必要です。

活動性分析

活動性分析は企業の資産がどれほど効率的に活用され、売上に結びついているかを評価する財務分析です。企業が保有する資産のバランスをチェックし、余分な資産や無駄になっている資産を特定することで、経営効率の改善や財務体質の強化を図ります。

活動性分析でよく使われる指標は次のとおりです。

  • 総資本回転率
  • 固定資産回転率
  • 在庫回転率
  • 売上債権回転率

一般的に数値が高いほど、少ない資本や資産で大きな売上を上げていることを示します。数値が低い場合は、資産の活用効率が悪く、改善の余地があることを示唆します。

生産性分析

生産性分析は、企業が投入した資源(設備、資金、従業員)が、どれだけの売上や価値の創出に貢献しているかを評価する財務分析です。よく用いられる指標は次のとおりです。

  • 資本生産性
  • 労働生産性
  • 労働分配率

生産性分析を通じて、企業は自社の経営資源の活用状況を客観的に評価し、改善点を特定できるでしょう。

成長性分析

成長性分析は、企業が過去から現在にかけてどれくらい成長したかを示すだけでなく、将来的な成長可能性を予測するためにも活用される財務分析です。主な指標は次のとおりです。

  1. 売上高増加率
  2. 利益増加率
  3. 総資産増加率
  4. 従業員増加率

成長性分析においては、企業の置かれている状況を考慮することが重要です。企業の成長期や成熟期などの局面に応じて、望ましい増加率は変わります。たとえば、創業して間もない企業であれば高い成長率が期待されますが、成熟期にある企業では安定的な成長率を維持することが重要です。

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まとめ

資本政策と財務戦略の違いを明らかにしたうえで、自社にとって優先度が高いものから取り組みましょう。それぞれ異なる意味を持つ言葉ですが、主な目的は資金調達です。

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