売掛金は、企業経営においては欠かすことのできない重要な項目です。
上記のようなお悩みをお持ちの方にもわかりやすく解説していますので、ご一読ください。
売掛金とは、商品を売り上げた際に発生する、まだ回収できていない商品の対価を指します。基本的には、売掛金取引は信頼できる販売先と実施するものです。
売掛金のメリットは以下の3点です。
支払いサイトとは、取引期間の締め日と支払期日の間にある期間です。現金払いは難しいという会社でも、売掛金を利用することで取引を円滑に進めることができます。
また、売掛金を利用することで事務作業を効率化することが可能です。商品を購入するごとに都度請求をしていては、事務に負担がかかってしまいます。一方、売掛金取引を導入することで、月末にまとめて請求を行い、事務コストの削減に繋がるでしょう。
加えて、売掛金はファクタリングでの早期資金化が可能です。支払い期日前の売掛債権をファクタリング事業者に買い取ってもらうことで資金確保ができるため、万が一資金繰りに困った場合でも短期間で資金を調達できます。
売掛金のデメリットは以下2点です。
運転資金とは、企業が経営活動をするうえで欠かせない資金です。たとえば、人件費や通信費など多岐にわたります。
運転資金は、以下の式で計算します。
「運転資金 = 売掛債権 + 棚卸資産 - 仕入債務」
売掛金は上記の「売掛債権」にあたるため、売掛金を増やせば運転資金が増加します。運転資金が増加すると、足元の資金繰りで借入が必要になるリスクが上がるでしょう。
また、借入が必要になってしまうと、借入利息を支払う分、会社の利益が小さくなってしまいます。現預金が十分にある場合、売掛金は問題ありませんが、資金繰りに困っている際には注意が必要です。
そして、売掛金は貸し倒れのリスクがあります。貸し倒れとは、売掛金を残したまま取引先が潰れてしまうことです。
上記のようになると、売掛金を資金化できなくなってしまうため、売掛金を導入する取引先は注意深く選ぶ必要があります。
売掛金は、売上が発生したときに計上します。そのため、商品の引き渡しが完了した時点や売掛先企業で商品の検収が完了した時点で、売掛金として帳簿に計上することが一般的です。
なお、2021年4月から適用される「収益認識に関する会計基準」では、売掛先企業の検収が完了した時点での計上が原則ではあるものの、国内の出荷に関しては出荷した時点での計上も認められます。また、割賦販売においても出荷や売掛先企業の検収が完了した時点での計上となるため、入金に合わせて分割して計上することはできません。
売掛金を売掛先企業が支払わない場合は、放置せず、定期的に請求を繰り返すことが大切です。売掛金には時効があり、滞納している状態を5年間放置すると、売掛金についての権利を放棄したとみなされ、売掛先企業に請求する権利を失うことになります。
時効を成立させないためには、定期的に支払い督促を行うことや、売掛先企業を提訴して裁判を起こすこと、裁判所を通して差し押さえを実行することなどが必要です。長く取引している企業であっても、正しく請求し、請求権利を失う前に回収するようにしましょう。
売掛金と似たような勘定科目は、他に以下3つがあります。
それぞれ明確に違いがあります。
▼より詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考ください。
「売掛金・未収入金・買掛金・未払金の違いは?仕訳例も紹介」
買掛金は売掛金の逆の立場で、自社が商品を購入した際に発生する勘定科目です。仕入債務とも呼ばれています。
買掛金が残っていることは将来に支払いの義務があることを示します。ただし、買掛金が多ければ多いほど目の前にある支払いはなくなるため、運転資金に余裕が出るでしょう。
▼より詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考ください。
「売掛金と買掛金の違い」
未収入金は売掛金と同様に、後で回収する必要がある債権です。売掛金の場合は、会社の営業に係る未回収の金銭を意味する一方で、未収入金は営業以外における未回収の金銭を指します。
例えば、お菓子を製造販売しているメーカーが自社の車を売却した際、車の売却は製造メーカーという本業には関わりがありません。そのため、車の売却代金が入金されるまでの間は未収入金という勘定科目を立てるようにします。
売掛金が目に見えない債権であるのに対し、受取手形は手形という目の見えるものになった債権です。
両者の違いは、銀行が間に介入するかどうかです。手形取引は銀行から与信を受けて初めて発行されるものであるため、一定の信用がある点では売掛金とは異なります。
あわせて、受取手形の場合だと裏書きができるため、受け取った手形を裏書きすることで他社企業への支払にも利用できます。
つまり、受取手形の場合、手形割引で資金化が可能です。
前受金とは、売掛金とは異なり、引き渡しが完了していない取引で発生したお金を示す勘定科目です。例えば、商品やサービスを販売するという約束が成立したときに受け取る手付金は、実際には引き渡しが完了していない時点で発生した金銭のため、前受金として分類できます。
前もって金銭を受け取る取引で使用する勘定科目に「預り金」もあります。預り金は社会保険料や所得税を支払うための金銭など、一時的な金銭の預かりに対して用いる勘定科目です。
立替金とは、本来は他者が支払うべき費用を一時的に立て替えたときに用いる勘定科目です。後日受け取る権利がある金銭という意味では売掛金と同じですが、売掛金は立替金とは異なり、誰かが支払うべき費用を立て替えているわけではありません。
例えば、本来は取引先が負担することになっている配送料などを立て替えたときは、立替金の勘定科目で仕訳をすることができます。
仮払金とは、支払い済みではあるものの用途が確定していないお金に用いる勘定科目です。例えば、従業員が出張に行く際に従業員に渡したお金は、まだ何に用いるかは明確ではないため、仮払金として処理をします。
名称が類似する勘定科目に「仮受金」があります。仮受金とは金銭は受け取ってはいるけれど、その理由が分からないため、一時的に処理をするときに用いる勘定科目です。売掛金は内容や金額が決まっているため、仮払金や仮受金とは明確に区分けすることができます。
ここからは、売掛金が使われる実際の仕訳方法について、例を挙げてご説明します。
それぞれのケースをわかりやすく解説します。
まず、400,000円の商品を掛けで売上をあげた場合は、以下のような仕訳をします。
この際、売上は発生しているものの、借方(左側)には売掛金しか発生していないため現金は会社には入ってきていないことを意味します。
次に、掛けで売り上げた400,000円の代金を手形で受け取った場合を考えてみましょう。
すると、以下のような仕訳になります。
先ほどの式と比較してみると、売掛金が借方と貸方(右側)に分かれており、売掛金は相殺されたことになりました。そのため、この段階では売上の代わりに受取手形が企業の手元にあることを意味しています。
最後に、手形の期日になり、現金が普通預金に振り込まれた場合を考えます。
手形の期日になったため、受取手形は相殺され、借方には現預金のみが残りました。ここまでで400,000円の売上が資金化されたことになります。
売掛金が受取手形に代わり、最終的に資金化される例はよくあるため、しっかりと押さえておく必要があります。
取引先が倒産した場合の売掛金は、以下のような仕訳処理をします。
会社によっては貸倒引当金を設定しているケースもあります。貸倒引当金を設定している場合の仕訳は以下のとおりです。
商品を回収した場合は逆仕訳をします。逆仕訳とは、売上が発生した処理と逆の処理をすることです。売掛金の処理は複雑に見えることがありますが、実際の仕訳内容はそれほど難しくありません。
掛売りをした場合、常に売掛金が全額まとめて支払われるとは限りません。40万円の商品を掛売りしたものの、10万円しか支払われないときは、次のように仕訳をすることができます。
分割での入金を約束している場合だけでなく、代金を間違えて一部のみ入金されていた場合も、上記のように入金額だけに基づいて仕訳をします。
振込手数料をどちらが負担するかは、掛取引をする前に決めておくことが必要です。当社負担と約束した場合は、実際に入金される金額は取引額よりも少なくなります。
40万円の商品を掛売りし、振込手数料として500円が差し引かれていた場合は、以下のように仕訳をしましょう。
クレジットカード払いで取引をするときは、売上と入金の時期が異なるため、2回に分けて処理をします。売上が発生したときにはクレジットカードの手数料を差し引いて処理をしましょう。
なお、通常の売掛金は売掛先企業との取引ですが、クレジットカードを使う場合はクレジットカード会社との取引になるため、「クレジットカード売掛金」として区別します。40万円の売上に対してクレジットカード会社の手数料が4,000円発生したときは、以下のように仕訳ができます。
クレジットカード会社から手数料を差し引いた分の入金があったときは、以下のように仕訳をします。
40万円で取引することを約束したものの、取引決定後に値引きを決めることもあるかもしれません。例えば、相場よりも高く販売していたことが分かったときなどは、取引決定後であっても柔軟に対応することができます。
40万円の商品に対して5,000円の値引きをして販売する場合は、以下のように仕訳をしましょう。
40万円(税抜)の商品を販売した場合、税込経理の場合は税金を含めた金額でそのまま仕訳をすることができますが、税抜経理の場合は消費税を別途計上する必要があります。
商品に適用される消費税率が10%の場合は以下のように仕訳をしましょう。
取引の中に通常税率と軽減税率の商品が混ざっている場合もあります。例えば、30万円(税抜)に対しては通常税率、10万円(税抜)に対しては軽減税率が適用された場合には以下のように仕訳ができます。
次のポイントに留意することで、売掛金の回収をスムーズに進められます。
それぞれのポイントについて解説します。
取引先から購入することもある場合は、買掛金と相殺することも一つの方法です。相殺後の金額によって、回収せずに済むこともあります。
売上高を売掛金と受取手形の合計で割ったものを「売掛債権回転率」と呼びますが、この回転率が低いときには、回収のルールなどを見直す必要があります。業種ごとの売掛債権回転率の目安を紹介するので、参考にしてください。
取引先の経営状態に問題があると、回収がスムーズに進みにくくなります。与信審査などを厳しくすることも検討できます。
請求から回収までの期間(回収サイト)を表にしておくと、資金繰り計画を立てやすくなります。取引先ごとに表を作成しておきましょう。
本記事では、売掛金の意味と仕訳について分かりやすく解説しました。実際の企業取引で売掛金を理解することはとても大切です。
特に経営者や経理担当者の方は、売掛金が会社の資金繰りに大きく影響する科目であることを認識し、企業経営に役立てるようにしましょう。
また、売掛金はファクタリングを利用することで、早期資金化することができます。急な資金ニーズが発生した際や、事業成長のためにより成長資金を調達したい時には利用を検討してみるといいでしょう。
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