日本政策金融公庫で融資を受ける流れについて解説します。また、他の融資と比較したときのメリットや注意すべきポイント、審査に通過するためのコツについてもまとめました。ぜひ申込む前にご覧になり、参考にしてください。
日本政策金融公庫とは、民間の金融機関が実施するサービスを補完し、国民の生活向上をサポートする目的で作られた政策金融機関のことです。利用者は中小企業者と農林水産業者、個人が想定されており、個人事業主や小規模企業の方も融資を受けることができます。
日本政策金融公庫で融資を受ける流れは以下のとおりです。
それぞれの段階で何を行うのか、詳しく見ていきましょう。
日本政策金融公庫ではさまざまな融資制度を実施しており、それぞれ対象者や適用金利、借り入れの目的などが異なります。日本政策金融公庫で融資を受けようと考えたときは、まずは直接、相談してみましょう。日本政策金融公庫では相談用の電話窓口を設置しているので、平日9時〜19時であればいつでも問い合わせることができます。
また、より具体的に話したいときは、日本政策金融公庫の窓口で担当者と相談してみましょう。日本政策金融公庫はほとんどの都道府県に支店があり、融資についての相談を受け付けています。事前に予約をしておくと、スムーズに相談できるでしょう。
日本政策金融公庫の支店が近くにないときは、オンラインでの相談も可能です。2営業日前の16時までに申込むことで利用できます。窓口で相談したいけれども、支店が遠いという場合には、商工会議所や商工会、生活衛生同業組合、また、都道府県の生活衛生営業指導センターなどでも相談可能です。いずれも予約をしてから行くようにしましょう。
日本政策金融公庫に相談し、融資を受けることを決めた場合には、決算書などの融資審査に必要な書類を準備します。どんな書類が必要なのかについては相談時にも紹介してもらえるので、正しいものを準備しておきましょう。提出書類の詳細情報については後述します。
実際に融資を受ける場合は、面談が必要です。何に使うための資金なのかだけでなく、今後の事業計画についても尋ねられます。すでに事業を開始している場合には、現在の事業状況についても口頭と書類から確認されるでしょう。店舗や工場などで事業を行っている場合には、担当者が直接訪問し、事業状況を確認することもあります。
面談後、審査が実施されます。なお、個人事業主や小規模企業の方の場合、申込みから審査結果がわかるまでの平均期間は、土日や祝日などをはさんで2週間程度です。ただし、申込みの条件などによっては審査期間が長くなることもあるので注意しましょう。審査に通過した場合は、契約・融資に進みます。
融資が実行されると返済が始まります。据置期間が設定されている融資を利用する場合には、据置期間終了後に返済開始です。なお、返済は基本的には月に1回ですが、年1回、年2回のように選択できる場合もあります。
日本政策金融公庫に融資を申込む際には、以下の書類を提出します。
それぞれどのような書類なのか、詳しく見ていきましょう。
個人事業主は、最近2期分の申告決算書を提出します。これから創業する場合や創業後1回しか確定申告を終えていない場合は、対応できる分だけで問題ありません。
法人として日本政策金融公庫に融資を申し込む場合は、最近2期分の確定申告書と決算書が必要です。また、決算から6ヵ月を超えるタイミングで日本政策金融公庫に融資を申し込む場合、あるいは創業して間もないときは、試算表も同時に提出します。
近年、決算書などの書類を電子データとして管理している個人・法人も増えてきました。日本政策金融公庫への融資申し込みの際も、電子データで提出することが可能です。電子データで管理していない場合には、郵送で提出します。ただし、郵送提出のときには、既定の提出書類に加えて、所定の申込書が必要です。
日本政策金融公庫では、創業資金や運営資金、設備資金などの融資を受けることができます。設備資金の融資を申し込む場合には、必要金額の見積書の提出も必要です。
初めて日本政策金融公庫から融資を受ける場合には、登記簿謄本や履歴事項全部証明書、日本政策金融公庫所定の企業概要書が必要です。また運転免許証やパスポートなどのコピーも提出します(法人の場合は代表者)。
飲食店などの許認可が必要な事業を営んでいる場合は、許可証や認可証、届出などのコピーも併せて提出しましょう。また、新たに事業を始める場合や創業後間もない場合は、日本政策金融公庫所定の創業計画書も提出します。
日本政策金融公庫では、融資ごとに申し込みの条件や必要な提出書類が異なります。担当者に相談したときに、どの融資が適しているのか、また必要書類は何かを確認しておきましょう。
日本政策金融公庫は、民間の金融機関における融資業務を補完する目的で設立された機関です。融資を申し込む前に、日本政策金融公庫のメリットについて理解しておきましょう。主なメリットとしては、次の2つが挙げられます。
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
日本政策金融公庫では、融資条件や資金使途などが異なる50種類以上もの融資を提供しています。担当者に相談し、自分に合うものを選ぶことができるでしょう。
また、融資条件だけでなくサポートが充実しているのも、日本政策金融公庫で融資を受けるメリットです。例えば、商工会議所や商工会などから経営指導を受けている小規模事業者が利用できる「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」や、独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合のサポートを受けて事業再生を行う方が利用できる「挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)」などがあります。
融資事業を通して国民の生活向上を目指す日本政策金融公庫では、融資の際に適用される金利が低く設定されています。なかには「新型コロナウイルス感染症特別貸付」のように、通常の金利よりもさらに低い金利が適用される融資もあるので、条件に該当するときは担当者に相談のうえ、検討してみましょう。
また、日本政策金融公庫には、返済期間が20年以下に設定された融資など長期的に借りられる種類もあります。毎月の返済額を抑えて利用できることがあるので、申し込むときは返済期間にも注目しましょう。
日本政策金融公庫の融資に申し込むときには、かならず審査が実施されます。審査に通過しない場合は、日本政策金融公庫から融資を受けることができません。次の注意点とコツを押さえて、審査に臨みましょう。
それぞれのポイントを解説します。
日本政策金融公庫では豊富な種類の融資が提供されています。融資の種類ごとに条件が異なるので、利用したい種類の条件に合致しているか確認しておきましょう。
審査に申し込んでから結果がわかるまでに約2週間かかります。審査に落ちて申し込みし直すと、さらに時間がかかり、融資を受けられるまでの時間も長引きかねません。一度の申し込みで審査に通過できるように、担当者と相談し、条件の確認を丁寧に行いましょう。
融資のなかには、自己資金なしでも申し込めるものもあります。しかし、自己資金があると審査に通過しやすくなることもあるので、ある程度は準備してから申し込むほうが良いでしょう。
なお、日本政策金融公庫が実施した調査によれば、創業資金を融資した企業において、創業資金総額に占める自己資金の割合は平均3割程度です。一概にはいえませんが、3割程度の資金を準備してから申し込むほうが良いでしょう。
担保や保証人を準備しておくことで、適用金利が低くなることがあります。準備できるときは、担保や保証人も検討しておきましょう。日本政策金融公庫の融資は基本的には低金利ですが、返済期間が長くなることで利息が高額になることもあります。少しでも低い金利が適用されるように工夫しましょう。
また、創業資金の融資を申し込むときは、担保や自己資金なども確認されますが、それ以上に創業計画がしっかりしたものであるかが重視されることがあります。担当者などとも話し合い、丁寧に妥当性の高い創業計画書を作成することも大切です。
日本政策金融公庫の融資は、低金利かつ返済期間が長期のものも多く、多額を借りるときなどにも検討できます。また、創業資金向けの融資もあり、銀行などの民間金融機関との取引実績がない場合にも対応できるでしょう。
日本政策金融公庫の融資も、民間金融機関を利用する場合と同様、審査が実施されます。審査に通過しない場合には融資を受けられないので、丁寧に準備をしてから臨むようにしましょう。日本政策金融公庫では、融資を申し込む前にオンラインや窓口などで担当者に相談することができます。融資における疑問点や提出書類、申し込みの条件などについて、気になる点は問い合わせておきましょう。
▼より詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考ください。
「【資金調達の方法】各方法のメリットや注意点を法人・個人別に解説」
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