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日本政策金融公庫とは?銀行との違いなどをわかりやすく説明

#資金調達

企業の成長を目指すうえで、資金調達は重要な課題の一つです。しかし、「どの金融機関を利用すべきか」といった迷いや不安を感じる経営者も少なくないでしょう。日本政策金融公庫は、公的な金融機関として創業初期や成長期の企業を支援し、さまざまな融資制度を通じて資金繰りをサポートしています。では、銀行との違いはどこにあるのでしょうか。

本記事では、日本政策金融公庫の概要や特徴、銀行との違い、メリット・デメリットを詳しく解説します。

目次

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫は、日本の政策金融を担う公的な金融機関です。国が株式の100%を保有し、財務省が管轄しています。

  • 日本政策金融公庫の役割
  • 日本政策金融公庫の前身
  • 銀行との違い

上記の視点からさらに詳しく解説します。

日本政策金融公庫の役割

日本政策金融公庫は政策金融の担い手として顧客の声に耳を傾け、的確な金融支援を行う金融機関です。地域の関係機関と連携し、地域社会の発展と日本の未来づくりに貢献しています。

また、自然災害や経済環境の変化などがあった際のセーフティネット機能としての役割も担っています。

日本政策金融公庫の前身

日本政策金融公庫の設立は平成20年10月1日です。日本政策金融公庫は、「国民生活金融公庫」、「農林漁業金融公庫」、「中小企業金融公庫」の3つが統合されて誕生しました。なお、前身となる機関を含めれば、その歴史は昭和24年設立の国民金融公庫までさかのぼります。

それぞれの機関は長年にわたり専門分野での知見を深め、日本経済の基盤を支えてきました。統合により70年以上の経験とノウハウを受け継ぎ、効率的で多様な金融支援の提供が可能になっています。

銀行との違い

日本政策金融公庫と銀行の違いを下記の表にまとめました。

  日本政策金融公庫 民間の銀行
事業の目的 日本経済の発展と安定化 自社の利益
金利 やや低い 普通
返済期間 長い(設備資金で20年など) 普通(設備資金で10年程度)
着金までの時間 普通(2週間~1カ月程度) 多様(数日から数ヶ月程度)
創業時の審査通過率 高め 低い
小規模事業者の審査通過率 高め 低め
担保・保証人 無担保・無保証人の融資制度あり 原則として担保・保証人が必要
無担保・無保証人のローンは審査が厳しい
自己資金 無担保・無保証人なら最低10%
担保・保証人ありなら規定なし
銀行ごとに異なる
預金 取り扱いなし 取り扱いあり

日本政策金融公庫は、政策金融機関として日本経済の発展や安定化を目的に運営され、役割やサービス内容が民間銀行とは大きく異なります。強みは創業時や小規模事業者への支援で、無担保・無保証人での融資制度や長期的な返済プランに特徴があります。

一方、預金業務は行っていません。資金調達や事業支援に特化した存在といえます。

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日本政策金融公庫の融資事業

日本政策金融公庫は事業者の多様なニーズに応えるため、以下3つの分野で融資事業を展開しています。

  • 国民生活事業
  • 中小企業事業
  • 農林水産事業

それぞれ詳しく見ていきます。

国民生活事業

 国民生活事業では、主に新規創業者や小規模事業者を対象とした融資を提供しています。特徴は、幅広い利用者層を支援している点です。融資先の約9割は、従業員9人以下の事業者で、平均融資残高は877万円となっています。無担保融資も全体の90%以上を占めており、事業をスタートさせたばかりで担保を用意できない人々にも支援を行っています。

また、財務診断やSWOT分析を通じた経営サポートや、創業計画書作成のアドバイスも実施しています。相談窓口は土日や夜間にも対応しており、オンラインサービスも利用可能です。

引用元:https://www.jfc.go.jp/n/finance/first/ko_under1.html ※2025年1月現在

中小企業事業(中小企業対象)

中小企業事業は、経営の安定化や事業拡大を目指す中小企業向けに設計されています。特徴は、長期固定金利での融資です。融資先は約5.8万件、平均融資残高は1億3,500万円に達し、特に5年以上の長期資金が過半数を占めます。

中小企業事業でも財務診断やSWOT分析を活用した具体的な経営アドバイスを提供しています。新たなビジネスパートナー探しの支援や、中小企業向け施策に関する情報発信も行っています。

引用元:https://www.jfc.go.jp/n/finance/first/ko_under3.html ※2025年1月現在

農林水産事業(農林漁業分野対象)

 農林水産事業は、農林漁業や食品産業に特化した融資や支援を行っています。たとえば、自然災害による収益の急減や価格下落、家畜伝染病の発生など、業界特有のリスクに対応するためのセーフティーネットとしての役割を果たします。

また、販路拡大や経営改善を目的とした情報提供や相談サービスも豊富です。たとえば「アグリフードEXPO」のような商談会を開催することで、新たな取引先の開拓を支援しています。

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日本政策金融公庫の融資制度

日本政策金融公庫は中小企業や個人事業主の事業運営を支えるために、さまざまな融資制度を提供しています。

  • 一般貸付
  • 特別貸付
  • 生活衛生貸付

上記3つの融資制度について、その特徴や利用条件を詳しく解説します。

資金調達や事業支援について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

日本政策金融公庫のスタートアップ支援資金とは?融資制度の拡充も解説

一般貸付

一般貸付は日本政策金融公庫が提供する融資制度の一つです。運転資金や設備資金など、幅広い用途に対応する資金調達方法となります。一般貸付について下記の表にまとめました。

資金の使いみち 運転資金 設備資金 特定設備資金
融資限度額 4,800万円 7,200万円
ご返済期間 5年以内(特に必要な場合7年以内)
<うち据置期間1年以内>
10年以内
<うち据置期間2年以内>
20年以内
<うち据置期間2年以内>
利率(年) 基準利率
返済期間または担保の有無によって異なる利率が適用されます。
担保・保証人 要相談
併用できる特例制度 経営者保証免除特例制度
創業支援貸付利率特例制度
設備資金貸付利率特例制度(東日本版)
賃上げ貸付利率特例制度

※2025年1月現在

一般貸付は資金使途や事業の状況に合わせた柔軟な対応が可能で、事業運営や成長を力強くサポートする制度です。利用を検討する際は、特例制度の内容も含め、詳細を確認のうえで申請を進めましょう。

特別貸付

特別貸付は特定の要件を満たす場合に利用できる融資制度です。対象となるケースは以下のとおりです。

  • 新企業育成貸付
  • 企業活力強化貸付
  • 環境・エネルギー対策貸付
  • セーフティネット貸付
  • 企業再生貸付

上記のケースでは、起業や新事業活動、環境対策、一時的な経営悪化の対応、経営再建など、目的に応じた資金調達が可能です。制度ごとに融資限度額や返済期間が細かく設定されており、事業の状況や課題に合わせた柔軟なサポートを受けられます。

特別貸付はほかの融資制度と別枠で利用できる場合が多く、必要な資金を確保しやすい仕組みです。

生活衛生貸付

生活衛生貸付は、飲食店、理容室・美容室、旅館、クリーニング店など、生活衛生に関わる事業を営む方が利用できる融資制度です。対象となるケースは以下のとおりです。

  • 一般貸付(生活衛生貸付)
  • 振興事業貸付

一般貸付(生活衛生貸付)の対象は、生活衛生関連の事業を営む方になります。融資限度額は7,200万円から4億8,000万円までです。(令和7年1月6日時点)

振興事業貸付は、地域振興を目的とした振興計画の認定を受けた生活衛生同業組合の組合員が利用でき、設備資金や運転資金に対して無担保または有担保で柔軟な融資が行われます。振興事業貸付での設備資金の返済期間は最長20年以内、運転資金の返済期間は最長7年以内です。

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日本政策金融公庫を利用するメリット

日本政策金融公庫を利用する主なメリットは、以下の5つがあげられます。

  • 創業初期の企業でも融資を受けやすい
  • 担保や保証人がなくても融資を受けられる
  • 民間金融機関より金利が低くなることがある
  • 返済期間を長めに設定できる
  • 融資の手続きが簡素化されている

それぞれ詳しく解説します。

創業初期の企業でも融資を受けやすい

日本政策金融公庫は、創業初期の企業でも融資を受けやすい環境が整っています。これは創業支援を「重点的な取り組み」の一つとして掲げていることに起因します。事業実績だけでなく、企業の将来性や成長性を重視し、積極的に支援する方針を打ち出しているためです。

担保や保証人がなくても融資を受けられる

融資を受けるために担保となる資産や保証人を用意するのは、創業間もない企業にとって高いハードルです。日本政策金融公庫の場合、制度によっては担保・保証人なしでも融資を申し込めます。

返済が滞った場合のリスクを日本政策金融公庫が負ってでも、事業の成長可能性を後押しするスタンスを取っているためです。

民間金融機関より金利が低くなることがある

日本政策金融公庫の融資は、民間金融機関に比べて低い金利となる場合があります。民間の金融機関から事業資金を調達する際、一般的な金利水準は信用保証協会の保証付き融資で2%前後、銀行のプロパー融資で1~3%程度、信用金庫の融資で2~6%程度、ノンバンクになると3~18%程度と幅があります。

対して、日本政策金融公庫の基準金利は、税務申告を2期終えていない方でも、年率1.20〜3.70%(令和7年1月6日時点)です。金利は融資制度や条件によって異なりますが、総じて民間金融機関よりも低めの水準になっています。

返済期間を長めに設定できる

日本政策金融公庫は、融資制度に応じて返済期間を長く設定できる点がメリットです。民間金融機関よりも長期的な返済プランが可能で、最大20年程度の期間を設けられる場合があります。

返済期間を長く設定すると毎月の返済負担が軽減され、事業の資金繰りを安定させやすくなります。売上が不安定な時期でも無理のない金額で返済していけるため、経営の安定につながりやすいでしょう。

融資の手続きが簡素化されている

日本政策金融公庫は、融資の申請手続きが簡便な点も魅力です。信用保証協会を経由しないため、提出書類の種類が比較的少なく、審査の手続きは基本的に1回で済みます。

新規事業の立ち上げ時に必要な資金を早急に確保したい場合でも、簡便な手続きで早めに融資を受けられる可能性が高いです。日本政策金融公庫で融資を受ける流れについては、下記の記事で詳しく解説しています。

日本政策金融公庫で融資を受ける流れを解説!注意点や審査のコツも紹介

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日本政策金融公庫を利用するデメリット

日本政策金融公庫を利用する主なデメリットは、以下の4つです。

  • 支店が少ない
  • 中小企業事業の融資制度は繰り上げ返済できない
  • 金利が固定されている
  • 審査に落ちると6ヶ月間は再申込ができない

それぞれ詳しく解説します。

支店が少ない

日本政策金融公庫は沖縄を除く全国に展開しているものの、地方では支店数が限られます。そのため、地方の事業者は手続きのために遠方まで出向かねばなりません。最寄りの支店が遠い場合、移動時間や交通費が負担となるでしょう。

また、納税地によって担当する支店が決まるのも不便な点です。地方での利用を検討する場合、事前に支店の場所や必要な手続きを確認し、効率的なスケジュールを組んでおきましょう。

中小企業事業の融資制度は繰り上げ返済できない

日本政策金融公庫の国民生活事業では繰り上げ返済が可能ですが、中小企業事業の融資制度では認められていません。中小企業にとっては、「繰り上げ返済ができない」という点は大きなデメリットとなる場合があります。

たとえば、事業が順調に進み早めに返済したい場合でも、繰り上げ返済ができないため、返済期間に縛られることがあります。結果として、余剰資金を新たな投資や事業拡大に使うことが難しくなるかもしれません。

早期返済を考えている場合は、事前に担当者に相談し、自社に合った制度を選ぶ必要があります。繰り上げ返済ができない点を理解したうえで、返済計画を慎重に立てましょう。

金利が固定されている

日本政策金融公庫の融資は固定金利です。固定金利は金利変動リスクを回避できるメリットがある一方、市場金利の動向次第ではデメリットになります。たとえば、融資後に市場金利が大幅に低下した場合、民間金融機関の変動金利を利用していれば、返済額を抑えられる可能性があるためです。

ただし、日本政策金融公庫の固定金利は低めに設定されており、長期間にわたる返済を計画する場合には安定した資金計画を立てやすいのが利点です。特に長期返済時の安定性を重視する場合には、固定金利の方が有利になります。

日本政策金融公庫利用を検討する際は、金利変動リスクと返済計画のバランスを十分に考慮し、自社の事業状況に適した金利の種類を選ぶことが大切です。

審査に落ちると6ヶ月間は再申し込みができない

日本政策金融公庫の審査に落ちると、状況が変わらない限り6ヶ月間は再申し込みができません。審査に落ちたことで資金調達が遅れると、事業計画に大きな影響を与える可能性があります。たとえば、新規事業の立ち上げを予定している場合、融資を見込んでいた資金が確保できず、計画の見直しや延期を余儀なくされることがあります。

審査を通過するためには、事業計画書や資金繰り表を十分に準備し、必要に応じて専門家のサポートを受けることが重要です。再申請が難しい点を理解し、初回の申請に万全の準備で臨む必要があります。

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まとめ

日本政策金融公庫は、公的な政策金融機関として企業や地域社会の発展を支援しています。特に、創業初期の企業や中小企業、小規模事業者に対する融資制度が充実しており、低金利や長期返済といった特徴があります。

融資を検討する際には、自社の事業計画や資金ニーズを明確にし、日本政策金融公庫と銀行などの選択肢を比較することが重要です。

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