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日本政策金融公庫のスタートアップ支援資金とは?融資制度の拡充も解説

#資金調達

スタートアップにおける資金調達方法の一つが、日本政策金融公庫からの融資です。なかでも、創業間もない企業におすすめなのが「スタートアップ支援資金」です。


本記事では日本政策金融公庫のスタートアップ支援資金とは何かを説明し、融資制度の拡充や「スタートアップサポートプラザ」についてわかりやすく解説します。

目次

日本政策金融公庫のスタートアップ支援資金とは

日本政策金融公庫のスタートアップ支援資金とは、融資制度の一つです。ここでは具体的にどのようなものかを紹介します。

起業した会社を支援する制度のひとつ

日本政策金融公庫のスタートアップ支援資金とは、起業直後で資金調達方法に悩む企業に対して支援を行う制度です。創業間もない企業が必要とする資金を提供し、事業の安定と成長を支援することを目的としています。

日本政策金融公庫はスタートアップ支援資金以外にも、挑戦支援資本強化特別貸付や新株予約権付融資などさまざまな支援を行っています。詳しくは次の記事を参考にしてください。

日本政策金融公庫で融資を受ける流れを解説!注意点や審査のコツも紹介

シード期からミドル期まで幅広く支援

スタートアップ支援資金では、シード・アーリー・ミドル期などの幅広いステージをカバーし、資金調達方法に悩む企業を支援しています。

一般的なスタートアップのステージを次のとおりまとめます。

  • シードステージ:ビジネスアイデアが生まれたばかりの段階で、事業計画の策定や市場調査、プロトタイプの開発が行われる
  • アーリーステージ:製品やサービスが市場に投入され、初期の顧客獲得と市場でのフィードバックを基にした改善が進められる
  • ミドルステージ:顧客基盤が拡大し、売上が増加する中で、事業の拡大と組織の強化が図られる
  • レイターステージ:市場での地位を確立し、さらなる成長やIPO(新規株式公開)を目指す

最適な資金調達の方法は、ラウンドによって異なります。資金調達ラウンドについては、次の記事でも詳しく説明しています。

資金調達ラウンドとは?スタートアップが知っておくべきステージや資金調達方法を解説

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日本政策金融公庫のスタートアップ支援資金の詳細

スタートアップ支援資金の詳細をまとめます。利用条件、融資内容、返済期間を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

利用条件

スタートアップ支援資金の利用条件は次のとおりです。

次のすべてに当てはまる方

  1. 事業計画書を策定し、事業の成長をはかること
  2. 次のいずれかに該当すること
        イ.一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会の会員(賛助会員を除く。)等又は独立行政法人中小企業基盤整備機構若しくは株式会社産業革新投資機構が出資する投資事業有限責任組合等から出資(転換社債、新株引受権付社債、新株予約権及び新株予約権付社債等の取得を含む。)を受けている方
        ロ.JーStartupプログラムまたはJーStartup地域版プログラムに選定された方
    出典:日本政策金融公庫|スタートアップ支援資金

資金使途は設備資金および長期運転資金です。短期的な運転資金としては利用できない点に注意してください。

融資内容

融資の限度額は、直接貸付により20億円です。金利は次のとおりです。

<対象者「2のイ」の方>
特別金利:0.85%〜1.65%(上限2.5%)

<対象者「2のロ」の方>
特別金利:0.85%〜1.65%(上限2.5%)
基準利率:1.50%〜2.30%(上限2.5%)

※2024年7月9日現在
参考:日本政策金融公庫|スタートアップ支援資金

利率は信用リスクや融資期間などに応じて適用されます。

返済期間

返済期間は次のとおりです。

  • 設備資金:20年以内(うち据置期間10年以内)
  • 運転資金:20年以内(うち据置期間10年以内)

※2024年7月9日現在
参考:日本政策金融公庫|スタートアップ支援資金

スタートアップ支援資金は、無保証人の制度です。担保の有無は相談のうえ決定されますが、日本政策金融公庫が新株予約権を取得することで、無担保で支援してもらえる仕組みなどもあります。

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スタートアップ支援資金の拡充

2024年から、スタートアップ支援資金の融資制度が拡充されています。ここでは拡充内容と「スタートアップサポートプラザ」について説明します。

スタートアップ支援資金の拡充内容

具体的な拡充内容は次の通りです。

<小規模事業者向け(国民生活事業)>

  2023年度(拡充前) 2024年度(拡充後)
要件 創業時に創業資金の10%以上の自己資金が必要 なし
融資限度額 3,000万円(うち運転資金:1,500万円) 7,200万円(うち運転資金:4,800万円)
返済期間(運転資金) 7年以内(原則) 10年以内(原則)
措置期間 2年以内 5年以内

<中小企業向け(中小企業事業)>

  2024年2月15日以前(拡充前) 2024年2月16日以後(拡充後)
融資限度額 14.4億円 20億円

参考:日本政策金融公庫|「スタートアップサポートプラザ」の新設について

新創業融資制度の融資限度額が2.4倍に引き上げられ、従来の3,000万円から7,200万円へと増えました。より多くの資金が無担保・無保証で調達可能となり、スタートアップ企業の資金調達の柔軟性が大幅に向上しています。

また、中小企業向けの融資制度も拡充され、融資限度額が従来の14.4億円から20億円に引き上げられました。

スタートアップサポートプラザが新設

「スタートアップサポートプラザ」とは、シード・アーリー期のスタートアップを支援する拠点のことです。2024年4月に新設された拠点は、次の4都市です。

拠点名 対象エリア
東京スタートアップサポートプラザ 東京都
名古屋スタートアップサポートプラザ 静岡県、愛知県、岐阜県、三重県
大阪スタートアップサポートプラザ 大阪府、奈良県、和歌山県
福岡スタートアップサポートプラザ 福岡県、佐賀県、長崎県、大分県

スタートアップサポートプラザが新設された背景には、「スタートアップ育成5カ年計画」があります。「スタートアップ育成5カ年計画」は、2027年までにスタートアップへの年間投資額を現在の8千億円規模から10兆円規模に増やし、100社のユニコーン企業と10万社のスタートアップ企業を生み出すことなどを目標とする政策です。

こうした政府の方針を踏まえ、シード・アーリー期のスタートアップに対する融資相談にきめ細かく対応するため、上記の4都市に支援拠点を設けることになりました。

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日本政策金融公庫のメリット・デメリット

日本政策金融公庫はスタートアップの資金調達として一般的な方法の一つですが、メリットとデメリットがあります。ここで紹介するメリット・デメリットを踏まえて、自社にとって必要かどうかを検討しましょう。

日本政策金融公庫のメリット

日本政策金融公庫の制度を利用するメリットは次のとおりです。

  • 起業したばかりでも利用しやすい
  • 要件を満たせば無保証・無担保で利用できる
  • 融資の種類が多い

日本政策金融公庫の融資制度は、実績の少ない起業家でも資金調達が可能です。また、一定の条件を満たすことで無担保・無保証での融資が可能です。通常の銀行融資では実績や担保が必要となる場合が多いため、スタートアップにとってありがたい制度といえるでしょう。

さらに、女性・若者/シニア起業家支援資金、企業活力強化資金など、起業家のニーズに応じたさまざまな融資制度があります。各企業の状況や成長ステージに応じて、最適な資金調達が可能です。

日本政策金融公庫のデメリット

日本政策金融公庫の制度を利用するデメリットは次のとおりです。

  • 審査期間が長い
  • 必要になる書類が多い
  • デットファイナンスになるため毎月の返済が必要になる

日本政策金融公庫の融資は、審査に時間がかかることがあり、融資決定までに3週間~1か月程度かかります。

また、創業計画書や見積書、証明書類などの書類が必要です。準備が不十分であると審査が遅れたり、不備が原因で融資が却下されたりするリスクもあります。

また、日本政策金融公庫の融資はデットファイナンスであるため、毎月の返済義務が生じます。事業のキャッシュフローに影響を与える可能性があるだけでなく、返済が滞ると信用に傷がつき、将来的な融資が困難になるリスクもあるでしょう。

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まとめ

日本政策金融公庫のスタートアップ支援資金は、創業間もない企業でも利用しやすい制度です。ただし、上述したとおりデットファイナンスであるうえに、審査期間が長いため、迅速な資金調達には向いていません。

迅速な資金調達を希望する場合は、当社の『マネーフォワード トランザクションファイナンス for Startups』の利用も検討できます。当サービスには、次のような特長があります。

  • 業界最低水準の手数料0.5%~
  • 審査通過後、翌営業日に入金可能
  • 複雑な書類手続きは不要

資金調達の経験がないスタートアップでも利用可能です。将来の資金繰り次第では億単位の資金調達も可能ですので、まずはお気軽に資料ダウンロード・お問合せからご相談ください。

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