レベニューベースドファイナンスとは、未来の売上を現金化して資金調達を行う方法です。
本記事ではレベニューベースドファイナンスの概要とメリット・デメリットに加え、ほかの資金調達方法との違いを詳しく解説します。レベニューベースドファイナンスがおすすめの業種も紹介していますので、参考にご活用ください。
まず、レベニューベースドファイナンスとは何かを詳しく解説し、2つの種類について紹介します。
レベニューベースドファイナンス(Revenue-Based Finance, RBF)とは、将来の売上を原資として現金化し、資金調達する方法です。資金調達をした企業は、事前に取り決めた金額に至るまで、資金調達元に対して事業収入から一定割合を返済します。
なお、調達した資金は、貸借対照表では「負債」として計上されます。
レベニューベースドファイナンスには、「変動受取型(Variable collection)」と「定額型(Flat fee)」の2つの種類があります。
変動受取型は売上に連動した金額を毎月返済する方法で、業績により支払金額が変わります。業績が良い場合は支払金額が増え、短期間で返済できる点が利点です。一方で、業績が悪化している場合、支払金額は少なく済みますが、返済期間が長期化します。
定額型は業績にかかわらず、毎月一定の金額を返済する方法です。資金調達元により異なりますが、一般的に支払期間は約1年程度とされています。月々の支払金額が決まっているため、売上規模が大きくなるほど、支払金額の占める割合は小さくなります。そのため、スタートアップなど成長期にある企業に適した手段です。
ここからは、レベニューベースドファイナンスとほかの資金調達方法との違いについて解説します。
自社のフェーズや状況に応じた資金調達を行うためにも、違いを理解しておくことが大切です。
レベニューベースドファイナンスと銀行融資とでは、返済原資が異なります。銀行融資の返済原資は主に営業利益です。一方、レベニューベースドファイナンスは将来の売上を譲渡する仕組みであり、返済原資は将来の売上になります。
売上が返済融資となるため、変動受取型であれば、業績によって返済額が異なります。対して、銀行融資の返済は、基本的に返済計画通りに進みます。このような点も、銀行融資との違いといえるでしょう。銀行融資の概要や融資を受ける方法については、次の記事でも解説しています。
法人が銀行から融資を受ける方法とは?必要書類や流れもわかりやすく解説
レベニューベースドファイナンスとベンチャーキャピタルからのエクイティファイナンスは、株式譲渡の有無が異なります。レベニューベースドファイナンスでは、株式譲渡は行われません。企業の所有権や経営権に影響を与えることなく、資金調達が可能です。
一方で、ベンチャーキャピタルは出資という形で資金を提供し、その対価として企業の株式を取得します。出資者が株主となるため、企業経営において一定の発言力を持ちます。
ベンチャーキャピタルからのエクイティファイナンスのメリットや注意点について、詳しくは次の記事で解説しています。
ベンチャーキャピタル(VC)とは未上場企業への投資会社!メリットや注意点は?
レベニューベースドファイナンスとファクタリングとの違いは、「債権が発生しているか」、「売掛債権の金額によって資金調達できる金額が限定されるか」にあります。レベニューベースドファイナンスは将来の収益から直接返済が行われるため、債権ではなく売上に基づいた契約になります。
一方、ファクタリングは債権を譲渡する資金調達法です。調達できる資金額は、売掛債権の範囲内となり、ファクタリング会社へ手数料を払う必要があります。ファクタリングに関しては、次の記事をご覧ください。
レベニューベースドファイナンスが自社にとって必要かどうかは、メリット・デメリットから判断することが大切です。
レベニューベースドファイナンスのメリットは次の4つです。
詳しく解説します。
資金調達時点では利益が出ていなくても資金調達が可能なことが、レベニューベースドファイナンスの大きなメリットです。レベニューベースドファイナンスは「将来」の売上に基づく資金調達方法のためです。
一般的には、企業の運営が赤字であったり利益が出ていなかったりすると、資金調達は難しくなります。そのため、事業を始めたばかりの企業やJカーブを狙うスタートアップは、思い通りの資金調達ができなくなってしまうケースも珍しくありません。
レベニューベースドファイナンスは将来の売上からロイヤリティを渡す資金調達方法であるため、重視されるのは営業利益ではなく粗利益や売上高です。そのため利益が出ていなくても資金調達が可能であり、返済にかかるコストも抑えられます。
個人資産や担保などの保証がなくても資金調達できるのも、レベニューベースドファイナンスのメリットです。一般的に、銀行融資では事業者の個人資産や担保が求められることもあります。スタートアップ企業にとっては担保の用意が難しく、融資を受けられないケースは少なくありません。
レベニューベースドファイナンスなら担保がなくても利用できるため、資産を渡すことなく資金調達できる点が特長です。
レベニューベースドファイナンスは、エクイティファイナンスではありません。株式譲渡を行わないため、株式の持ち分を減らさずに資金調達できます。
エクイティファイナンスは返済不要の資金調達方法ですが、出資者に株式を譲渡しなければなりません。例えば、株式の50%以上を渡してしまうと、役員の選任や報酬の決定、事業計画の承認などを行えるようになります。場合によっては、今まで通りの体制で経営することが難しくなってしまうでしょう。
レベニューベースドファイナンスなら、意思決定の自由を保つことが可能です。
短期間で資金調達ができる点も、レベニューベースドファイナンスのメリットです。判断に必要な材料が、比較的少ない傾向にあるためです。
銀行融資やベンチャーキャピタルでは、一般的にコンタクトから資金調達までに数か月の時間がかかります。審査だけでなく、必要書類を揃えるための時間やリソースも必要です。
レベニューベースドファイナンスのデメリットは次の3点です。
詳しく解説します。
レベニューベースドファイナンスは将来の売上債権をロイヤリティとして現金化する仕組みのため、売上がほとんど期待できない企業では、エンジェルラウンドより低い金額しか調達できないケースも少なくありません。
ただし、売上が見込める商品やサービスであれば、調達可能な資金が増える可能性があります。どのような業種に適しているかについては、後述する「レベニューベースドファイナンスがおすすめの業種」をご覧ください。
レベニューベースドファイナンスを利用するには、一定の売上を必要とする点に留意が必要です。レベニューベースドファイナンスは、将来の売上からロイヤリティを渡す仕組みのため、一定の売上げが見込めないと希望の資金額が調達できない可能性があります。
特に価格変動が大きい商品を扱うビジネスでは、予測不可能な収益変動が出資者の判断に影響を及ぼし、資金調達が困難になる場合があるでしょう。
レベニューベースドファイナンスの支払期間が10年を越えると、債権譲渡登記に影響を及ぼす可能性があります。債権譲渡登記とは、債権譲渡が行われた事実について法務局に登記をし、公示をすることです。
民法上、債権譲渡について対抗できる債権譲渡登記の期間は10年に制限されています。そのため、レベニューベースドファイナンスの支払期間は10年以内に限るのが賢明です。なお、10年経過後は債権譲渡登記の効果が失われるため、再度、債権譲渡登記を行う必要があります。
参考:法務省|債権譲渡登記制度
レベニューベースドファイナンスがおすすめの業種は次の3つです。
それぞれ解説します。
D2C(Direct to Consumer)は、製造者が消費者に直接商品を販売するビジネスモデルを指します。中間業者を介さずに販売が行われるため、より高い利益率や顧客との直接的な関係構築が可能です。
特に健康食品や化粧品など、定期的に消費される商品を扱うD2Cビジネスはリピート購入が見込まれるため、安定した売上が期待できます。売上の予測が比較的容易であり、返済計画を立てやすくなるため、レベニューベースドファイナンスに向いています。
SaaS(Software as a Service)は、インターネットを利用してソフトウェアを使うWebサービスのことです。例えば、Microsoft365やSlack、ChatWorkなどが挙げられます。
売り切りではなくサブスクリプションで提供されることが多いため、売上の予測可能性ができ、長期的な事業運営に適していることから、レベニューベースドファイナンスが向いています。
EC事業とはElectronic Commerceの略称で、電子商取引のことです。一般に、インターネットを経由して、サービスや商品の売買を行う事業を指します。具体例には、Amazonや楽天などのネットショップ、出前館といったデリバリーサービス、航空券やチケットなどの予約サイトが挙げられます。
EC事業は、消費者の需要に応じて効率的に仕入れや在庫管理を行うことができるうえに、デジタルマーケティングを通じて顧客行動を分析し、広告を最適化することが可能です。将来の売上を比較的予測しやすくなるため、レベニューベースドファイナンスと相性が良いといえます。
レベニューベースドファイナンスとは、将来の売上を原資として現金化し、資金調達をする方法です。利益が出ていなくてもスピーディーに資金調達ができるため、スタートアップの新しい資金調達方法として注目を集めています。スピーディーに資金調達できる方法として、レベニューベースドファイナンスのほかにファクタリングの利用も検討できるでしょう。
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