スタートアップの資金調達の選択肢としてファクタリングは活用可能な手段の一つです。ファクタリングにはメリットとデメリットがあるため、自社にとって必要な資金調達方法かどうかをしっかり見極めることが重要です。
本記事ではファクタリングについての解説と、スタートアップが利用する際の具体的なメリットや注意点を紹介します。
ファクタリングは、スタートアップが活用しうる資金調達方法の一つです。ここではファクタリングの必要性や必要になる場面について解説します。
ファクタリングは、スタートアップにとって素早く資金調達できる方法の一つです。企業が持つ売掛債権をファクタリング会社へ売却するため、最短で審査後の翌営業日に資金調達することが可能です。素早い事業展開が求められるスタートアップにとって、重要な資金調達方法の一つといえるでしょう。
ファクタリングには二者間ファクタリングと三者間ファクタリングの2種類があります。仕組みについては次の記事で詳しく解説していますので、そちらもご参考ください。
スタートアップで重要なことは素早く資金調達し、成長力を高めることです。なぜなら短期間で急成長を狙うのがスタートアップの優位性につながるからです。そのためには資金調達が不可欠になります。
また、スタートアップは手持ち資金が少なくなるケースもあります。理由は、既存の企業に比べて認知度やブランド力が低いため、事業計画通りに進まないことがあるためです。こうした局面を乗り越えるために、ファクタリングをはじめとした迅速な資金調達手段が求められる場面があります。
一般的にファクタリングは、資金繰りが厳しくなったり、融資を受けられなかったりする状況で利用されます。ただし、スタートアップの場合は、エクイティファイナンスやデットファイナンスの際に、より良い条件で資金調達することを目的としてランウェイを延ばすために活用されています。
また、急成長を求められる段階での局所的な投資や、手元の現金をできるだけ減らしたくない場面で利用することもあります。
ファクタリングが自社に必要かどうかを判断するには、「どのようなメリットがあるのか」を把握しておくことが大切です。ここではスタートアップにとってのファクタリングのメリットを7つ紹介します。
スタートアップは迅速な資金調達が必要になる場面があります。たとえば、予想以上に利益が出た場合、在庫の拡充や人材の採用、オフィスの拡大などを短期間で求められることがあります。
エクイティファイナンスやデットファイナンスでの資金調達をする場合、実際に手元に資金を用意できるまでに数ヶ月かかることも珍しくありません。しかし、ファクタリングなら審査後、最短翌営業日に資金調達できます。
デットファイナンスの場合、借入金の返済が必要となるためキャッシュフローを圧迫しかねません。エクイティファイナンスの場合は株式の譲渡が伴い、持株比率の希薄化を招くため、経営権の一部を失う可能性があります。
これに対して、ファクタリングは返済義務も株式の譲渡も不要です。そのため、柔軟かつ迅速に資金を確保することができます。
ファクタリングは、企業の業績や信用状況に左右されずに行える資金調達手段です。売掛債権の売却という性質上、デットファイナンスのように返済能力を重視されることがありません。
場合によっては、赤字の企業や信用事故を起こした企業でも利用できる可能性があります。売上がほとんどないスタートアップでも、売掛債権の範囲内であれば安全に資金調達が可能です。
売掛金は未入金などのリスクにつながる恐れがあるため、場合によっては経営に大きなダメージを与えかねません。ファクタリングの場合、債権譲渡後の売掛先企業の未払いリスクはファクタリング会社が負担するため、未回収リスクの回避に役立ちます。
万が一取引先が倒産した場合でも、ファクタリング会社が回収を行うため、未回収リスクの回避につながります。
ファクタリングは、手続きが他の資金調達手段と比較して、勘弁かつ迅速に資金調達ができます。たとえば、二者間ファクタリングは売掛先の承諾が不要で、手間がかからず利便性が高い方法です。
さらに、オンラインファクタリングでは対面取引が必要ありません。手続き全般をオンラインで完結できるため、少ない人数で多くの業務をこなしていることの多いスタートアップにとって、便利なサービスといえるでしょう。
ファクタリングは借り入れではなく、売掛債権を売却する方法です。そのため負債としては計上されず、会社の信用情報に影響を及ぼしません。負債が増えず融資枠を圧迫しないため、ほかの資金調達手段と併用することが可能です。
スタートアップやベンチャー企業にとって、満額の資金調達を目指しながら信用情報を保つために有効な方法といえるでしょう。
ファクタリングは負債として計上されないため、企業は健全な財務諸表を作成しやすくなります。
たとえば、ノンリコースのファクタリングでは、売掛先の倒産リスクを負わずに現金化できるため、財務の健全性を保てます。総資産利益率(ROA)や自己資本比率が向上し、投資家や金融機関からの信用を得やすくなるでしょう。
ファクタリングには、いくつか注意点もあります。検討する際に、注意点も把握しておくことが大切です。ここでは2つの注意点を紹介します。
ファクタリングには手数料がかかるため、事業計画に影響を及ぼす恐れがあります。手数料はサービス提供企業や契約内容によって異なりますが、二者間ファクタリングでは1%〜20%程度に設定されています。
手数料が高いと調達した資金の一部が手数料として消えるため、事業運営に必要な資金が減少します。ファクタリングを利用する際は、手数料が安い会社を選ぶことが重要です。
ファクタリングの利用可否は、売掛先の信用度によって決まります。自社がどれだけ事業を成長させても、売掛先に問題があればファクタリングを利用できない可能性があります。
また、シード段階のスタートアップなどのように売掛債権がほとんど発生しない場合、そもそもファクタリング自体を利用できない可能性もあるでしょう。
ファクタリングのほかに、「エクイティファイナンス」「デットファイナンス」という資金調達方法があります。ここではそれらとファクタリングとの違いを紹介します。
エクイティファイナンスは株式発行による資金調達方法です。ファクタリングと同様、返済義務がないため、まだ売上がほとんどないアイデア段階のシード期、エンジェル投資家・VCからアドバイスを提供してもらいたいアーリー期などのスタートアップにおすすめです。
ただし、持株比率が変わらないファクタリングと異なり、エクイティファイナンスは持株比率が希薄化し、出資者が経営に参加する可能性があります。
また、エクイティファイナンスは事業計画書やピッチ資料の作成、投資家選定、出資条件の交渉、デューデリジェンスなど、資金調達に数ヶ月かかることが一般的です。一方、ファクタリングは比較的迅速に資金を調達できるため、急なニーズにも対応可能です。
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デットファイナンスは借入金による資金調達方法で、金融機関からの融資や社債の発行など資金調達手段は多岐にわたります。安定した売上があるミドル期やレイター期、または持株比率を減らしたくないスタートアップに適しています。
ただし、返済義務のないファクタリングとは異なり、デットファイナンスでは元金と利息を返済しなければなりません。その際、デットファイナンスは借金として負債に計上されます。
また、デットファイナンスは事業計画書の作成に加え、与信審査が必要であり、資金調達までに時間がかかります。与信審査は財務状況により、1ヶ月以上かかることも少なくありません。一方、ファクタリングは手続きが比較的簡単であるため、迅速に資金を調達できます。
スタートアップの企業にとってファクタリングは、迅速に資金調達できる便利な方法の一つです。単に資金繰りが悪化したときだけでなく、さまざまな場面で活用できます。ただし、サービスによって手数料などが異なる点に注意してください。
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