スタートアップにとって、スケールアップは必要不可欠です。ただし、スケールアップにはPMFの達成や市場の選定、資金調達方法の見極めなどさまざまな課題があります。
本記事ではスタートアップにとっての「スケールアップとは何か」について説明します。そのうえで、スタートアップがスケールアップをするためのポイントや注意点を解説するので、ぜひ参考にしてください。
スケールアップとは、急速に事業が成長し拡大している状態のことです。具体的には、売上が年ごとに倍以上に増加するなど、事業規模が短期間で大幅に拡大している状況を示します。このような企業を、スケールアップ企業と呼ぶことがあります。
企業がスケールアップすると課題も生じます。たとえば、急成長に伴い組織のコントロールなどは難しくなるでしょう。急速な拡大に対応するには、従業員の増員や業務プロセスの再編成、システムの拡充など、多くの課題への対処が求められます。
一方、企業がスケールアップをめざすことで、市場規模拡大やシェア率の拡大にもつながるメリットがあります。スケールアップは多くのチャレンジを伴うものの、飛躍的な成長と成功につながる可能性があります。
スケールアップ企業とは、急速に成長し、規模を拡大している企業を指します。経済協力開発機構 (OECD)は、3年間で売上高または従業員数が20%以上成長している企業を『scalers』と呼び支援しています。海外の金融機関では、OECDが支援するscalersをスケールアップ企業と定義するケースもあります。
スタートアップでは、どれだけ短期間で確実にスケールアップできるかが重要です。ここではスケールアップするポイントを7つ紹介します。
PMFとは「Product Market Fit」の頭文字を取った言葉で、製品が顧客に受け入れられているかを判断する基準です。PMFを達成させるためには、「顧客の課題を満足させる製品」と「適切な市場」の両方が揃っていることが重要です。
どちらか一方が欠けても、PMFの達成は見込めません。人材や資金が尽きてしまい、失敗につながる可能性が高くなるでしょう。
マーケットシェアの獲得・拡大の見込みがある市場に参入すれば、事業とともに企業はスケールアップする可能性が高まります。
市場を見極めるためには、競合他社の分析やターゲットとなる顧客層のニーズを把握することが必要です。また、技術やトレンドの変化にも注目し、市場の動向を予測することが大切です。
顧客の種類を増やすことにも取り組みましょう。大口の顧客に依存せず、複数の企業との取引を行うことが重要です。大口の顧客に依存していると、離れてしまった場合に事業が失敗するリスクが高まります。
また、国内市場だけでなく海外展開という方法もあります。国際市場に進出することで、新たな顧客を獲得し、事業の成長を加速させる可能性があります。
スタートアップがスケールアップするためには、適切な人材が不可欠です。特に少数のメンバーで事業を展開していくスタートアップにとって、人材の獲得や育成は成長の大きな鍵を握ります。優れたスキルと経験を持つ人材を見つけ、育てることで、事業の拡大や新しい市場への進出がスムーズに進むでしょう。
また、起業家が自分の力だけでは限界があると認識することも大切です。専門的な知識やスキルを持つ人材をチームに迎えることで、スケールアップに必要なリソースが増加します。
スタートアップは予期せぬ支出や収入の遅れが発生することがあるため、事業計画通りに進まないリスクを考慮した経営が必要です。リスクを適切に管理し、計画を柔軟に調整することで、持続的な成長を目指せます。
リスク管理には、定期的に事業を振り返ることも重要です。市場の変動や競合他社の動向、自社の課題など、さまざまなリスク要因を定期的に見直し、適切な対策を講じることによって、事業の安定性を確保できるでしょう。さらに、短期的な利益だけに目を奪われず、長期的な視点で事業を考えることも大切です。
現在の業務を分析して無駄や重複を排除することも重要です。業務プロセスを見直し、最適化することで、リソースを最大限に活用できるようになるでしょう。
たとえば、顧客対応をチャットボットに置き換えることで、24時間対応が可能となり、顧客満足度を向上させながら人件費を削減できます。また、データ入力を自動化することで、手作業によるミスを減らし、処理速度を向上させられることなども考えられるでしょう。
事業の成長に応じて適切なタイミングで資金調達を行うことで、新たな市場への進出や製品開発など成長機会を逃さずに事業を展開できます。
資金調達は、自社に合った方法を見極めることが重要です。スケールアップにおいては、デットファイナンスとエクイティファイナンスを用いるのが一般的です。
デットファイナンスは返済義務を負いますが、経営権を希薄化させることはありません。一方、エクイティファイナンスは返済義務がないものの、株主への配当や経営権の分散が生じます。詳しい資金調達方法は、次の記事でも解説しています。
スタートアップがスケールアップする際には、いくつか注意点もあります。ここでは2つの注意点を紹介します。
スケールアップにより企業規模が拡大すると、人員も増えるため、組織全体の運営が複雑化しかねません。結果として、小規模なときには迅速に行えていたコミュニケーションや意思決定が、円滑に進まなくなる可能性があります。
さらに、新たな部門やチームが設立されると、組織の一体感や統一性が失われる可能性もあるでしょう。スケールアップの過程で効果的なマネジメント手法を導入し、組織の一体感を維持するための取り組みを強化することが重要です。
スケールが大きくなるにつれ、売上も増加します。一方で、設備導入費用や人材費、固定費などのランニングコストも増えます。特に固定費が増加すると、売上が下がったときに経営を圧迫するリスクが高まりかねません。
スタートアップは常に右肩上がりで成長するとは限らず、経済状況や市場の変動など、さまざまな要因で売上が著しく下がることもあります。そのため、ある程度のラウンドに到達した段階で、万が一のリスクもしっかりと考慮に入れることが大切です。たとえば、資金の一部を予備資金として確保したり、コスト削減の効率化をはかるなどの対策が必要です。
スタートアップは迅速なスケールアップが求められます。スケールアップにはPMFの達成などが必要です。また、自社のラウンドに合った資金調達方法を見極めましょう。エクイティファイナンスとデットファイナンスは一般的な資金調達方法ですが、どちらも数カ月程度の時間がかかります。
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