つなぎ融資とは、一時的に資金繰りが厳しくなった場合に、運転資金の調達を目的に受ける融資のことです。スタートアップでは、ラウンドからラウンドの間にあるランウェイ期間を乗り越える際に用いられるケースもあります。
本記事ではつなぎ融資とはなにかを解説し、検討する際のポイントや具体的な調達方法についてわかりやすく解説します。
つなぎ融資とは、突発的に資金が必要になったときや、取引先からの入金遅延や災害などの影響で一時的に資金繰りが厳しくなったときに、運転資金を目的に受ける融資です。スタートアップでは、ランウェイ期間を乗り越える際に用いられることもあります。
例えば、シードからアーリーに進む際に、プロダクトの開発費が予想よりも高くなり、急遽まとまった資金が必要になるケースは珍しくありません。このような場合に、つなぎ融資は有効です。
資金の借り入れ先は、日本政策金融公庫や銀行などの金融機関が一般的です。信用能力に不安を抱えるスタートアップの場合、ファクタリングを利用することもあります。
資金繰りに困った場合やランウェイを乗り切る際には、つなぎ融資以外にも選択肢はあります。大切なのは、自社につなぎ融資が必要かどうか見極めることです。
つなぎ融資のメリットは次の3つです。
各メリットについて詳しく解説します。
スタートアップの場合、プロダクトの遅延や事業のピボットなど、予期せぬケースが発生し、キャッシュが不足することは少なくありません。キャッシュをつくる方法として受託業務を増やすことなどがありますが、本来やるべき事業に集中できずに次のラウンドが遠のき、結果的にビジネスチャンスを逃してしまう可能性があります。
つなぎ融資を利用すれば、ほかの事業にリソースを奪われることなく、まとまった資金を手に入れられます。
スタートアップはJカーブを描く性質から、できる限りキャッシュを投資に回したいと考える傾向にあります。しかし、一定のキャッシュを確保していなければ、人件費や固定費、税金などを支払えず、早々と資金がショートしてしまうケースも珍しくありません。
つなぎ融資を利用すれば、手元の資金を確保したまま事業を進めることができます。資金ショートを心配しなくても、人材採用やマーケティング、プロダクトの改修など、必要な場面で局所的にアクセルを踏むことが可能です。
つなぎ融資は資金繰りの改善にも役立ちます。つなぎ融資を効果的に用いる事ができれば、ボトルネックとなる部分を改善できる可能性があるためです。
例えば、リソース不足で売上が停滞し、資金繰りが悪化している場合、つなぎ融資で得た資金を人材の確保やマーケティング戦略の見直しに投じれば、経営の立て直しをはかれるでしょう。
BS(貸借対照表)やPL(損益計算書)の内容が改善されれば、金融機関などから借り入れやすくなり、さらなる資金繰りの改善も期待できます。
つなぎ融資を検討する際には、自社に適した方法や無理のない返済計画を立てる必要があります。つなぎ融資を利用するまでに押さえておくべきポイントは次の通りです。
具体的な内容を解説します。
金融機関からつなぎ融資を受ける場合、資金使途を明確にする必要があります。「何に使うか」が明らかでなければ、審査で良くない印象を与えたり、審査に時間がかかったりしてしまうでしょう。
資金使途は、できる限り具体的に書くことをおすすめします。「何にどれだけの資金が必要なのか」を正確に伝えることが大切です。資金使途と返済計画を明確に示した説明資料を準備しておけば、金融機関との交渉もスムーズに進められます。
つなぎ融資には複数の選択肢があります。資金調達方法によって金利や限度額などの特徴が異なるため、メリット・デメリットを考えたうえで、複数の選択肢を比較検討することが重要です。
融資の場合、資金使途が事前に定められているケースも少なくありません。条件に合わない使い方をしてしまうと契約違反になる可能性があるため、必ず事前に確認しましょう。
つなぎ融資を利用する際には、支払いの目処が立っているかどうかを確認することが大切です。支払い能力が確立していない状態で利用すると、追加で資金調達が必要になったり、経営が圧迫されたりする可能性があるでしょう。
実際に利用する際にも、必ず返済計画を立てましょう。つなぎ融資は一般的な融資に比べると、借り入れ期間も短い傾向がありますが、返済計画を立てないと管理がおろそかになり、企業の信用が損なわれてしまう可能性があるでしょう。
つなぎ融資は、実際に資金調達が必要となる数ヶ月前から調達方法を検討することが大切です。検討が早ければ、余裕を持って計画が立てられます。
つなぎ融資は一般的な融資と同じように、審査を受けなければなりません。審査期間によっては、資金調達が間に合わなくなる可能性もあるでしょう。また、時間がない状況では選択肢が限られてしまい、自社の状況に合わない契約内容になってしまったり、月々の返済が経営の足かせになってしまったりする可能性も考えられます。
つなぎ融資は完済まで利息を支払い続ける必要があります。金利は金融機関によって異なりますが、一般的には銀行や日本政策金融公庫で1%〜3%、ノンバンクでは3%〜18%の範囲で設定されています。
確認すべきは、利率だけではありません。利率が低くても返済期間が短いと、返済の負担が大きくなってしまいます。返済期間が長ければ返済総額は大きくなります。利率はもちろんのこと、返済期間や返済方法、担保要件、違約金などをしっかりと確認しましょう。
つなぎ融資の方法としては、日本政策金融公庫(日本公庫)やビジネスローンなどが挙げられます。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社のフェーズや状況に合わせて向いている方法を選びましょう。
日本政策金融公庫は政府系の金融機関であり、フリーランスや個人事業主など小規模事業者を対象とした「国民生活事業」と、中小企業を対象とした「中小企業事業」などに分かれます。企業規模や事業内容により、申込先が異なります。
メリット・デメリットは、次のとおりです。
日本政策金融公庫は融資の種類が豊富なため、自社に合った商品を見つけやすいでしょう。一般的に低金利かつ返済期間も長めであるため、安心して利用することができます。
ただし、融資を申し込んでから結果が出るまでに多くの場合で2週間程度かかります。計画的に動いている企業向けの方法といえるでしょう。短期で資金が必要な場合は不向きなため、早めにつなぎ融資を視野に入れましょう。詳しくは、次の記事を参考にしてください。
日本政策金融公庫で融資を受ける流れを解説!注意点や審査のコツも紹介
ビジネスローンは、つなぎ融資としても使える事業資金専用のローンです。個人事業主からスタートアップ、中小企業経営者まで、幅広く利用できます。
メリット・デメリットは、次のとおりです。
ビジネスローンは、商品によっては即日の融資が可能です。また、基本的に担保・保証人は必要ありません。
一方、日本政策金融公庫より金利が高めに設定されており、借り入れ可能な金額が低いため、小規模な借り入れにおすすめです。
つなぎ融資を検討している場合は、ファクタリングもおすすめです。ファクタリングは売掛債権を現金化する方法であり、無担保でスピード感のある資金調達が可能です。
ファクタリングとは、未回収の売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで現金を手にする方法です。
企業は売上が立ってから実際に入金されるまでにタイムラグが生じることが多く、その間に手元資金の枯渇によって黒字倒産になるケースもあります。そうしたリスクの解消をはかる手段がファクタリングです。売掛債権の売却は、早急に現金化できる便利なサービスで、資金繰りに悩む中小企業やスタートアップ、個人事業主などで幅広く活用されています。
詳しくは、下記記事を参考にしてください。
ファクタリングのメリット・デメリットは、次の通りです。
ファクタリングは融資に比べて非常にスピーディーに資金調達が可能です。例えば、当社の『マネーフォワード トランザクションファイナンス for Startups』なら、審査通過後、翌営業日に入金可能です。また、会社の業績が悪化していても現金化できる可能性があるため、創業間もないスタートアップでも利用できます。
ただ、商品によっては高額な資金調達に対応していなかったり、手数料が高かったりする場合もあるため注意が必要です。
つなぎ融資は、資金ショートや黒字倒産を避ける際に役立つ資金調達方法です。ただし、利用には金利が発生し利息の支払いが求められるため、資金調達目的を明確にし、具体的な返済計画を立てましょう。
スピーディーな資金調達を目指すスタートアップには、『マネーフォワード トランザクションファイナンス for Startups』がおすすめです。特長を3つ紹介します。
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