適格返還請求書とは、商品の返品や値引きがあったときにインボイス発行事業者が発行する書類です。発行するケースや不要となるケース、具体的な作成方法を説明します。また、適格返還請求書の記載事項と、インボイスを一緒に発行する方法も紹介します。
適格返還請求書とは、インボイス制度の施行により必要になった書類です。インボイス制度施行後、適格請求書発行事業者(適格請求書を発行する事業者として登録した事業者)は、適格請求書を交付しなければなりませんが、もし適格請求書を発行した後に返品などが生じ、売上の一部を返還することになったときは適格返還請求書も発行し、買い手である取引相手に交付しなくてはいけません。
一方、適格返還請求書を受け取った側(買い手側)は、適格返還請求書の保存義務を負います。適格返還請求書の保存期間は、確定申告の最終期限日の翌日から7年間です。法人の場合は事業年度の最終日から2ヶ月以内に確定申告を行うため、事業年度終了日の2ヶ月後から7年間が保存期間となります。
売上の一部を返還することになったときは、発行の必要が生じます。例えば、次のようなケースでは売上の一部を返還することになるため、適格返還請求書を発行します。
売上の返還にかかる税込み価額が1万円未満のときは、交付は不要になるケースもあります。なお、適格返還請求書に関するルールも、適格請求書のルールと同じく2023年10月1日以降に適用されます。
適格返還請求書は、返金が行われた理由がわかるようなタイトルをつけます。例えば、販売奨励金の支払いによって返金が生じたときは、「販売奨励金支払明細書」などが適当です。
インボイス発行事業者の情報について記載します。法人の場合は事業者名、個人事業主の場合は事業主の氏名と発行事業者としての登録番号を記載する必要があります。記載する位置は上記のサンプルでご確認ください。
返還が行われる原因となった取引内容と取引日について記載します。例えば、上記のサンプルでは商品の販売自体は2月10日と2月20日に行われました。適格返還請求書では、取引内容がわかるように取引ごとに項目を立て、取引日と取引内容を明記します。
ただし、複数の月にまたがる取引に対して売上の返還を実施する場合は、取引ごとではなく月単位などで取引内容をまとめることができる場合もあります。例えば、上記の「日付」の欄に特定の取引日を記載するのではなく、「2月分」や「1~2月分」などのように元となる取引が実施された時期がわかるように記載します。
売上の返還が実施された日を明記します。ただし、実際に取引先(買い手)に支払った日でなくても問題ありません。消費税の計算が実施された日が明確である場合は問題ないため、上記の場合であれば「適格返還請求書を発行した日(発行日)」を記載しています。
返還した金額と消費税額を記載します。適用税率ごとにわけて見やすくすることが大切です。なお、上記の例では適用税率が10%の取引が1件、8%の取引が1件のため、消費税について記載する欄も取引ごとの消費税額が記載されています。
しかし、税率ごとに生じた取引が複数あるときは、消費税額について記載する欄には複数の取引をまとめた金額で記載してください。例えば、適用税率10%の取引として15,000円と20,000円の2件があったときは「10%対象(税抜) ¥35,000 10%消費税 ¥3,500」と記載します。
例えば、特定の条件を満たしたときに値引きする約束をしている場合などは、ほぼ毎回、適格請求書と適格返還請求書の両方を発行することになります。手間が煩雑になるだけでなく、書類が増えるため紛失などのリスクにもつながります。
適格返還請求書を発行することが多く、書類の煩雑さが気になるときは、適格返還請求書と適格請求書をまとめて1枚にすることも検討してみましょう。ただし、1枚にまとめるときは、次の2つについても書類に記載することが求められます。
当月分の請求書と前月分の販売奨励金の支払明細書をまとめた例を以下に紹介します。
請求書に記載されている金額を買い手側が支払うとき、通常は買い手側が振込手数料を負担します。しかし、売り手側が振込手数料を負担することを事前に取り決めていた場合は、次のいずれかの方法で書類に反映します。
まず、売り手側が発行した場合について見ていきましょう。振込が何度も実施されているときは、振込手数料額をまとめて記載することもできます。
次は買い手側が支払明細書として発行する場合です。この場合も、振込手数料を立て替える場面が何度も生じているときはまとめて記載します。
適格返還請求書の対応は、慣れないうちは手間がかかるものです。しかし、誤った方法で作成したり、発行しなくてはならないのに発行していなかったりするときは、罰則の対象となることもあるので注意しましょう。
インボイス制度の施行にあたり、登録事業者には正しい適格請求書や適格返還請求書の作成を求められます。また、登録事業者以外にも、インボイス制度の規定を守ることが必要です。例えば、登録事業者以外がインボイスを発行することも罰則の対象となる場合があるため、免税事業者も自社に求められている書類を理解し、適切に作成・発行することが必要です。
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そのため、売り手側が誤った適格請求書・適格返還請求書を交付していると、取引先(買い手側)は不利益を被ることになります。誤った請求書を渡すことが増えると不信感が増し、場合によっては取引の打ち切りに発展しかねません。
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