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後払いに欠かせない与信審査とは?分析方法や実施の流れなどを解説

後払いに欠かせない与信審査とは?分析方法や実施の流れなどを解説

与信審査は、後払い取引を提供するうえで欠かせない重要なプロセスです。取引先の支払い能力を評価し、適切な与信限度額を設定することにより、未回収リスクを軽減し、健全な取引関係の構築を可能にします。

本記事では、与信審査の概要や分析方法、実施の流れ、確認すべき事項などを詳しく解説します。また、与信審査を含む請求代行サービスの内容やそのメリットについても触れ、効率的な与信管理の方法を紹介します。

目次

与信審査とは

ビジネスの世界では、信用が重要な役割を果たしています。後払いや掛売りなどの取引では、相手の信用力を適切に評価することが不可欠です。

この評価プロセスを「与信審査」と呼びます。与信審査は、企業が取引先の支払能力や信頼性を判断し、適切な取引条件を設定するための重要な手段です。

ここでは、与信審査の概念、目的、そして実際の適用例について詳しく解説します。

与信とは

与信とは、取引先に対して「信用を与える」または「信用を付与する」ことを意味するビジネス用語です。企業間取引において、与信は取引先の信頼性を評価し、取引可能かどうかを判断する過程の一部となっています。

取引先の財務状況や支払能力を調査・分析し、その結果に基づいて信用を与えるかどうかを決定します。この過程は、後払い取引において重要です。

例えば、商品やサービスを提供した後に代金を受け取る場合、代金回収のリスクが発生するため、与信の判断をする必要があります。

一方、前受金取引や現金取引の場合は代金回収のリスクがないため、与信は発生しません。つまり、与信は、主に後払い取引において貸し倒れリスクを軽減するために行われます。

与信審査を行う理由・目的

与信審査を行う理由・目的は、取引先の支払能力を確認し、取引の安全性を確保するためです。商品の後払い取引や請求書払いを行う際には、取引相手が代金を期日までに支払うかどうかを見極める必要があります。

与信審査を通じて「取引先が信用に足る企業であるか」「貸し倒れリスクが低いか」を判断できるため、未回収リスクを軽減し、安定した取引関係を築くことが可能です。

審査により、自社がどの程度の信用供与を行うべきかが明確になり、売掛金や貸付金が回収できなくなるリスクを事前に防止できるため、企業にとっては重要な手段といえるでしょう。

取引先の経営状況や支払履歴を精査することにより、リスクの高い取引を避けることは、企業の健全な経営を保つためにも有効です。

与信審査が使われる主なサービス

与信審査は、後払いを伴う取引やサービスにおいて広く利用されています。これは企業間取引だけでなく、個人向けのサービスにも適用されるものです。

サービス 与信審査の内容
クレジットカード 新規作成時や利用限度額の増額、キャッシング枠の設定時に与信審査が行われる。事業者向けの高額限度カードも対象。
各種ローン 自動車ローン・住宅ローン・リフォームローン・スマートフォンの分割払いなど幅広い商品が含まれ、与信審査が実施される。
後払いサービス 通信販売などで商品購入時に請求書が同封され、指定期日内に支払いを行う方式。与信審査が必要。
信用取引 企業間取引における掛払いや手形払いなどの信用取引であり、売買成立から売掛金回収までのリスクを評価するために与信審査が行われる。

このように、与信審査はさまざまな金融サービスや取引形態において、重要な役割を果たしています。

与信審査と信用調査の違い

与信審査と信用調査は、取引先の信用力を評価する点で共通していますが、目的と範囲が異なります。

信用調査は、取引を検討する相手の財務状況などを調べる方法であり、個人や企業を問わず幅広い対象に適用され、取引全般で活用されます。

一方、与信審査は、信用調査の結果をもとに、取引先が請求書払いに適した信頼性を持っているかを判断する方法です。信用調査が良好でも、必ずしも与信審査に通過するわけではありません。

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与信審査での分析方法

与信審査では、取引先の信用力を評価するために、さまざまな情報を分析します。これには、定性的な情報と定量的な情報が含まれ、それぞれ異なる角度から企業の状況を把握することが重要です。

さらに、取引先のビジネスモデルを深く理解することも重要な分析要素となります。これらの方法を組み合わせることで、より精度の高い与信判断が可能となり、安全な取引関係の構築につながるでしょう。

ここでは、これらの分析方法の特徴や具体的な手法について詳しく解説します。

定性分析

定性情報とは「簡単に数値で表すことができない情報」を意味します。定性情報の例としては、代表者情報、株主情報、企業の風評などが挙げられます。そのため、分析方法を一定化できず悩む方もいるでしょう。これらの情報は、官公庁が公開している情報の調査や、インターネット検索による調査が可能です。さらに詳しく調査したい場合は、直接訪問する直接調査や裏付けを取る側面調査などが必要です。

定量分析

定量情報とは、主に決算書の分析により得ることが可能な情報です。そのため、決算書を入手して分析する必要があります。ただし、決算書でわかる情報は限られています。決算書上は優良に見える企業が倒産する、という黒字倒産の例もあるため注意が必要です。決算書を見るときは、キャッシュフローにも注目するとよいでしょう。

与信審査の具体的な方法についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
https://mfkessai.co.jp/kessai-article/credit-survey

ビジネスモデルの分析

与信審査では、取引先のビジネスモデルの分析が重要です。同じ業績でも業界や業種が異なれば、信用度に差が生じることもあるため、注意が必要です。分析では、仕入れ方法や販売経路、同業他社との違いを確認します。

例えば、初期費用が高いビジネスモデルと、継続的収益が見込めるストック型ビジネスでは、収益構造が異なります。どちらが優れているかは、業界の特性や競合状況も考慮し、総合的に判断することが必要です。

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与信審査の基本的な流れ

与信審査の基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 取引先に関する情報収集
  2. 収集した情報の評価・分析
  3. 分析結果をもとに与信限度額を設定
  4. 条件の交渉・契約

ここでは、それぞれについて詳しく解説します。

1.取引先に関する情報収集

与信審査の第一歩は、取引先に関する外部情報と内部情報を収集することです。外部情報では、企業のウェブサイトで事業内容や決算情報を確認し、商業登記簿や専門調査会社を利用して詳細なデータを得ます。

また、ニュースやSNSなどの情報も活用します。内部情報では、取引先への直接ヒアリングや営業担当者からの情報が重要です。これにより、公開されていない経営者の姿勢や現場の様子を把握し、信用判断に役立てます。

2.収集した情報の評価・分析

与信審査における情報の評価・分析は重要なステップです。この段階では、財務状況を定量分析と定性分析の両方から総合的に評価します。

定量分析では、財務諸表などの数値データを用いて企業の経済状況を客観的に把握します。一方、定性分析は数値化が難しい情報、例えば代表者の評価や企業の評判、業界動向などを調査します。

特に代表者の分析は重要であり、可能であれば面談して経営能力を評価します。面談が難しい場合は、取引先などを通じて情報を集めるようにしましょう。

評価基準としては、企業規模や業績推移、資本の状況などが挙げられます。

3.分析結果をもとに与信限度額を設定

与信審査の最終段階では、収集した情報と分析結果に基づいて、取引先の与信限度額を設定します。信用度が高い取引先には与信限度額を高く設定し、信用度が低い取引先には限度額を低く設定することが一般的です。

与信限度額設定では、自社や取引先の純資産・売掛債権・仕入債務・月間売上高の一定割合・同業他社との比較などを考慮します。その際、担当者が替わっても対応できるよう、審査基準を明確にすることが重要です。

さらに、有効期限を設定し、期限が来た際に再審査を行って定期的に限度額を見直すことも重要な作業です。

4.条件の交渉・契約

与信審査が完了し、社内で与信限度額が確定したら、いよいよ取引先との契約条件の交渉に入ります。口頭で伝えるだけでなく、後々のトラブル防止のためにも、必ず書面に残すようにしましょう。

契約書には、支払方法や支払期限といった基本的な項目だけでなく、入金遅延が発生した場合の遅延損害金や、取引先の経営状態が悪化した場合の対応についても明確に記載しておくことが重要です。

想定されるリスクを事前に洗い出し、契約内容に盛り込むことで、将来的なトラブルを回避できる可能性が高まります。

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与信審査で確認すべき事項

与信審査において、企業の財務状況を正確に把握するためには、キャッシュフローや貸借対照表だけでなく、保有する資産の換金力も重要な評価項目です。

ここでは、与信審査において注目すべき主要な評価項目について詳しく解説します。

キャッシュフロー

与信審査において、取引先企業の財務状況を正確に把握するためには、損益計算書だけでなくキャッシュフロー計算書の確認が重要です。損益計算書上で利益が出ている企業であっても、実際の手元資金が不足している場合もあるためです。

キャッシュフロー計算書は、企業の現金の流れを示す重要な財務諸表であり、主に以下の3つの活動に分類されています。

  • 営業活動によるキャッシュフロー
  • 投資活動によるキャッシュフロー
  • 財務活動によるキャッシュフロー

営業活動によるキャッシュフローは、本業から得るお金の流れを表しています。売上・原材料の仕入・従業員への給与支払・業務に関連する各種費用などです。この指標は、企業の収益性や経営能力を測る際に必要とします。

投資活動によるキャッシュフローでは、新たな資産の取得や売却に伴うお金の流れを示しています。設備投資や新規事業への出資、既存資産の売却などです。投資活動によるキャッシュフローは、成長性や将来の収益力を評価するための重要な要素となります。

財務活動によるキャッシュフローは、企業が資金を調達したり、配当を支払ったりすることから生じるお金の流れを示すものです。新株や社債の発行、株主への配当支払などが含まれます。このキャッシュフローは、企業の財務状況や資金調達能力を評価するうえで欠かせない要素です。

これら3つの活動によるキャッシュフローを総合的に分析することにより、実際の資金力や資金繰りの健全性を判断します。

与信審査では、これらのキャッシュフローの状況を詳細に分析し、取引先企業の真の財務状況と支払能力を適切に評価することが重要です。

安全性分析

安全性分析は、企業の支払い能力を数値的に把握し、その安定性を決算書から読み解く手法です。経営の安定性とは、事業を継続的に行える状態を指します。しかし、たとえ収益が上がり、黒字経営を実現している企業であったとしても、資金繰りのバランスが崩れた場合には倒産の危険性が高まります。

このようなリスクを回避するためには、取引先の資金繰りが健全であるかどうかを確認することが不可欠です。そこで、安全性分析を通じて経営安定性を評価します。

企業の安全性を評価するためには、貸借対照表(B/S)が重要です。代表的な指標として、「流動比率」と「当座比率」があります。

流動比率は、企業の短期的な支払能力を示す指標です。この比率は、企業が短期間に支払わなければならない「流動負債」と、短期的に支払いに利用できる「流動資産」の比率からなります。一般的に、流動資産が流動負債の2倍以上であれば、その企業の安全性は高いと判断されます。

当座比率は、流動負債に対する「当座資産」の比率です。当座資産とは流動資産のなかでも特に確実に支払いに充てられる資産(現金や短期の売掛金など)を指し、当座比率は流動比率よりも精緻に短期的な支払能力を判断する指標となります。通常、当座資産が流動負債と同等かそれ以上であれば、安全性が高いと評価されます。

以上の指標をもとに安全性分析を行うことで、企業の経営安定性を客観的に評価し、与信審査に役立てられます。

換金できる資産のストック

会社の財務的健全性を判断するうえで、現金の流れだけでなく、所有する資産の現金化能力も重要な評価項目です。

たとえ手元資金が潤沢でない企業であっても、必要に応じて現金化できる資産を豊富に保有しているケースがあります。このような、換金性の観点から評価された資産は「ストック」と呼ばれるのが一般的です。

ストックのある企業であれば、支払期日までに資金を用意できない場合であっても、そのストックを売却して支払いに充てられるため、信用リスクを低減できる可能性があります。

また、キャッシュフローがショートしてしまった場合でも、ストックがあれば売掛金の回収を見込めるため、与信を行う企業側としてはリスクを抑えることが可能です。

このように、与信審査においては取引先企業のキャッシュフローだけでなく、保有資産の換金可能性すなわち「ストック」にも注目することで、より精度の高いリスク評価が可能になるでしょう。

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与信審査を実施しなかった場合のリスク

与信審査を適切に実施しないことは、企業にとって重大なリスクを伴います。ここでは、与信審査を怠ることで起こりうる主なリスクについて解説します。

売掛債権を回収できず資金繰りに悪影響が出る

与信審査を行わずに掛売りで取引を開始すると、取引先の経営状況や支払能力を把握できないまま商品やサービスを提供することになります。

その結果、取引先が資金繰りの悪化や倒産に陥った場合、売掛金の回収が困難となり、自社の資金繰りに悪影響を及ぼす可能性もあるため、注意が必要です。

特に大口取引先からの入金が滞ると、運転資金の確保が難しくなり事業継続に支障をきたす恐れもあります。

反社会的勢力と関わりのある会社と取引してしまう

与信審査を怠ると、反社会的勢力と関わりのある企業と知らずに取引を開始してしまうリスクがあります。

反社会的勢力とは、暴力や不正な手段を用いて経済的利益を得ようとする集団や個人です。このような組織と関係を持つことは、企業の社会的信用を大きく損なう結果となります。

さらに、所管官庁からの処分や既存の取引先との契約解除など、深刻な事態に発展する可能性もあります。そのため、新規取引先との関係構築前に、適切な与信審査を実施することが極めて重要です。

キャッシュフローが悪化し連鎖倒産につながる

与信審査を適切に実施しなければ、取引先の支払能力を正確に把握できず、売掛金の未回収リスクが高まります。これがキャッシュフローの悪化を招き、資金繰りに支障をきたす可能性もあるため注意しなければなりません。

資金不足を補うために金融機関から融資を受けると利息の負担が増加し、さらに財務状況を圧迫してしまいます。

未回収の売掛債権を抱える取引先が倒産した場合、債権回収の見通しが立たなくなり、借入金や利息の返済が困難になってしまうでしょう。このような状況が続くと、最悪の場合、自社も連鎖倒産に陥る危険性があります。

黒字経営であっても、売掛債権の未回収が重なれば資金繰りが悪化し、倒産のリスクが高まることに注意が必要です。

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与信審査を含む請求業務代行サービスの内容

与信審査には手間やコストがかかります。取引先を増やすごとに、自社で与信審査を行うことは大変な負担です。また、企業の経営状況は時間に応じて変わるため、与信審査には定期的な見直しも必要不可欠です。加えて、取引先が増えれば増えるほど、請求書の発行や入金管理の対応にも追われることになります。

もし、与信調査をはじめとする請求業務を自社で行っており、本業を圧迫している場合や、事業の急成長に伴ってバックオフィスの人員が足りなくなっている場合には、請求代行サービスの利用を検討してはいかがでしょうか。

ここで、代行サービスの具体的な業務内容を簡単にご紹介します。

取引先の与信審査

代行サービスを使えば、与信審査を迅速に進めることができます。また、与信情報は代行サービスの一環でその都度更新されるため、経営状態の変化にも対応できることがメリットです。

取引先宛の請求書発行

取引先に対し請求書の発行・発送業務を行います。

取引先による支払いの有無を管理

未入金のチェックが遅れると収支計画に大きく影響しかねません。スピードが求められる作業でも、代行サービスならば遅れることなく支払いの有無を管理します。

取引先未入金分も含めた一括入金

売掛金の未入金が発生した場合には、督促状の発行を始めとしたさまざまな業務が必要です。また、未入金により資金繰りが困難になることもあるでしょう。このような場合には、入金保証のある代行サービスを利用することで、不安を解消することができます。

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請求業務代行サービスを用いることのメリット

請求業務代行サービスを利用するメリットを解説します。

業務の効率化につながる

請求業務には時間やコストがかかります。また、未入金が発生した場合はさらに多くの時間を費やすことになります。しかし、代行サービスを利用することにより、業務を代行してもらえるため業務効率化につながります。これまで請求業務に費やしていた時間を、他の業務時間に振り分けることが可能です。

新規の取引先を獲得しやすくなる

社内の与信審査基準の設定が厳しすぎるため、ビジネスチャンスを逃している会社もあるでしょう。一般的に与信通過率の高い代行サービスを利用すると、これまでと比較してより多くの新規取引先が獲得できるようになる可能性があります。

売掛金未回収リスクが低減できる

請求代行サービスを選ぶ際には、与信審査通過済みの取引で売掛金が未回収となった場合において、100%の入金保証を行っている会社を選ぶとよいでしょう。そのようなサービスを利用することで、売掛金未回収のリスクが低減できます。

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まとめ

取引先の返済能力などの信用度を審査する与信審査は、売掛金未回収のリスクを低減するためにも欠かせません。

自社で与信審査を行うには、ある程度のノウハウが必要であり、手間やコストもかかります。与信審査に慎重になるあまり審査基準を厳しくすると、ビジネスチャンスを失うことにもつながるため注意が必要です。

マネーフォワードケッサイでは、与信審査・請求書の発行発送・入金管理・未入金フォローなど、請求に関わるすべてのプロセスを代行します。難しい与信審査をプロに任せることで、安心してビジネスを行うことが可能になります。与信審査でお悩みの方は、請求業務代行サービス「マネーフォワード ケッサイ」の利用を検討してはいかがでしょうか。

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