自己資本が潤沢ではない中小企業は、売掛先企業の影響を大きく受けてしまいます。そのため、与信管理は必要不可欠なのです。
今回の記事では、中小企業における与信管理のポイントや問題点のほか、与信管理を担当する部署や代行サービスについても解説します。
まず、中小企業が与信管理をすべき理由についてご説明します。
日本の商取引は掛売りが基本です。例えば、5月に取引が20回発生したとしたら、5月末に締めて請求し、実際の支払いは6月末となることが多いでしょう。この場合、実際のサービス提供から売掛金の回収までには1~2ヶ月の時差が発生します。掛売りにすることで与信リスクも発生しますが、都度請求業務をする必要がなくなることで取引が活性化するというメリットもあるのです。
売掛債権を回収できないと、支払先企業へ支払いができなくなってしまい、連鎖倒産となるリスクがあります。売掛先が1社に集中している場合、その会社の支払いが滞っただけで自社の資金繰りも悪化してしまうので注意しましょう。
自己資本が少ない企業は、特に与信管理に慎重になる必要があります。売掛債権が回収できなくなった際に、現金などが用意されていなければ支払先への支払いが滞ってしまうからです。
自己資本が潤沢に用意されており、売掛債権が回収できなくても存続できるような企業体力があれば話は別ですが、多くの中小企業では難しいのが実状になります。そのため、自己資本が満足にない中小企業において与信管理は必要不可欠なのです。
それでは、与信管理のポイントをご紹介します。
取引を始める前には、なるべく多くの売掛先企業の情報を集めます。売掛先企業の業績に問題はないか、事業の将来性はあるかなど、様々な視点から確認しましょう。
売掛先企業と面談を行い、実際に企業の様子を確認しましょう。特に、代表者についての情報は、その企業の成長に関わることなので収集しておく必要があります。データや公表されている情報だけでなく、経営者の情報も踏まえて総合的に判断することが大切です。
与信管理は、定期的に行うことも大切です。商売の開始時から時間が経てば、社内の体制や業界を取り巻く状況などが変わる可能性が高いからです。できれば、毎年1度は決まったタイミングで与信審査をすることをおすすめします。
中小企業の場合は、情報開示が少ないので企業の実情がわかりにくいです。そのため、小企業の信用情報を調査している帝国データバンクや東京商工リサーチなどの外部情報を上手く活用し、与信の判断ができるとよいでしょう。
与信管理の問題点についてご説明します。
上場企業は決算書の開示をする必要がありますが、中小企業には開示の義務がありません。そのため、立派な本社建物があり、経営者がメディアに露出し景気がよさそうに見えても、実は大赤字ということもありえます。情報収集は売掛先企業に確認するだけではなく、業界内の評判を確認するなど様々な手法を用いて行うようにしましょう。
上述でも紹介した外部データを利用するのには、手間もコストもかかります。取引先企業が多ければ多いほど、情報収集の業務が負担になるでしょう。
与信管理をまじめに行っていたとしても、急に売掛先企業の業績が傾くケースはあります。このようなケースは対策が難しいのが実状です。
与信管理は定期的に行う必要がありますが、通常業務が忙しくて与信業務に時間を割けられないということもあるでしょう。もしくは与信業務に時間を割いたとしても、残業代の支給などが必要になる可能性もあり、コストが増えます。また、忙しさから与信業務をないがしろにしてしまう可能性もあるでしょう。中小企業の場合、与信管理は企業の存続にも関わるので慎重に行うべき業務です。時間を割けないのであれば、請求~与信業務を代行してくれる請求代行サービスの利用をおすすめします。
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与信管理をおろそかにすると、売掛金の回収などが難しくなり、自社の資金繰りに大きな影響を与えます。また買掛金の支払いや金融機関への返済が遅れ、信用を失うことにもなりかねません。
与信管理を丁寧に実施するためにも、まずは対応部署・サービスを決めておくことが不可欠です。与信管理を実施できる部署・サービスとしては次の3つが挙げられます。
それぞれの特徴やメリット、注意点について解説します。
与信管理の業務を専門的に担当する部署をつくり、与信管理をまとめて実施する方法があります。担当者は与信管理だけに専念できるので、取引先の評価やリスク発見なども丁寧に実施でき、より精度の高い与信管理を実現できるでしょう。
法務部や経理部などの既存部署で与信管理を行うと、どうしても各部署の業務負担が増え、本来の業務にしわ寄せが行く可能性があります。専門の部署を設置することで、業務負担を軽減できるかもしれません。
また、常に同じ担当者が与信管理を行うことで、管理業務に精通し、ノウハウを蓄積することができます。与信管理専門部署内での社員教育にも活かすことができ、与信管理のエキスパートを育成できるでしょう。
ただし、常に同じ担当者が担当することで、対象企業の判断に偏りが生じる恐れがあります。また営業担当者や経理担当者の視点が入りにくく、状況の変化に対応しにくい点も懸念されるでしょう。
新たに専門部署を作るのではなく、既存の部署で与信管理を行う方法もあります。与信管理に対応しやすい部署としては、次の4つが挙げられます。
与信管理を行う上で、取引先の財務状況を正確に把握することが欠かせません。財務状況を日々管理している経理部であれば、取引先の財務状況の変化や入金遅れなどもいち早く察知することができ、より現状に合った与信管理を実現できるでしょう。
しかし、経理面以外の情報が入りにくいため、判断に偏りが生じる恐れがあります。例えば、ある取引先は入金遅れはないものの、実際のところは資金繰りが苦しく、取引を縮小しようかと考えているとしましょう。営業部であれば何らかの兆候から察知できますが、経理だけを見ていると適切な与信判断を行えない可能性があります。
現状をより反映した与信管理を行いたいのであれば、営業部が適しているといえるでしょう。取引先の内部事情にも精通しているため、迅速な対応が可能です。しかし取引先との接点が多い分、与信限度額を甘く設定してしまう恐れがあります。
よりフラットな視点で与信管理を行いたいときは、総務部が適しているかもしれません。総務部は経理部や営業部が入手した情報を広く管理しているため、判断にバイアスがかかりにくいと考えられます。しかし他の業務との兼ね合いや専門的な財務分析は難しいことから、与信対象の現状に即した対応には不向きな傾向があり、また、トラブルが起こった際に具体的な解決策を提示できない可能性があるでしょう。
トラブル対応に重きを置いた与信管理を行うのであれば、法務部が適しています。入金遅れなどにもスムーズに対応できるでしょう。ただし、取引先の実情に通じているわけではないため、営業部や経理部と密に連絡を取り合う必要があります。
関連記事:与信管理の重要性と理想的な与信管理のコツ、実施する部署について解説
与信管理を丁寧に行うことは不可欠ですが、丁寧な与信管理は手間がかかり、既存部署で実施すると担当者に多大な負担をかけてしまいます。負担が大きいと感じるときは、与信管理代行サービスへの委託も検討してみましょう。外部に委託することで各部署の社員が本来の業務に専念できるようになります。
代行サービスによって対応可能な業務は異なりますが、与信調査から請求書発行、入金確認、未回収時の督促などを依頼できるサービスなどもあるので、適切なものを選びましょう。マネーフォワード ケッサイは請求書発行だけでなく、入金管理や未入金フォローにも対応し、未回収リスクの軽減を実現します。
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売掛先企業に対する与信管理は必要不可欠です。特に自己資本が潤沢ではない中小企業の場合は、与信管理をしっかり行わなければ一気に経営が傾く可能性があります。与信管理は取引開始時だけではなく、定期的に行いましょう。
与信管理に時間が取れない、自信がない場合は、請求代行サービスの利用がおすすめです。請求代行サービスを利用すれば、面倒な与信業務を代行することに加え、万が一売掛先企業から売掛債権を回収できなかったとしても保証してくれます。加えて請求書の発行や発送、入金確認まで幅広い領域をアウトソースすることができます。ぜひ、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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