掛取引を行う上で重要となるのが、取引先の与信管理です。
理想的な与信管理とは、すべての取引状況を正しく把握し、与信リスクを定期的に見直しながら適切に管理をすること です。
本記事では、適切かつ効率的な与信管理を行うコツを詳しくご紹介します。
掛取引を行う上で重要となるのが、取引先の与信管理です。
理想的な与信管理とは、すべての取引状況を正しく把握し、与信リスクを定期的に見直しながら適切に管理をすること です。
本記事では、適切かつ効率的な与信管理を行うコツを詳しくご紹介します。
・自社の損失を最小限に抑えることができます。
・与信管理を効率的に行うことで、売上や利益の最大化も見込めます。
理想的な与信管理の形は、ルールにもとづいた統一基準で取引先を管理し、有効なPDCAサイクルを回すことで実践できます。
与信取引の基準を明確にして社内格付制度を整備し、格付と与信限度額の設定を行う。すべての取引先を格付けし、ポートフォリオ分析で全体の与信リスクを評価して、与信管理目標を達成できる与信管理規定を定める。
体制を構築したら与信管理を実行し、与信リスクの高い取引先には、債権管理や回収遅延への対応など与信管理規定にもとづいたリスク対策を実施する。継続的な取引先においては、動態管理を行いながら、格付と与信限度額を定期的に見直す。
与信管理およびリスク対策の実施状況や与信取引基準の有効性を監査・評価し、実務における問題点も考慮した上で、必要に応じて見直していく。回収遅延や事故が発生した場合はその要因と対応を調査して、規程や帳票の見直しも行う。
与信管理体制の見直しを基に、与信取引基準や与信管理ルール、与信管理規定の改善を行い、与信管理体制を再構築する。現況対策だけでなく、将来的な経営環境も踏まえた改善策を練ることで、与信管理の強化や効率化を図る。
PDCAサイクルの循環によって、与信管理のレベルが向上します。その結果、貸倒れなどのリスク減、コストダウン、目標設定のレベルアップなどが可能になり、利益の最大化が見込めるようになります。
理想的な与信管理を行えず、管理が正しく機能していないと、会社はどうなってしまうのでしょうか?
主に、次のようなリスクが複合的に起こりえます。
貸倒れが発生し、自社の利益を直撃します。
仮に利益率10%の取引先で500万円の貸倒れが起きた場合、損失を取り戻すには5,000万円の売上が必要です。また、取引先が倒産すれば、今後の取引自体が消滅してしまいます。
期日を過ぎても入金されないなど、自社の資金繰りに影響します。補填には資金調達が必要となりますが、借入先が見つからない、高金利など悪条件の融資に頼らざるをえないなど、資金繰り計画が狂うことも考えられます。
貸倒れなどの頻発で業績悪化や資金繰りの深刻化を起こせば、与信管理の甘さを問われて対外信用を失いかねません。周りからリスクの高い企業とみなされて、取引先や取引額の縮小につながることも十分に考えられます。
適切な与信管理ができていないと、貸倒れなどのリスクが高まり、ひとたび貸倒れが起きれば収益減や資金繰りの悪化を招きます。そして、ゆくゆくは対外信用を失うといった負のスパイラルに陥り、最悪の場合は倒産してしまう可能性がある のです。
与信管理は、悪くなってからでは手遅れです。掛取引は支払サイトがある以上、現金回収ができなければ黒字倒産も十分ありえます。それだけに、企業体力がむしばまれる前に自社の与信管理を今一度見直すことが、最大のリスク管理となります。
そこで、理想的な与信管理を行う上で必要なPDCAサイクルの最初のステップとなるPlan「与信管理体制を構築」するためのコツを3ステップで解説します。
PDCAサイクルのPlanでまず行うのは取引先の「格付」で、理想的な与信管理の要ともいえる大切な作業です。そして格付を行うには、社内格付制度を整備する必要があります。
格付を行う際は、複数の項目で目安となる点数や記号を設定し、減点方式で1社ごとの評価を出します(図1)。最終的にすべての項目を集計して格付表と照らし合わせ、該当するランクがその取引先の格付となります(図2)。
格付の基準となる項目内容や点数、格付の評価基準、各取引先の評価は、客観性を重視して行いましょう。
統一基準を用いてすべての取引先を公正に格付することで、現在の与信リスクや取引状況が可視化されて、今後の取り組み方針を明確にすることも可能になります。また、格付ごとに集計すれば、会社全体の与信リスクも定量化できるようになります。
社内格付の基準を決めるには、まず、過去数年分の全取引データなどから統計的モデルを導き出して点数化します。そして、格付表を基に取引先を評価しましょう。
この評価方法を確立しておくことで、リスクに応じた管理が可能になり、業務の効率化や審査能力が向上を図れます。
b社の合計点数「93点」を格付表の点数にあてはめると「90点以上」に該当する。
よって、b社の社内格付は、「A」の超優良取引先という評価になる。
社内格付制度を整備したら、次は与信限度額を設定しましょう。
与信限度額の上限は、自社の財務体力を踏まえた上で格付ごとに設定します。
一般的な設定方法として「正味財産分割法」「月商1割法」「段階的増枠法」「同業企業比較法」などがありますが、どれかひとつに偏るのではなく、それぞれのメリットとデメリットを正しく理解した上で、自社に最適な形へカスタマイズするのがポイントです。
設定後は、各取引が与信限度額の上限を超えないように管理することで、取引先の倒産や貸倒れが起きても自社の損失を最低限に抑えられ、連鎖倒産を回避できます。
格付ごとの与信限度額を決める際、統計的なデータを活用します。データの分析結果を基に限度額の上限設定や改善を行うことで、よりリスクの低い与信限度額の設定が可能になります。
格付「A」の取引先は倒産する確率が0.05%と低く、安心して取引ができると判断できる。
Step1、2で導き出された取引先各社の格付と与信限度額を基に、ポートフォリオ分析を行います。分析結果により、取引先の全体像が把握でき、効果的な人員配置や経営資源の分配ができるようになります。そして、与信管理の強化と効率化の実現へとつながります。
ポートフォリオ分析では、格付ごとの取引先件数、与信限度額の分布、取引先が集中している領域を把握しましょう。
取引先のプロット図を作成して全取引先を図表上に分布させると、取引状況を俯瞰的に見ることができ、与信管理がしやすくなります。
取引先を、社内格付のボーダーラインの上下で「通常管理対象」と「集中管理対象」に分けます。
このエリアに分布するのはリスクが低い取引先です。
より良い取引を検討していきます。
このエリアに分布するのはリスクが高い取引先です。
リスク対策を行って減らしていきます。
本記事では適切かつ効率的な与信管理を行うコツをご紹介しました。
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