請求書の発行に関する業務は、月末月初に集中しがちです。
今回は、請求書の締め日や支払いのルールについてご説明します。締め日の決め方や支払い期限までに入金されなかった場合の対処法なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
請求書の締め日とは、取引期間の終了日を指し、請求書を発行する基準となる日付です。締め日があることで、取引の期間を明確にできるほか、複数の取引を一括で請求できるようにする役割もあります。また、締め日は請求金額を確定するための重要な日付でもあります。
締め日と支払い期日は異なる意味を持つ言葉です。締め日は、請求書を作成する際の取引期間の区切りを指し、支払い期日は、請求書に記載された金額を支払うべき最終期限を意味します。締め日が取引の集計期間を確定するのに対し、支払い期日はその請求に対する支払いを完了する期限を示します。
請求書を発行する際、締め日をどう決めればよいか悩む企業も多いのではないでしょうか。日本では、請求書の「締め日」について法的な基準や決まりはありません。そのため、企業や取引先ごとの取り決めや、業界の慣習に従って決めることが一般的です。ただし、取引先との信頼関係を維持するため、一貫性と透明性を持って締め日を設定することが求められます。
一般的な企業では、取引先との間で締め日と支払い期限の決まりが設けられています。例えば、「月末締め翌月末払い」や「20日締め翌月末払い」といった言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
各企業の月次決算のスケジュールや各種収入・支出のタイミング等を考慮して、こうしたルールが決まっています。
ほとんどの銀行は土日祝日に営業を行っていません。しかしインターネットバンキングを利用することで、土日祝日であっても振込みや受け取り確認が可能なケースもあります。しかし、すべての金融機関が対応しているわけではないので、取引先が利用している金融機関が確認できるとは限りません。
また、取引先が土日祝日を休日としている場合には、支払い業務のために休日出勤を強いることになり、労働基準法に違反する可能性や取引関係の悪化につながるおそれがあります。
トラブルを回避するためにも、事前に支払い期限に関するルールを取り決めておくことが大切です。土日祝日が支払い期限になりそうな場合は翌営業日に後ろ倒しする、ゴールデンウィークにかかる場合は連休初日の前日を期限とするなどのルールを決め、明文化しておくと良いでしょう。
支払い期限を短く設定すると、取引先が期限までに入金できない可能性があります。場合によっては取引自体が見直され、取引先を失うことにもなりかねません。
支払い期限を設定するときは、支払う立場に立って考えることが大切です。余裕を持って支払いができるか、無理なく取引ができるかを考慮し、適切な期限を定めましょう。
通常、請求書には支払い期限を記載します。別途、契約書などで期限を定めている場合や、常に同じ締め日・支払い期限を設定している場合であっても、わかりやすく請求書に記載しておいたほうが良いでしょう。
また、支払期限の記入をし忘れたことに気付いたときは、早めに取引先に連絡を取り、支払い期限を記入した請求書を再発行して送付します。二重請求を防止するためにも、元々の請求書と発行日は変えず、請求書の通し番号は連番あるいは枝番にしておきましょう。
支払い期限を過ぎても入金されない場合は、迅速に対応する必要があります。未払いが続くと会社の資金繰りに影響を及ぼし、他の支払いにも支障をきたす可能性があります。
取引先に電話やメールで催促し、支払い期日を再確認しましょう。また、どうしても入金が行われない際は法的手段を検討することも一つの方法です。
締め日と支払い日を明確に決めておくと、資金繰りのスケジュールを立てやすくなります。また、取引先側にとっても支払い日が明確になり、入金忘れや入金遅れを防ぐことができるでしょう。
次の3つのポイントを意識すると、締め日と支払い日を決めやすくなります。
それぞれのポイントについて解説します。
請求書の締め日と支払い日を決定する際には、事業全体の資金繰りスケジュールを考慮することが重要です。支出が発生するタイミングよりも前に支払い期限を設定すれば、入金、支払いの順番になるのでキャッシュフローが安定しやすくなります。
一方で資金繰りスケジュールを考慮せずに締め日や支払い日を設定すると、キャッシュフローや事業運営に支障をきたす可能性があります。例えば、月末締め翌々月末払いの場合、資金が2か月滞留するため、資金繰りが厳しくなる可能性があります。一方、中間払いを取り入れることで、資金の回収を早め、資金繰りを安定させられます。
請求書の締め日と支払い日を適切に設定して、キャッシュフローのバランスを保つことが事業の安定運営に繋がります。
締め日と支払い日の間隔は適度に空けましょう。これによって取引先の請求書の確認や支払い作業がスムーズに行えるため、トラブルを避けやすくなります。例えば、月末を締め日として設定し、支払い日を翌月の15日に設定することで、取引先や自社の経理担当者は請求書の内容を確認し、ミスを防ぐための余裕ができます。
締め日の適切な設定は、月次決算を円滑に行うためにも重要です。締め日があらかじめ明確に決まっていれば、月次決算に必要な情報を迅速かつ正確に集めることができます。これにより、決算作業がスムーズに進行し、財務報告が遅れずに済みます。
取引先との請求書のやり取りや社内のデータ集計作業が予め設定された締め日によって一元化されるため、担当者の負担も軽減されます。
請求書の送付方法には、郵送やメール、専用のシステムの利用などがあります。各送付方法にはそれぞれメリットとデメリットがあり、取引先の状況やニーズに応じて選ぶことが重要です。
紙の請求書を送る際は郵送を用いますが、送付にあたって手間と時間がかかります。メールは迅速かつコストが低いものの、誤送信をしてしまうリスクがあります。専用のシステムは効率よく処理が進められますが、相手企業もシステムの利用に慣れている必要があります。自社と取引先の双方にとって効果的な請求書の送付方法を選びましょう。
請求の締め日を変更したいという要求が取引先から来ることがあります。その場合、何を考慮すべきか、どのように対応するのが効果的かを理解しておく必要があります。
ここでは、請求の締め日変更を求められた際の理由や、その時の対応方法について具体的に解説します。
現状の取引内容からどのような変更を希望するのか、理由とともに確認しましょう。変更希望の内容で確認したいポイントは次の通りです。
もし変更の理由が売上の減少からすぐ手元に資金を準備できないという場合、素直に受け入れるのは危険です。売掛金が貸し倒れになるリスクがあり、自社の経営にも影響を及ぼす恐れがあるためです。
取引先から請求の締め日変更を求められることは珍しくありません。その際、どのように対応するかが重要です。以下の4つのパターンを考慮することができます。
締め日変更の要求を条件なしで受け入れるのは、取引先との関係を良好に保ちたいときや、迅速に対応したい場合に有効です。特に取引先が重要な顧客である場合には、信頼関係を損なわないために条件なしで変更を受け入れることがあります。
例えば、取引先が大口顧客であり、今後も多額の取引が見込まれる場合、締め日変更の要求を無条件で受け入れることで、長期的な関係を築きやすくなります。ただし、自社の資金繰りが悪化しては元も子もないので、条件なしで受け入れる際は慎重に検討しましょう。
自社の業務に支障が出ないようにするため、一方的な要求を受け入れるのではなく条件を設定することも多いです。例えば、「締め日を1週間延長する代わりに、次回の注文量を増やす」といった具体的な条件を提示することが考えられます。交渉の余地を残しつつ、双方にとって有益な条件を設定することが重要です。
請求の締め日変更を求められた際には、取引先と交渉する選択肢もあります。一方的に変更を受け入れると、自社の資金繰りや業務スケジュールに影響が出る可能性があるためです。交渉を通じて、双方にとって適切な着地点を探します。
交渉の際には、相手の事情を理解し、柔軟な対応を心がけることが求められますが、自社の経営に大きな負担がかからないように注意するバランスが重要です。
自社の資金繰りや業務スケジュールに大きな影響を及ぼす可能性が高い場合は、やむを得ず取引先からの請求の締め日変更の要求を拒否する場面もあるかもしれません。
要求を拒否する場合は、締め日の変更ができないことをお詫びし、ていねいに事情を伝えるようにしましょう。
請求書発送までの手続きを迅速に行うことで、キャッシュフローの安定と取引先との信頼関係の維持・向上につながります。効率的な手続きの方法や注意点を詳しく見ていきましょう。
取引先の請求書必着日を確認し、必ず間に合うように準備しましょう。遅延してしまうと信用を失い、取引関係が悪化する可能性があります。さらに、支払いの遅延を招き、企業のキャッシュフローに影響を与える場合があります。
請求書の送付が遅れてしまった場合には、まず取引先に速やかに連絡を取ることが重要です。理由として、請求書の遅延が発生すると、取引先の会計処理に支障をきたし、信頼関係にも悪影響を及ぼす可能性があるためです。請求書の送付が期日を過ぎてしまうと、取引先の月次決算に支障をきたし、その結果、支払いが次月にずれ込むことがあります。
請求業務を効率化するためには、請求代行サービスの利用も検討してみましょう。請求代行サービスを利用することで、請求書の作成や送付にかかる手間と時間を大幅に削減できます。これにより、コア業務に集中しやすい環境が整います。
会計ソフトと連携した請求代行サービスを利用すれば、データ入力の手間を省きつつ正確かつ迅速に請求書を発行できます。
本記事では、請求書の締め日と支払い日の違いや決め方、変更方法について詳しく解説しました。また、取引先とのルールや、請求書の送付スケジュールの重要性についても触れました。
請求書は締め日や支払い日を適切に設定し、効率的な資金繰りを行うことが重要です。
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