請求書と領収書はどちらも代金の支払いに関わる書類です。ただし、経理上と印紙税法で取り扱いが異なる点もあります。具体的にどのような違いがあるのか、また、請求書は領収書の代わりに使えるのかなどの疑問についても解説します。
請求書と領収書の違いをまとめました。
使うことができます。
領収書は「店名」「日時」「商品」「金額」の4項目が記載されていることで法的効力を持ちます。この4項目が記載されているレシートは、法的にも領収書と同じ扱いができます。
ただし、会社によっては「レシートは不可」という独自ルールがある場合もあるので、社内ルールも確認しましょう。
「クレジットカード」もしくは「銀行振込」で支払った場合は、請求書を領収書のかわりに使うことができます。銀行口座やカードの利用明細が、請求書の記載金額を支払ったことを「証明」できるからです。
「現金」で支払った場合は、請求書を領収書のかわりにすることはできません。現金での支払いは履歴が残らず「支払いの証明」ができないためです。
「現金」や「銀行振込」で代金を受け取った者は、領収書を発行する義務があります。民法486条に「弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる」とあり、支払い者に要求された場合は領収書を発行しなければなりせん。ただし、信用取引である「クレジットカード」の場合は、領収書を発行する義務はありません。
領収書の発行義務は「1回目」に限ります。紛失など支払い側のミスであれば、代金を受け取った側は領収書の再発行を拒否することができます。これは、二重請求や経費の水増しなど、安易な再発行によるトラブルを防ぐためです。
請求書には収入印紙は不要です。しかし、領収書に関しては、5万円以上の取引の際に収入印紙の貼付が必要になります。
取引額による収入印紙額は以下のように定められています(一覧表では領収書に記載された受取金額が2000万円超は省略しています。)。受取金額が増えるほど収入印紙額も高くなり、最大20万円(受取金額が10億円を超えるとき)です。領収書に受取金額が記載されていないときは、収入印紙額は200円となります。
なお、領収書を電子書類として発行するときは、印紙税の納税義務がなく、収入印紙を貼付する必要もありません。ただし、電子書類として発行された領収書を印刷し、押印する場合には、収入印紙を貼付する必要があります。
請求書は代金を支払う前に発行する書類です。一方、領収書は代金支払い後に発行する書類となります。
請求と支払いが同時に行われるときは、請求書兼領収書が発行されることもあります。企業間の取引ではあまり使用しませんが、個人経営のクリニックなどでは請求書兼領収書が発行されるケースも多いです。用紙の上半分が請求書、下半分が領収書となっているタイプや、請求書に領収済みであることが記載されているタイプがあります。
法人が請求書や領収書を受領したときは、事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間の保管義務があります。青色申告の個人事業主も、同じく確定申告書の提出期限の翌日から7年間の保管義務がありますが、前々年度の所得が300万円以下の場合に関しては5年です。
また、白色申告の個人事業主に関しては、前々年度の所得額に関わらず、5年間の保管義務があります。ただし、青色申告・白色申告のどちらも帳簿を保管する期間は7年のため、申告の種類や所得に関わらず7年間保管しておくほうが良いでしょう。
請求書を紛失したときは、発行元に再発行を依頼しましょう。また、領収書を紛失したときも、発行元に再発行を依頼することができます。
ただし、発行元が領収書の再発行に対応していない場合もあるので注意が必要です。再発行できないときは、領収証明書などの別の書類を有料で発行してもらうか、レシートや請求明細書で代用することも検討しましょう。
また、領収書を紛失したときや再発行をしてもらえなかったときは、出金伝票に「領収書を紛失」などの事情を記載しておくことで、社内の経理業務において領収書の代わりに使用することができます。ただし、出金伝票に以下の情報や裏付けとなる資料がないときは、領収書の代わりとして認められないこともあるので注意しましょう。
企業間の取引においては、請求書や領収書以外にも必要になる書類があります。主な書類について解説します。
見積書とは、発注を受けた商品やサービスがどの程度の金額になるのか記載した書類です。見積書には、次の内容が記載されることがあります。
見積書を作成することで取引の内容や金額、納期などを確認できるため、トラブルを回避することができます。また、見積書の作成は正式な注文依頼ではないため、依頼主は見積書によって複数の事業者を比較することが可能です。
納品書は商品などを納品したときに発行する書類です。納品書には次の内容が記載されることがあります。
納品書を発行することで、受取人は注文内容と受け取った商品などに違いがないか確認することができます。また、納品書と請求書の金額が同一であることを確認することで、経理上にも間違いがないか調べることもできます。
領収書は代金を受け取ったときに発行する書類です。しかし、支払い方法によっては、代金を受け取ったときに領収書を発行するのが難しいことがあります。銀行振込みとクレジットカードで支払うときの領収書の取扱いについて見ていきましょう。
銀行振込みによって代金が支払われるときは、支払いが生じたタイミングで領収書を発行することはできません。このような場合は、請求書と明細書が揃っていれば取引相手は経費精算を行うことができるので、通常、領収書がなくても社内の経理業務の手続ができます。
店舗などでクレジットカードを利用して代金が支払われるときは、その場で領収書を発行することが可能です。しかし、インターネットショッピングなどでクレジットカードを利用して代金が支払われるときは、その場で領収書を発行することができません。この場合も、銀行振込みと同様、請求書と明細書が揃っていれば取引相手は経費精算を行えるので、通常、領収書がなくても社内の経理業務の手続ができます。
請求書と領収書は、電子化することが可能です。電子データとして書類を保存するルールについて定めた「電子帳簿保存法」が改正され、より電子書類が利用しやすくなりました。請求書や領収書の電子化のメリットを知り、電子化に対応できるようにしておきましょう。
請求書や領収書などの書類を電子化することには、次のメリットがあります。
それぞれについて解説します。
請求書や領収書を電子書類として作成すると、特定の書類を日付や取引先などで検索することができるようになります。紙の書類であれば検索はできないため、日付順や取引先別に保管していないと後で見返すことが困難です。
紙の書類とは異なり、電子書類は保管場所が不要です。オフィスや倉庫などに保管する必要がなくなり、誰もがパソコンで簡単に必要な書類を表示できるので、業務効率の向上にもつながります。
紙の領収書や請求書は、郵便などで送付しなくてはいけません。しかし、電子書類であればオンライン上で発行し、メールに添付することで簡単に送付することができます。また、5万円を超える取引でも領収書に収入印紙を貼付する必要がないため、さらにコストの節約が可能です。
今回は、請求書と領収書の違いやそれぞれの特性などについてお伝えしました。是非本記事の内容を、ご自身の経理業務の参考にしてください。
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