請求漏れを防ぐためにはどのような対応が必要かまとめました。請求漏れによって引き起こされることや、そもそもの原因についても解説するので、ぜひ漏れが生じない請求システムの構築に活かしてください。
請求漏れとは、取引相手に代金の支払い請求をしていないこと、あるいは請求することを忘れていることを指す言葉です。個人が企業から商品やサービスを購入する取引においては、通常、商品やサービスの提供と代金の受け取りは同時に行われます。そのため、請求漏れが生じることはほぼありません。
しかし、企業対企業の取引においては先に商品やサービスの提供が行われ、その後、提供者側が請求業務を行い、商品やサービスを受け取った側は支払いを行う「掛取引」が一般的です。請求を忘れて請求漏れが生じると、提供者側は正当な代金を受け取ることができません。
請求漏れが起こる状況としては、次の3つが挙げられます。
それぞれの状況が起こりやすくなるのはどのようなときなのか、詳しく見ていきましょう。
請求業務は、請求書を作成して行います。業務が忙しく、請求書を作成し忘れると、請求漏れが生じやすくなるでしょう。
また、商品やサービスの納品から請求までに時間が空きすぎるときも、請求書を作成し忘れることが多くなると考えられます。
請求書の作成はしたものの、請求するメールに添付し忘れたために請求漏れが生じるケースもあります。請求書をPDFファイルで作成して送付する場合には、添付忘れが起こりやすくなるでしょう。
また、請求日が近づいてきたタイミングで、納品先にメールを送ること自体を忘れてしまう可能性もあります。請求書をPDFファイルなどの形式で作成するときは、メールに添付し忘れないこと、そして、メール自体を送り漏れることがないよう留意するようにしましょう。
作成した請求書を投函し忘れたために、請求漏れが生じるケースもあります。請求書を紙の書類として作成するときは、投函し忘れが起こりやすくなるでしょう。
また、請求先に投函したものの、封書内に請求書を入れ忘れることも想定されます。請求日が近づいてきたときは、請求先に封書を投函すること、そして、封書内に対象の請求書が入っているかをしっかり確認しましょう。
掛取引を実施している企業にとって、請求漏れは避けたいことの一つです。請求漏れによって引き起こされる影響としては、次の3つが挙げられます。
それぞれの影響について、詳しく見ていきましょう。
請求漏れが生じると、納品先から代金を受け取ることができません。資金繰りに影響を及ぼし、次の仕入れを行うことができなくなる、あるいは遅れてしまって想定のスケジュールで売上が得られなくなることもあるでしょう。
また、受け取った代金を金融機関からの融資の返済に充当する予定であった場合は、返済に遅れ、遅延損害金が発生する可能性もあります。正常な資金の流れを保つためにも、請求漏れは回避しなくてはいけません。
掛取引においては、売り手になることもあれば買い手になることもあります。請求漏れにより売掛金の回収ができないと、別の取引で発生した買掛金の支払いができなくなる可能性があるでしょう。取引先に迷惑をかけるだけでなく、信用を失うこともあります。今後の取引維持が難しくなることや、取引の条件が厳しくなることもあるかもしれません。
売掛金の支払い期限を知ったときから5年を経過したとき、あるいは権利行使できるときから10年を経過すると、「消滅時効」が成立することがあります。消滅時効が成立すると、売掛金の回収ができなくなるので注意しましょう。
なお、2020年4月1日に民法が改正される前の売掛金の消滅時効は2年であり、2020年4月1日までに発生した売掛金債権については、この改正前の民法が適用されます。
納品と代金請求の時期が異なる掛取引では、請求漏れが起こりやすくなります。しかし、すべての取引をナンバリングして納品書や請求書を固有の番号で管理すれば、各取引の状況がわかりやすくなります。そのため「納品したのに請求していない」「請求したのに受領していない」などのトラブルに早めに気づけるかもしれません。
また、取引の管理を複数のスタッフで管理する方法もあります。請求書の発行・送付・代金回収・入金確認・入金消込と段階ごとに実施した日付を書き込み、チェックリストとして作成すれば、どの段階まで進んでいるのかが明白になり、請求漏れを回避しやすくなるでしょう。
請求業務のスケジュール管理を強化することでも、請求漏れの回避が可能です。例えば、受領書の受け取りや請求書の発行、送付などの各段階のスケジュールを最初に決めておきます。毎日スケジュールをチェックし、その日に行うべき業務を確認することを習慣化すれば、請求漏れだけでなく他の業務の漏れも減らせるでしょう。
請求漏れを防ぐために利用できるツールやサービスとしては、次の3つが挙げられます。
それぞれを使って請求漏れを防ぐ方法について、詳しく見ていきましょう。
Excelで請求スケジュールの管理シートを作成し、複数のスタッフで共有すれば、どの取引において請求漏れが生じているのか確認しやすくなります。Excelは業務上日常的に使用する方も多いため、抵抗なく確認・記入しやすい点が特徴です。また、簡単に表を作成できるので、特別なスキルがなくても利用できるメリットがあります。
Excelでは請求日が近づいてきたことを知らせるリマインドサービスはありませんが、スケジュール管理やナンバリングはできるので、表確認を習慣化することで請求漏れの削減を目指せます。テンプレートも多数公開されているので、自社で使いやすいようにアレンジして請求業務に活かしましょう。
請求書発行ツールとは、取引先情報などを入力するだけで、請求書発行を自動化できるツールです。作成した請求書は紙の書類として印刷できるだけでなく、PDFファイルとしてメールに添付することもでき、請求書の作成から送付までをワンストップで行えます。
ただし、パソコンにインストールするソフトウェアタイプの請求書発行ツールは、インストールされたパソコンでしか操作できません。異なるパソコンでの請求業務やスケジュールの確認はできないため、請求業務を特定のスタッフが担当することになります。また、アップデートも自動的には行えないため、自社で実施する点にも注意が必要です。
請求業務を請求代行サービスに委任するという方法もあります。請求書作成から送付・回収・入金消込までワンストップで行えるため、段階ごとにチェックする必要がなく、自社の負担が大幅に削減できます。
また、入金消込も委託できるため、請求漏れを回避できるだけでなく回収漏れも減らすことができ、資金繰りや取引先との関係に影響が及びにくいのも請求代行サービスの特徴です。請求件数が多く請求業務の負担も増えている企業や、請求業務においてトラブルが起こりやすい企業も、請求代行サービスの利用が適しているでしょう。
スムーズな請求業務の遂行には、適切な準備が必要です。便利なサービスを利用して請求業務が滞りなく行えるようにしましょう。
企業間請求代行サービス『マネーフォワード 掛け払い』は、請求書の作成から送付、回収、入金消込、未回収時のフォローまでをワンストップで行うサービスです。2023年10月1日から施行されるインボイス制度に則った請求書作成にも対応しているため(※)、制度施行後も安心してご利用いただけます。
※インボイス制度への対応は2022年中を予定しております。
ご興味のある方はぜひお問い合わせください。
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