請求書を電子化することで、ペーパーレス化を促進できるだけでなく、修正対応が簡便化するなどのメリットがあります。主なメリットとデメリットについて、請求書発行側と受領側に分けてまとめました。また電子化に用いるシステム選びのポイントも紹介します。
請求書の電子化とは、紙の請求書を発行せずに電子文書(電子ファイル)として請求書を作成し、メールに添付するなどをして相手企業に送付することです。すでにパソコンで請求書を作成している場合であれば、作成から送付までをワンストップででき、請求業務を簡便化できます。
また、受領側にとっても、請求書の電子化により業務の簡便化が可能です。メールで受け取り、そのままパソコン内のファイルボックスに保存できるため、パソコン1つで請求書確認と保存の業務が完了します。
電子帳簿保存法により、電子請求書は法的に有効な書類として認められています。
かつては、電子請求書が法的に有効な書類として認められるには、受領側が所轄の税務署長に電子帳簿の保存について申請・承認される必要がありました。しかし、2022年1月1日以降に発行された請求書に関しては、税務署長の承認を受けていない事業者も、電子請求書を法的に有効な書類として保存できる場合もあります。
請求書の電子化には、請求業務を簡便化できること以外にもメリットがあります。請求側(請求書発行側)の主なメリットとしては、次のものが挙げられます。
それぞれのメリットについて説明します。
紙の請求書を発行しないことで、ペーパーレス化を推進できます。
昨今、事業者の地球環境問題への取り組みが問われる機会も増えてきました。地球温暖化防止に取り組むことや、森林や水資源の保護に努めることも、事業者の社会的役割のひとつとされています。ペーパーレス化に取り組むことで、森林保護につながるだけでなく、ゴミの削減による二酸化炭素排出量の削減も目指せるでしょう。
また、保存場所を減らせる点もメリットです。請求書などの国税関連の証拠書類は7年間(青色申告事業者は、欠損金のある事業年度については10年間、2018年4月1日より以前に開始した事業年度については9年間)の保存義務があります。
数年分の証拠書類をすべて保存するとなると、かなりの場所が必要です。電子請求書にすればデータとして保存できるため、プラスチックのファイルボックスや書類棚といった物理的なスペースは不要になります。
紙の請求書を発行するときは、紙代だけでなくインク代や封筒代、送料などのさまざまな費用が発生します。電子請求書にすればこれらの費用はかかりません。
また、請求書だけでなく領収書も電子化すれば、さらに紙代や送料などを削減できます。5万円以上の取引については、紙の領収書には収入印紙を貼付する必要がありますが、電子領収書ならば収入印紙は不要です。高額な取引が多い場合は、領収書の電子化により大幅な印紙税の削減も実現できます。
参考:国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」
紙の請求書に誤りがあったときは、取引先から請求書を回収あるいは取引先に請求書破棄を依頼し、修正した請求書を再発行・再送付しなくてはいけません。一方、電子請求書であれば、修正した請求書をメールで送信するため、即日対応が可能です。
支払期限が迫っているときなど、迅速な対応を求められるケースは少なくありません。スムーズな対応をするためにも、請求書の電子化は必要といえるでしょう。
押印のない請求書も有効な書類ですが、慣例的に押印したものしか受け取らないという事業社も少なくありません。このような事情から、請求書作成などを担当している従業員がテレワークに対応しにくくなることもあります。
一方、請求書の作成を電子化すれば、押印だけのために出社する必要もなくなり、請求業務をテレワーク対応することも可能です。また、請求業務を代行サービスに依頼する方法も選択できます。働き方や業務方法を多様化するためにも、請求書の電子化は有意義といえるでしょう。
請求書の電子化には注意すべき点もあります。特に次の2点は、デメリットになる可能性があります。
それぞれどのようなデメリットなのか説明します。
請求書の電子化には、特別なシステムは必要ありません。エクセルでフォーマットを作成し、PDFファイルとして保存し、相手企業にメールで送信すれば完了です。しかし、既存の顧客データと連動したり、帳簿や注文請書など他の書類と連動したりするためには、専用システムの導入が必要です。
システム導入費用や月々の利用料などのコストがかかり、請求業務全体のコストが増える可能性もあります。電子化により削減できるコストと、システム導入により増えるコストとどちらが大きいのか事前に比較しておきましょう。
なお、コストを比較するときは、人件費や労力にも注目してください。システム導入費用のほうが削減できる紙代や印紙代よりも高額でも、残業代などの人件費が減ることでトータルではマイナスになる可能性もあります。
請求書の電子化は、取引先にとっても業務の簡便化につながります。しかし、取引先によっては電子請求書に対応しておらず、紙の請求書を求められるかもしれません。
特定の取引先だけ別途対応が必要になるときは、電子化することでかえって手間が増えてしまいます。電子化を実施する前に、取引先に対応可能か確認しておきましょう。
電子請求書を受け取る側のメリット・デメリットは以下のとおりです。
紙の請求書の場合、修正などがあるときは、再発行された請求書を受け取るまでに時間がかかります。しかし、電子請求書ならスムーズな対応が期待でき、即日対応も可能です。
また、請求書をデータとして保存すると、検索により過去の請求書を見つけやすくなります。請求書を探す手間が削減でき、業務効率も向上するでしょう。
紙の書類と比べると、電子書類は紛失リスクが少ない点もメリットです。万が一、誤って削除した場合も、パソコン内のごみ箱などに残っている可能性があります。
保管スペースを削減できるのもメリットです。書類の保管義務があるのは発行側だけではありません。受領側も7年~10年の保管義務があるため、取引量が多い場合は膨大な書類数になり、保管スペースも相応に必要になります。
社内に電子書類の扱いに慣れている人がいないと、電子請求書を受け取ってからの対応に時間がかかる可能性があります。誤って削除したり、どのファイルボックスに保管したかわからなくなったりするかもしれません。
また、会社自体が電子化に対応していない場合は、電子請求書を受け取っても紙の請求書として保管することになります。ダウンロードと印刷、保管の工程が必要になり、かえって手間が増えてしまいます。
請求書の電子化は、システムを利用することがおすすめです。エクセルで作成して取引先に送付することも可能ですが、作業に手間がかかるだけでなく、二重発行・請求をするリスクもあります。
どのシステムを選ぶか迷ったときは、次のポイントに注目してみましょう。
それぞれのポイントを説明します。
請求業務だけに対応しているシステムもありますが、請求業務以外の業務に対応しているシステムもあります。たとえば消込処理や督促、与信管理など、請求前後に必要となる業務に対応しているシステムでは、業務の簡便化を実現できます。
まずは候補となるシステムをいくつかピックアップしてください。次に希望する業務を書き出し、希望業務に対応しているシステムかチェックしてみましょう。
取引先の情報を、エクセルなどのファイルや特定のシステムで管理している事業者も少なくないでしょう。既存のファイルやシステムと連携できる請求システムなら、取引先の情報を一から入力する手間がなくなり、導入までの時間を短縮できます。また、取引先情報の入力ミスも避けられ、よりスムーズな電子請求書の発行が可能になります。
優れたシステムでも、トラブルが生じることがあります。万が一のときのためにも、トラブル対応時のサポート内容が充実しているか、また迅速にサポート対応を受けられるかチェックしておきましょう。
メールやチャットサービスだけでなく、電話での対応窓口があると安心です。また、請求書を受領した側も相談できる窓口があれば、取引先にも安心を提供できます。
DX化の推進により、多くの企業では業務の電子化を進めています。請求書などの書類の電子化を実施している企業も多く、電子システム未導入企業も早めの対応が必要になるでしょう。
請求書の電子化により、業務の効率化を実現できる可能性があります。しかし、導入するシステムによって対応できる業務内容やサポート体制が異なるため、自社にあったサービスを選ぶことが重要です。
「マネーフォワード ケッサイ」の請求代行サービスでは、請求書の作成・発行から、取引先への送付、入金確認までワンストップで対応しています。また、与信管理や未入金の取引先への連絡、督促業務にも対応しているため、請求業務前後のビジネスも簡便化が可能です。
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