支払いを請求するときや損害賠償を請求するときなど、重要な内容の文書を送るときには「内容証明郵便」を利用できます。どのようなシーンで活用できるサービスなのか、具体的にまとめました。また、書き方や利用料金なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
内容証明郵便とは、一般書留の内容文書について証明する日本郵便のサービスです。具体的には、次の事柄を証明します。
なお、内容証明郵便では文書の内容を写して保管するため、受取手によって文書が書き換えられても、最初に送られた文書の内容がどのようなものであったのかを示すことができます。しかし、あくまでも文書の内容を証明するだけであって、文書の内容が真実であることを証明することはできません。
内容証明郵便の料金は、一般書留料金に内容証明分の料金を加算して求めます。
<内容証明郵便の利用料金の求め方>
書類を1枚内容証明郵便として送付するときは、一般書留の加算料金は通常435円、内容証明の加算料金は440円です。また、25g以下の定形郵便物の基本料金は84円なので、合計959円かかります。
なお、内容証明する書類が2枚以上あるときは1枚あたり260円加算されます。例えば、封筒内に3枚の書類を入れて内容証明郵便として送付するとき(25g以下の定形郵便物の場合)は、郵便の基本料金に435円の一般書留の加算料金を加え、さらに960円(440円+260円×2)の内容証明の加算料金を合計した金額である1,479円が利用料金です。
e内容証明(電子内容証明)とは、インターネットを通じて内容証明郵便を発送する日本郵便のサービスです。郵便局に出かけずに送付できるだけでなく、24時間いつでも利用できるので、忙しいときや、近くの郵便局では内容証明郵便に対応していないときに適しています。
また、後で解説しますが、紙の書類で内容証明郵便を送付するときは、1枚あたり最大520文字しか記載できません。相手に伝える内容が多いときには2枚、3枚と枚数が多くなり、1枚ごとに内容証明の追加料金が加算されるため、高額になってしまいます。
しかし、e内容証明であれば1枚あたり1,500文字程度は記載することができ、内容が多いときでも大抵は1、2枚に収めることが可能です。その分、利用料金が安くなることもあるので、検討してみましょう。
ただし、紙の内容証明とは異なり、電子郵便料金などが加算されるため、文字数が少ないときは割高になることもあります。利便性とコストを比較したうえで選びましょう。
<e内容証明の利用料金の求め方>
郵便料金は84円、一般書留料金は435円、謄本送付料金は304円(通常送付の場合)です。電子郵便料金は1枚のときは15円、2枚目以降は1枚あたり5円です。また、内容証明料金は1枚目が382円、2枚目以降は1枚あたり360円となります。
例えば、1枚のみ送付する場合であれば、利用料金は1,220円です。3枚送付する場合の利用料金は1,950円になります。
内容証明と類似した名前のものとして「配達証明」が挙げられます。配達証明とは、配達の事実を証明するサービスです。内容証明とは異なり、文書の内容の証明には活用できません。
配達証明を利用すると、送付完了後に配達日時を証明するハガキが届きます。そのため、送付の事実を記録として残すことが可能です。
例えば、契約などに関わる大切な書類を送付する場合で、相手に到達した日が効力発生に意味を持つときには、相手に到達した日が大切なため、配達証明の利用が適しています。状況によって内容証明と配達証明を使い分けましょう。
内容証明郵便には、次の効力があります。
それぞれの効力の内容について解説し、利用できる場面を紹介します。
相手が支払いに応じないときなどには、最終的には裁判になることがあります。裁判の際には「誰あてにどのような内容の書面をを送ったのか」などが重要な争点になることも多いです。
内容証明郵便は誰にどのような内容の書面を送ったかの証拠としても活用できるので、言った言わないの無益な争いを回避できます。
相手が支払いに応じない場合、何もせずに放置すれば消滅時効が成立し、請求する権利を失うことにもなりかねません。
しかし、時効が成立する前に催告書支払いを請求すると、その請求の時から6か月を経過するまでの間は時効が完成せず、事実上、時効完成まで6か月の猶予を得ることが可能です。
内容証明郵便をこの猶予期間に活用して、未払金の回収に役立てましょう。催告書を配達証明付の内容証明郵便で送付することによって、催告の内容と相手方が催告書を受領した事実を記録に残すことができます。
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内容証明郵便を利用すると送付する文書が存在した日付(確定日付)を証明することができます。
取引先との間でお互いに未回収金が発生している場合は、相殺してお金のやり取りを整理することができます。相殺は相殺するという意思表示で成立しますが、後で根拠が必要になったときのためにも、内容証明郵便で相殺の意思表示をしたことを明らかにしておきましょう。
また、債権を譲渡するときも、第三者に対して譲渡の効力を主張できるように、債務者への通知を確定日付のある内容証明郵便で行うことができます。
内容証明郵便は、重要な内容を相手に伝えるときや確定日付などの根拠を取得したいときに利用できるサービスです。具体的にどのような場面で使えるのか、例を挙げて解説します。
取引に対する代金が支払われていないときは、相手に未払金の督促を行うことが必要です。内容証明郵便で支払期日などの取引の内容を記載した督促状を送付すれば、相手は「期限を過ぎていたとは知らなかった」と言い逃れることはできません。
督促や督促状については、次の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
関連記事:督促とは?催促との違いや使う場面、ケース別の例文を紹介
売買契約をし、相手側に商品を送ったものの代金が支払われない場合もあるかもしれません。そのようなときには契約を解除して商品を回収することも検討が必要です。
しかし、一方的に解約する前に、一定期間の猶予を相手に与えて再度支払いの機会を設けることが通常であり、そのような支払の機会を伝える催告書を送るときは内容証明郵便を使い、後で再度の支払の機会を与えたにもかかわらず支払いがされなかったことから契約解除に至ったという事情がわかるようにしておきましょう。
取引をしたものの、相手から受け取った商品に欠陥があったとしましょう。相手に「欠陥商品だから代金は支払えない」と伝えても、相手が代金の支払いを要求し、裁判に発展したとします。
このような場合は、相手に内容証明郵便で支払いを拒否する意思と理由を示すことが必要です。内容証明郵便の内容は裁判で証拠としても活用できるので、裁判官に事情を説明するときに役立ちます。
自社の商標権を他者に侵害されたといった権利を侵害された場合は、損害賠償を請求することができます。通常の郵便や電話では損害賠償を請求したという記録が残らないので、内容証明郵便を使って請求するほうが良いでしょう。相手に心理的な圧迫を与えることができ、問題の早期解決につなげることができます。
内容証明郵便は、すべての郵便局で提供されているサービスではありません。内容証明郵便を出すときは、まずは利用する郵便局で対応しているか確認しましょう。近くに対応する郵便局がない場合は、e内容証明も検討しましょう。
内容証明郵便を出す前と出した後にチェックするポイントを紹介します。スムーズな送付のためにもチェックしておきましょう。
内容証明郵便を送付するときは、相手に伝えたい内容が正確に伝わるように次のような項目をすべて記載します。
紙の書類で内容証明郵便を送付する場合は、以下の形式に沿って謄本を作成しましょう。
2枚以上のときは契印をします。また、社名の横には押印します。
郵便局には謄本2部と内容文書1部の合計3部の提出が必要です。謄本は差出人と郵便局がそれぞれ保管します。内容文書は相手に送付する文書です。
封筒に差出人と受取人の住所氏名を記載し、封をせずに文書と一緒に郵便局に提出しましょう。
郵便追跡サービスで配達状況を追跡できます。相手がいつ受け取ったのかを確認しておきましょう。
内容証明郵便が返送されるときは、次の理由が考えられます。
相手が意図的に受け取らないこともあります。内容証明郵便は相手に受取を強制できるサービスではないため、受取拒否が生じる可能性もあるでしょう。受取拒否により返送されたときは、特定記録郵便で送付し直します。特定記録郵便は相手のポストに投函されるので、相手の意思に関係なく送付できます。
住所を間違ったときや相手が引っ越している場合には、受取人不明として返送されることがあります。再度住所を確認し、送付し直しましょう。
また、配達時に相手が不在で、保管期間内に受取を行わなかった場合は、保管期間経過として返送されます。この場合も特定記録郵便で送付し直すか、裁判も視野に入れて行動を起こしましょう。
返送されなかったときは、相手が受け取ったと考えられます。配達証明書と文書の原本を保管し、次の行動に備えましょう。
内容証明郵便が持つ効力・正しい出し方・利用場面を理解して、効果的に使用しましょう。
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