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Peppol(ペポル)とは?インボイス制度との関連性などを解説

Peppol(ペポル)とは?インボイス制度との関連性などを解説

Peppol(ペポル)とは、欧州連合(EU)で生まれ、世界各国で導入されている電子文書のやり取りをグローバルに標準化した仕様です。

今回は、Peppolの仕組み、インボイス制度との関連性、導入のメリット・デメリットについて紹介します。

目次

Peppol(ペポル)とは

Peppol(Pan European Public Procurement Online)とは、電子請求書などの電子文書の交換に関する世界標準規格です。Peppolでは、文書の仕様・運用ルール・ネットワークについての規格が定められています。

Peppolは、国際的な非営利団体であるOpen Peppolによって管理され、各業界や企業の電子データ取引(EDI)の中継点として機能し、電子インボイスなどの電子文書を標準化します。

顧客が自社とは異なるシステムを使用している場合であっても、アクセスポイントを経由しPeppolのネットワークを介することで、異なるシステム間での送受信が可能です。

Peppolのネットワークにより、企業規模に関係なく、企業間の電子取引をスムーズかつ簡単に行うことが可能になります。

ここでは、Peppolの理解に欠かせない主な名称の説明と、EDI取引との違いについて解説します。

  • Peppol サービスプロバイダー
  • Peppol ID
  • JP PINT
  • PeppolとEDI取引の違い

インボイス制度の施行に伴い、今後さらにPeppolの重要性が増していくと考えられるため、理解を深めておくことが重要です。

Peppol サービスプロバイダーとは

Peppolサービスプロバイダーは、Peppolを通じた電子文書の交換を行うための「アクセスポイント」を提供する企業です。

日本でPeppolサービスプロバイダーとしてアクセスポイントを提供するには、デジタル庁から認定を受けなければなりません。デジタル庁の認定Peppolサービスプロバイダーは、以下のWebサイトから確認できます。

参考:日本における認定Peppol Service Provider一覧(デジタル庁)

Peppol IDとは

Peppol IDとは、Peppolネットワークへの接続に必要なユーザー固有の識別番号を指します。

Peppol IDの体系は国ごとに異なり、日本では法人番号や適格請求書発行事業者番号が使用されます。Peppol IDは、デジタル庁認定のPeppolサービスプロバイダーを通じて取得可能です。

Peppol IDを取得することで、Peppolネットワーク上で他のユーザーに認識されるようになり、顧客とPeppol IDを関連付けることによって、請求書の送信時に誤送信のリスクを低減できます。

JP PINTとは

JP PINTは、Peppolネットワークを通じて請求データの送受信を行うための日本独自の標準仕様です。JP PINTは、日本のインボイス制度の要件を満たすため、電子データの統一を目指して策定されました。

JP PINTに基づいた「適格請求書」を作成することで、インボイスへの対応が容易になります。また、JP PINTはPeppolネットワークで電子文書をやり取りする標準規格であるため、海外の企業との請求データ交換もスムーズにできます。

PeppolとEDI取引の違い

EDI(Electronic Data Interchange)は、Peppolと同様に、取引先との書類のやり取りを行うためのシステムです。PeppolとEDIの主な違いは、利用の便利さとコストにあります。

EDIの場合、送信者と受信者の両方が専用のシステムを設置する必要があります。一方でPeppolは取引先のIDさえ分かれば、誰でも利用可能なオープンネットワークです。

Peppolにおいてもシステムの利用料は必要ですが、比較的低コストでの導入が可能です。

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電子インボイスとは

電子インボイスは、インボイス制度において仕入税額控除を受けるために必要な「適格請求書」を電子データ化(EDI取引・記録媒体・電子メール・インターネットを通じた交付)したものです。適格請求書のデータ化により、業務効率や生産性の向上が見込めます。

ここでは、インボイス制度や電子インボイス、Peppolとの関係性について解説します。

インボイス制度とは

インボイス制度は「適格請求書等保存方式」という消費税の新たな制度であり、2023年10月1日に施行されています。8%と10%の消費税率を正しく処理することや、免税事業者からの徴収率を高めることなどが導入目的です。

適格請求書は、消費税の税率や税額を正確に分類して記述した請求書のことを指します。インボイス制度では、売り手である登録事業者が発行した「適格請求書(インボイス)」を買い手が適格請求書を受け取り・保管することで、消費税の仕入税額控除が可能となる制度です。

電子インボイスとPeppolの関係

電子インボイスは、適格請求書(インボイス)を電子データ形式で提供する行為や、請求書そのものを指します。

Peppolは、事業者間の適格請求書(インボイス)の交換を円滑にするために、電子インボイスを標準化し(デジタルインボイス)、異なるシステムを使用している事業者間でも円滑な交換を可能にするための規格です。

電子インボイスが、必ずしもデジタルインボイス(Peppol準拠)である必要はありません。Peppolとは異なる形式で作成されていても、必要な要件を満たしていれば仕入税額控除が可能です。

ただし、Peppolのネットワークを通じて適格請求書を交換する場合は、Peppolの仕様に従う必要があります。

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電子インボイスのメリット

電子インボイスのメリットは、次の5つが挙げられます。

  • 会計処理・データ処理業務が効率化できる
  • 請求書の管理を効率化できる
  • 海外との取引がスムーズになる
  • テレワークでも請求書に関する業務を行える
  • 改ざんの心配が少なく信頼性が高い

導入に際しては、コストや手間がかかりますが、実は多くのメリットをもたらします。ここでは、それぞれについて解説します。

会計処理・データ処理業務が効率化できる

電子インボイスの導入により、業務の自動化と効率化が可能となり、人的エラーを防げます。

複数の消費税率が存在することにより会計処理は複雑化しているため、手作業で行うと非効率であり、ミスの可能性が高まります。さらに、インボイス制度が開始されてから仕入税額控除を受けるためには、適格請求書の保存と、その内容を会計システムに反映させなければなりません。

電子インボイスであれば、データの取り込みや会計システムへの自動入力が容易です。

請求書の管理を効率化できる

請求書は、7年間保管することが法律で定められており、金額の大小に関わらず、すべての適格請求書を保管しなければなりません。

紙ベースでの保存は、保管場所や管理に手間とコストがかかる点や、必要なデータをすぐに探すのが難しいという点があります。

電子データとして保存すれば、保管場所や経費は不要であり、ファイル名などで必要な情報を検索することが容易になります。さらに、クラウドなどを利用して電子データを保存することで、データ管理の問題も解消できるでしょう。

海外との取引がスムーズになる

Peppolに準拠する利点として、国際的な取引にも対応しやすいことが挙げられます。

現代社会ではグローバル化が加速しており、海外の企業との取引は今後さらに増えると予測されます。Peppolは、デジタルインボイスを含む電子文書の交換における国際的な標準として広く認知されているシステムです。

Peppolに準拠することにより、Peppolを採用している海外の企業との取引がスムーズになり、請求書の規格の違いによるミスや業務負荷の増大を防げます。

テレワークでも請求書に関する業務を行える

現在においても請求書の取り扱いが紙ベースで、経理担当者が出勤しないと対応が難しいというケースもあるでしょう。

電子インボイスはネットワークを通じて取引が可能であるため、電子インボイスの利用により、テレワークの実現と経理担当者の働き方の改善が期待できます。

さらに「JP PINT」の統一されたフォーマットに基づく適格請求書であれば、異なる会計システムの取引間でも、請求データの自動収集が可能です。

改ざんの心配が少なく信頼性が高い

請求書をデータ形式にする場合、まず懸念されるのは改ざんのリスクです。

紙ベースの書類では法人印を使用するなどの対策が可能です。一方、PDFなどの電子データで請求書を発行する場合は、必ずしも押印が必要とされていません。そのため、メールやウェブを通じてPDFなどの電子データを送る場合、改ざんを防ぐための対策が必要です。

その対策として、タイムスタンプの追加や電子署名などの方法があり、電子インボイスにおいては、適格請求書発行事業者の情報を含む電子署名(eシール)の導入が検討されています。

総務省は、今後「eシール」の制度化を計画しており、eシール制度が導入されれば電子データ発行者のなりすましや改ざんの確認ができ、防止効果が期待されています。

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電子インボイスのデメリット

電子インボイスの導入検討段階においては、その利便性と効率性に着目するだけでは不十分です。ここでは、主なデメリットである以下2つのケースに焦点をしぼって解説します。

  • 導入にコストや手間がかかる
  • 取引先が電子インボイスに対応してない場合がある

電子インボイスは、業務の自動化や効率化、ヒューマンエラーの防止など、多くのメリットをもたらす反面、導入と運用にはさまざまな課題を伴うのも確かです。

取引先のニーズに応じた対応やシステムの改修、新規システムの導入、業務フローの見直し、それに必要な人的リソースとコストなど、電子インボイスの導入には多くの労力と投資が必要とされます。また、セキュリティの問題や法的な要件も考慮しなければならず、これらの課題を解決するための戦略と準備が不可欠です。

導入にコストや手間がかかる

適格請求書を発行するために必要な要件を満たすため、会計システムの改修や新たなシステムの導入などが求められます。

さらに、電子インボイスを導入する際には、経理業務のフローの見直しなどが必要となることもあります。

電子インボイスの取引が定着することにより、業務負担は段階的に軽減されますが、導入初期の負担は大きくなる可能性があることを認識しておかなければなりません。また企業によっては、会計システムだけでなく、レジや券売機の更新、帳票の見直しなどが必要です。

インボイス制度への対応費用については、国の補助金を利用できる場合もあります。資金面が課題となっている場合は、補助金活用の検討も視野に入れましょう。

取引先が電子インボイスに対応してない場合がある

取引先によっては、電子インボイスへの移行に慎重な場合もあります。

とくに、免税事業者の登録は任意であるため、小規模な事業者との取引が多いケースでは、システムに依存しない個々の対応が求められます。こうした状況では、紙と電子インボイスの両方に対応する必要があり、経理業務に負荷がかかる懸念も生じます。

紙ベースのインボイスのみ、電子インボイスのみ、または両方に対応するかどうかは、取引先の要望を考慮して方針を決めることが重要です。

電子インボイス導入の方針が決まった段階で、システムの導入や組織の体制作りを進めます。電子インボイスへの移行に際しては、取引先とのコミュニケーションや同意の取り付けなど、柔軟な対応が必要です。

また、電子インボイスを導入していたとしても、使用しているシステムがPeppolの基準に準拠していない場合、データ連携ができない可能性も考えられます。そうした場合、電子インボイスの導入による利点を十分に感じられないこともあるため、慎重な検討が求められます。

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まとめ

Peppolは、電子文書の交換におけるグローバルな標準規格です。Peppolに準拠することで、異なるシステム間であっても電子インボイスの交換が可能です。

デジタルトランスフォーメーションとペーパーレス化が重視される現代において、請求書の電子化を進める企業は増え続けています。

取引のスムーズ化やインボイス制度への対応を目指す企業にとって、Peppol準拠のデジタルインボイスの導入は効果的な手段といえるでしょう。

今後、紙の取引を減らし、海外企業とのビジネスを拡大したいと検討している場合には、Peppolネットワークの利用を検討してみましょう。

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【監修】マネーフォワードケッサイ株式会社

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