請求事務においてミスをすると、取引先に迷惑をかけてしまう上、修正作業や請求先への説明に時間を取られてしまい、他の業務に支障が生じることもあるので注意が必要です。こちらのページでは、請求事務で起こりやすいミスや、ミスを回避する方法、請求業務をまるごと任せられる代行サービスのご紹介や選び方について解説します。
まず、請求事務ではどのようなミスが起こりやすいのかを説明します。
実際の取引単価や取引数量を、誤った内容で請求してしまうケースが挙げられます。また、他の取引先との取引内容を誤って計上処理してしまい、他の取引先との取引明細が請求書に記載されてしまうケースなどがあるでしょう。
請求金額の入力を誤るケースもあります。システムなどを利用して、計上分が自動的に請求書になる場合は入力ミスが少なくなりますが、エクセルなどで管理している取引明細をまとめて手作業で請求書を作成している場合には、転記ミスが起こりやすいです。
作成した請求書を間違った取引先宛の封筒に入れてしまい、送付してしまうというミスが考えられます。またメールで対応する場合は、確認が不十分で誤ったメールアドレスに送付してしまうといったケースです。請求書の誤送付は、情報漏洩問題になる危険性があるので十分注意するべきといえるでしょう。
例えば、4月末に支払いをしてもらう予定が振込期日5月末と誤って印字してしまえば、それだけ請求額の回収が遅れてしまいます。資金繰りが悪化してしまう恐れがあるので気を付けるべきです。
一度請求書を送付した企業に対して、同じ請求書を送付して二重請求してしまうケースもあるでしょう。既に支払いを完了させているのにもかかわらず二重請求することは、請求先に失礼です。事務管理ができていない会社と思われてしまう可能性もあるので、注意しましょう。
請求書は作成したものの、送付を忘れる可能性もあります。例えば、郵便で送付する場合であれば、ポストに投函し忘れるかもしれません。メールに添付して送付する場合であれば、メールは送信したものの請求書のファイルを添付し忘れたり、メールの送信そのものを忘れることがあります。
また、正しくファイルを添付してメールを送信したものの、何らかのトラブルで送信できていないケースもあるでしょう。メールで請求書を送付するときは、未送信ボックスに入っていないか確認し、送信が成功したのかどうかチェックしておきましょう。
請求書を取引先が紛失する可能性もあります。請求側のミスではないものの、取引先が紛失したことに気付いていないときは支払い期限までに入金されないので注意が必要です。支払い期限が来る前に注意を喚起するためのメールや電話を送ることで、取引先が紛失したことに気付きやすくなるでしょう。
請求事務でミスをしてしまった場合には、どう対処すればいいのでしょうか。具体的な対処法を紹介します。
請求書を間違えて発行してしまっても、それが送付前であれば、修正したものを送付すれば問題ありません。この場合、内部の問題なので請求書番号なども変える必要はありません。
送付後に間違いに気付いたら、取引先にその旨を連絡し、間違ったものを破棄してもらいましょう。その後、速やかに再発行した請求書を送ります。基本的には間違った請求書を訂正するのではなく、新しく発行します。請求書番号に枝番を付けるなどして、元の請求書とは異なる番号を付与したほうが管理もしやすいです。
やむを得ない事情で、請求書の再発行ができないこともあります。どうしても再発行できないときは、間違いの部分に二重線を引き、その上に印鑑を押して訂正します。印鑑は請求書に押してあるものと同じものを使用しましょう。ただし、請求書の情報のすべてが誤っているときは、二重線と印鑑では修正できません。
間違いの内容によっては、上の役職の人に説明(謝罪)をしてもらう必要があります。例えば、A社に発行すべき請求書をB社へ送付、B社へ発行すべき請求書をA社へ送付してしまった場合、情報の管理状況について疑問を抱かれることがあります。また、A社とB社で同じ商品を異なる単価で取引をしていれば、高い単価で取引をしている企業からクレームが入る恐れもあるでしょう。このように、請求書の誤送付をすると誤送付以外の問題に発展する可能性があるので、ミスをしてしまった場合にはしっかり取引先をフォローすべきといえます。
請求書にミスがあったときは、迅速に訂正して請求書を再発行するだけでなく、お詫びをすることが必要です。電話をかけてどの部分に間違いがあるのか説明してお詫びし、さらに郵送やメールでお詫び状を送るとより丁寧でしょう。
お詫び状は、相手がミスに気付いていないときも必要です。請求書に間違いがあるということは、取引そのものの信用性を失いかねない大きなミスです。誠心誠意謝罪していることを伝えるためにも、お詫び状を送るようにしましょう。
次の記事ではお詫び状の例文を紹介しています。ぜひ参考にして、取引先に誠意が伝わるお詫び状を仕上げてください。
請求書にミスがあると、取引先から信用を失うことにもなりかねません。特に、単価や取引数量などを間違えて実際よりも多く請求してしまうと、意図的なミスではないかと疑われる恐れがあるので注意が必要です。
また、1回程度のミスであれば快く受け止めてもらえても、何度もミスが続くと、取引の継続が危うくなる恐れもあります。取引先から信用される事業者になるためにも、請求書にはミスがないように心がけることが不可欠です。
請求書のミスをなくすための対策としては、次のものが挙げられます。
それぞれの対策について解説します。
請求書のミスは、チェック体制を構築することで回避できることがあります。例えば、請求書を作成したときには、必ず複数のスタッフにより間違いがないか確認しましょう。取引先の名称や住所、請求日、支払い期限などはもちろんのこと、取引数量や単価、品目なども細かく確認します。
また、請求書の送付し忘れを回避するために、管理リストを作成することも1つの方法です。請求書の作成、送付、入金確認などをすべてリストにまとめて表示し、実行したときに日付を記入するようにすることで、送付し忘れを回避しやすくなります。
請求書発行ツールの導入も、請求書のミス回避に役立ちます。どんなに多くのスタッフが確認しても、人間である限り、見落としがないとは言い切れません。請求書発行ツールで請求書作成を自動化すれば、単価や取引数量の入力間違いなどを回避できます。
また、請求書発行ツールを利用すると、請求書の作成だけでなくメールでの送信までワンストップで実施することが可能です。そのため、請求書の内容ミスを回避できるだけでなく、送付し忘れも回避できます。
なお、請求書発行ツールによって使いやすさや料金が異なるため、いくつかのツールを比較して選ぶことが大切です。無料で一定期間試せるツールもあるので、操作性を確認してから導入するとミスマッチを防げます。
すでに会計ソフトなどを導入している場合は、既存のシステムと連携できるかどうかも確認してから請求書発行ツールを選びましょう。既存システムと連動できると、初期設定業務を簡便化でき、よりスムーズに導入できます。
請求代行サービスは請求書の作成や送付だけでなく、代金回収、入金消込、未回収時の督促などもまとめて請け負うサービスです。会計システムや受発注システムなどと連携できるものもあるため、業務全体の工数を削減することができます。
請求書の発行、発送のミスをなくしたいだけでなく、社員の工数削減や人件費の削減をお考えの方にはおすすめのサービスです。
請求事務のミスを回避するのに加え、請求業務の工数を減らしたい・本業に注力したいとお考えの企業様には、請求代行サービスの利用がおすすめです。ここでは、請求代行サービスの具体的な内容について紹介します。
請求代行サービスでは、請求書の発行から送付までを代行してくれます。また、与信・催促・保証まで代行してくれる請求代行会社も多いです。保証があることにより、万が一請求先が支払遅れ・債務不履行があったとしても予定通りに入金されるので、資金繰りの心配をする必要がありません。
請求書の発行や送付の作業は一見ルーティン業務で簡単に感じるかもしれませんが、明細の記載を間違えたり、送付先を間違えたりといったヒューマンエラーを起こす可能性を秘めています。取引先が多い会社や経理部の人員が足りない会社の場合、ミスを回避するためにも請求代行サービスの導入がおすすめです。社員の精神的な負担軽減にも繋がります。
請求代行サービスの種類は多いため、自社に合うサービスかどうか比較して吟味することが必要です。次のポイントに注目し、利便性の高いサービスを選びましょう。
それぞれのポイントについて解説します。
請求代行サービスによって、対応しているサービスが異なります。請求書の作成と発行だけでなく、入金確認や督促業務にも対応しているサービスや与信業務にも対応しているサービス、入金保証を請け負うサービスもあるので、利用したいサービス内容に対応しているのか確認しておきましょう。
請求代行サービスによって、料金が異なります。また、保証やオプションをつけることでも料金が変わります。請求代行サービスを利用することで得られるメリット(人件費の削減、社員の負担軽減、資金繰りの安定など)と比較し、納得できる料金かどうか考えてからサービスを選ぶようにしましょう。
すでに会計ソフトや受発注システムなどのツールを導入している場合は、請求代行サービスと連携できるかどうかも確認しておきましょう。連携できると取引先の情報などを再入力する必要がなくなり、記入ミスを回避することができます。
また、将来的に会計関連の別のツールを導入しようと考えている場合も、請求代行サービスとの関連性を確認しておきましょう。
請求事務には、請求書の内容を間違えたり、送付先を誤ったり、二重送付があったりといったミスをしてしまう可能性を秘めています。間違った請求書を送付することにより、請求先からの信頼がなくなる可能性もあり、そうなれば取引にも影響します。
特に取引先が多い企業や経理担当者が少ない企業の場合、請求事務のミスを回避するためにも請求代行サービスの利用がおすすめです。請求代行サービスによってサービス内容や手数料が異なるので、貴社のニーズに合ったサービスを選んでください。
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受賞歴:ITreview Grid Awardにて、最高評価である「Leader」を受賞