ブラックリストとは、クレジットカードの支払いや債務の返済が滞った時に信用情報機関に残る記録です。情報が残っている間は、金融期間からの借り入れや新たなカードの申込は難しくなります。ブラックリスト入りした時に被る不利益や、検討できる資金調達の方法を紹介します。
ブラックリストとは、信用情報機関に残った事故記録のことです。実際にブラックリストと呼ばれるものがあるのではなく、公的機関が把握した返済未了や破産などの情報を意味します。具体的にはクレジットカードの支払いの遅延、債務整理、カードの多重申込などが該当します。
ブラックリストに掲載されると、クレジットカードやローンの申込・審査などで不利に働きます。信用力に乏しいと考えられるため、第三者の保証人になるのも難しくなります。一度ブラックリストに登録された場合、正しい情報である限り、自分の意思では削除できません。案件ごとに決められた掲載期間が過ぎ去るまで待つ必要があります。
また、ブラックリストに掲載されても、会社を興す行為は可能です。ただし融資を受けることが難しくなるため、資金調達を行う際に不利に立たされます。
個人の信用情報を扱う信用情報機関は、KSC(全国銀行個人情報信用機関)、JICC(日本信用情報機構)、CIC(指定信用情報機関)の3つです。
信用情報機関に記録される内容としては、本人情報(氏名、生年月日、住所、電話番号など)、契約情報(契約日、契約金額、保証額など)、返済状況(残高、完済日、延滞など)、申込情報(金融商品の種別、申込日)、取引の事実(債務整理、債権譲渡、破産申し立て)が該当します。
自身がブラックリストに掲載されているかを知りたい場合、情報開示請求を行うことも可能です。開示請求は手数料が伴いますが、インターネットや郵送で行えます。
ブラックリストに掲載されている、または掲載期間を過ぎたか分からない状態で新たにカードやローンを申し込む前には開示請求がおすすめです。
ブラックリストに載る明確な基準は存在しませんが、悪質な支払いの延滞や債務整理、多重申込があると確率が上がります。
ブラックリストに載る事実を起こしていないならば、次に説明する状況を避けて、信用状態に傷がない状態をキープしましょう。
3ヵ月以上の延滞や61日以上の滞納があると、ブラックリストに登録されるのが一般的です。上記の基準に満たない軽微なケースでも、何度も期日に遅れるとブラックリスト入りの危険が高まります。
クレジットカードや融資の申込に限らず、たとえば携帯電話やスマートフォンの料金の滞納なども、ブラックリストの対象となる場合があります。
携帯電話やスマートフォン会社への滞納は信用情報に傷がつく原因です。借金の返済が滞っていると、その他の債務の支払いも遅延を起こすのではと疑われる可能性があります。ブラックリストに載ってからでは遅いため、心当たりがある場合は今すぐに返済しましょう。
借金を減額・帳消しする債務整理は借入時の約束を破る行為に外なりません。金銭を貸与しても返済を受けられないと判断され、信用取引上の事故事由に該当します。債務整理には任意整理・個人再生・自己破産が存在しますが、いずれの場合も信用情報に傷がつくと考えましょう。
また、過去に完済し、負担した払い過ぎの利息を取り戻す過払い請求の際は、事故自由に該当しません。ただし、過払い請求自体は債務者の正当な権利ですが、実質的に任意整理や自己破産の性格を持つとブラックリストに登録される可能性があるため注意しましょう。
信用情報はクレジットカードや融資の申込履歴も含まれます。短期間に何種類ものカードに申し込むと、何度も審査に通過できないほど信用力や収入が低いと考えられます。
条件面で不安があると「数を打てば当たる」と考え、同時に何社にも申し込む場合もありますが、かえって逆効果です。クレジットカードを申し込んで落ちた事実は6ヵ月間ほど信用情報機関に登録されます。1社に断られた時は半年置いてから次にチャレンジしましょう。
金融機関の与信審査では信用情報機関への問い合わせが行われます。ブラックリスト入りした事実が審査担当者に伝わることは避けられません。申込者が過去に事故を起こした事実があると、金融機関は返済が滞るリスクが高いと考えます。ブラックリスト入りで審査の通過が難しくなるものを紹介します。
クレジットカードを新たに作る場合や既存のカードを更新する場合、信用情報に傷があると不利です。クレジットカード会社は新規・更新時に信用情報機関の情報を参照し、問題がない利用者かどうか判断します。
事故情報があると審査に落ちるばかりか、今のカードも使えなくなることがあります。家賃や日々の買い物、公共料金の支払いにクレジットカードを使用していた場合、別の決済手段への切り替えが必要です。
ブラックリストに掲載されると、銀行や信用金庫からの融資を受けることは難しくなります。審査が厳しい金融機関のほか、信販会社や消費者金融からの借り入れも対象です。融資では信用情報の参照が必須のため、ブラックリストに載っている間は認められません。
比較的審査が緩い傾向にある中小の消費者金融の場合、確実な返済計画があれば、融資を受けられる可能性はあります。しかし確実性は低く、業者選びを間違えると闇金に依頼してしまう恐れもあります。
ブラックリスト入りでも可能性があるとはいえ、申込時点で借金がなく、総量規制の範囲内が前提条件です。総量規制とは貸金業者からの借り入れは年収の3分の1までと規定した法律上の規制です。
ブラックリストの掲載期間中は、ローンやキャッシングの利用が認められなくなります。住宅ローンや車のローンでも信用力が低いとみなされ、審査に通る確率は極めて低いものです。信用情報機関の登録期間が過ぎ去り、ブラックリストから外れるまでは新規の借り入れは難しくなります。
住宅ローンや車のローン、保険のような金額が大きくなりやすい金融商品はなおさらです。
保証会社の利用を求める賃貸マンションの場合、ブラックリスト入りの場合は入居を断られる可能性があります。大家や仲介会社が許可を出しても、保証会社側の審査に通らないからです。家賃の支払いが滞った時に責任を負うのは保証会社であるため、マンションと関係がなくても、過去に遅延や貸し倒れを起こしたことがある場合は、契約を交わすのは難しいと考えます。
ブラックリストに登録された信用情報は自分では消せないため、掲載期間が過ぎ去るのを待つのが一つの方法です。原因ごとに消えるまでの期間は異なります。シチュエーション別に目安を紹介します。
支払い期日から3ヵ月以上の延滞、または61日以上の滞納でのブラックリストの登録期間は5年間です。利息や遅延損害金を含むすべてを返済してはじめて弁済義務から逃れられます。一部でも返済未了の金額があれば、延滞に当たるため注意が必要です。
企業が支払いの遅延を起こすのは、法人用のクレジットカード利用が原因だと考えられます。故意はもちろん、引き落とし日を失念して口座に現金を用意していなかった、想定以上の利用額が発生したなどの過失でも対象です。
保証会社が債務者の代わりに弁済を行うことを代位弁済と呼びます。名称からは債務が消失した印象を受けるかもしれませんが、弁済の義務が第三者に移転しただけで借主の債務は残ったままです。代位弁済があった場合、ブラックリストに登録される期間は「契約期間中+契約終了から5年間」です。
「契約期間中」とは債務者が保証会社に返済中の期間を、「契約終了」は完済のタイミングを指します。そのため、借金をすべて返し終わるまでは5年のカウントが始まらないことに注意が必要です。
カードローンやキャッシングの借入を返済できず、任意整理で債務整理を行った場合のブラックリストへの掲載期間は5年です。任意整理でも金融機関と債務者の間で取り交わした返済期間を過ぎるのには変わりません。正常な支払いができないと判断でき、信用情報機関における事故情報の保存対象です。
任意整理の手続きが終了した時点からブラックリストに入り、期間は完済から5年間におよびます。債務整理では、現行の利息制限法に基づいて過払い利息などを算出する「引き直し計算」に注意が必要です。現在より金利が高い時に契約した場合は弁護士に引き直し計算を依頼し、後から過払い金を取り戻すことが可能です。
利息の返還請求権が残る場合でも、任意整理を行った事実は変わりません。過払い金の返還で債務者と合意に達した後、実際に支払いが済んだタイミングで、信用情報から抹消されます。
任意整理の債務を完済してブラックリストから消えるのは、信用情報機関のみです。債務不履行が生じた相手方には貸し倒れの事実が一生残ります。任意整理を行った金融業者からはそれ以降、融資や借入はできなくなると考えましょう。直接の借入先以外にもグループ会社も対象です。
自己破産による信用情報機関への登録期間は5年〜10年です。金融機関や消費者金融によって融資やクレジットカードを作成できる判断の基準が異なるため、自己破産から7年後にクレジットカード会社Aにローンの申込をして断られても、クレジットカード会社Bには認められたというケースはあるでしょう。
自己破産によるブラックリスト入りの期間は、CICやJICCが事故発生から5年間、KSCが10年間です。支払いの遅延や代位弁済、債務整理の原則5年と比較して、登録機関が長期に及ぶ可能性があります。自己破産を選択した場合、長期的に借り入れに頼る生活や、クレジットカードでの決済はできなくなるでしょう。
一度に何社ものローンやクレジットカードの申込を行う多重申込の場合、信用情報機関への登録期間は約半年間です。そのため審査に落ちてしまった場合は、約半年間を過ぎてから再度申し込むようにしましょう。
ブラックリスト入りする理由は、短期間で複数社に申し込んだ場合、金融機関は申込人の信用力の低さや経済的余力の無さを疑われるためです。
ブラックリストの掲載期間中は、金融機関から融資を受けるのは難しくなります。クレジットヒストリーの傷がなくなるのを待たないのであれば、その他の資金調達手段を検討するのが一つの手です。ブラックリスト入りしても利用を検討できる補助金・給付金、ファクタリング、クラウドファンディングについて解説します。
補助金や給付金は融資と異なり、返済義務がありません。したがって信用情報でブラックリスト入りした方も利用できる場合があります。中小企業庁の補助制度「早期経営改善計画」では、中小企業や個人事業主が経営改善に要した費用のうち、国から最大20万円の援助を受けられます。
日本政策金融公庫による創業融資も、ブラックリスト入りの方でも利用できる可能性があります。融資の審査で信用情報を確認するのは一緒ですが、事業計画書の内容次第では承認が下りる場合があります。確実性と将来性を満たした入念な事業計画を練り、面談の場では熱意や市場の成長性をアピールしましょう。
ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、返済期限が訪れる前に現金を受け取る方法です。融資と異なり、借金が増えるわけではないため、ブラックリスト入りの場合も利用できることがあります。
債権を活用した資金調達の手法のため、負債を抱える必要がありません。銀行融資と比べて審査の基準も緩く、信用力に乏しい中小企業や個人事業主でも活用しやすい方法です。ファクタリング会社によっては、申込~最短翌日で融資が完了するスピード感も魅力です。
ファクタリングでは利用者の信用力よりも、売掛先の信用力が重視される傾向があります。審査に全く関係がないとはいえないものの、企業の規模や設立年度などから売掛金の回収可能性が高ければ、信用情報に傷がある状態でも利用を検討できます。
クラウドファンディングは、インターネット上で事業内容や経営者の想いをPRして、幅広い層から資金を募る方法です。プロジェクトが魅力的な内容であれば、資金調達できる可能性があります。クラウドファンディングは完全な寄付とは異なり、事業が成功して得た利益を出資者に還元する場合もあります。
クラウドファンディングでは、いかにプロジェクトに共感する人を集めるかが資金調達の成否を分けます。集客力のある人物であれば性別・年齢・職業問わず資金を確保できる可能性があるでしょう。
しかし、クラウドファンディングは実際に募集をかけないと、必要な資金額を確保できるか未知数です。誰でも利用しやすい手法の反面、不確実性が高い方法だと理解しましょう。
ブラックリストに載る原因や、掲載期間中にできなくなる行為などを紹介しました。事故情報が登録されている期間はクレジットカードの作成・利用、各種ローンの申込、キャッシング、金融機関から融資を受けるなどの行為は難しくなります。
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