バックオフィス業務とは、一般的に総務・経理や人事などの顧客や取引先と関わらない業務を指します。効率化することで、コストの削減だけでなくミス削減や業務時間の短縮などが実現できます。効率化するための具体的な方法についてまとめて紹介します。
バックオフィス業務とは、主に社内で完結する業務全般を指します。例えば、総務や経理、人事などの仕事は社内のみで完結し、基本的には顧客やクライアントと関わりを持つことがありません。このような業務はすべてバックオフィス業務と呼び、企業運営に欠かせない仕事として位置づけられます。
反対に、顧客やクライアントと関わりを持つ業務はフロントオフィス業務です。営業やカスタマーサポート、受付などの業務は、いずれもフロントオフィス業務に区分けされます。
多くの企業では、バックオフィス業務に何らかの課題を抱えています。よくある課題としては、次のものが挙げられます。
バックオフィス業務には、専門的な知識やスキルを要するものが多数あります。例えば、年末調整などの頻繁に法改正が行われる業務に関しては、特定の担当者が受け持つことが多く、「年末調整はAさん」「退職手続きはBさん」のように業務が割り振られることも珍しくありません。
専門的な知識を有していることは、企業にとっては戦力です。しかし、他の従業員と情報共有ができていないと、担当者が休職や退職したときには年末調整の対応が難しくなってしまいます。
また、バックオフィス業務は毎日同程度の業務をこなすわけではありません。例えば、決算期は業務が集中し、残業や休日出勤などが必要になることがあります。しかし、業務があまりない時期もあるため、繁忙期に合わせて人員を増加させると業務効率の改善よりもコストの増加が目立ってしまいます。
デジタル化があまり進んでいないのもバックオフィス業務の特徴といえます。フロントオフィスではオンラインで取引先とやり取りをしていても、バックオフィスでは人が紙の資料で作業をしていることが大半です。印鑑なしに書類の受理ができなかったり、勤怠管理にタイムカードを使っていたりすることもあります。
バックオフィス業務には手間や時間がかかる仕事が少なくありません。つまり、効率化する余地のある業務が多いことが、バックオフィス業務の特徴ともいえます。バックオフィス業務を効率化すれば、次のメリットが得られるでしょう。
それぞれのメリットについて説明します。
バックオフィス業務の効率化は、主にデジタル化で行うことができます。例えば、手作業で受注票や納品書、請求書などを作成していたのであれば、デジタル化により人の手がかかる部分が最小限になります。宛名や日付の写し間違い、数字の入力ミスなどの人為的ミスも減り、より質の高い業務を行えるでしょう。
バックオフィス業務を特定の担当者に頼らずデジタル化すれば、特別な技術がなくてもフローさえわかれば担当でなくても業務を行えるようになります。業務の属人化から脱却し、引き継ぎも簡単になるでしょう。
また、特定の従業員に業務が集中することが減り、作業量が適切に分担されることもメリットです。業務負担の少ない職場になり、従業員の満足度も高まります。
バックオフィス業務をデジタル化することで、業務時間が短縮されます。残業が減り、働きやすい職場になることも効率化のメリットです。また、人為的ミスの削減により修正業務が減ることも、業務時間の短縮につながります。
残業が少ない働きやすい職場は、求職者にとっても魅力的な職場です。将来的には、採用希望者の増加なども期待できるかもしれません。
バックオフィス業務には手間がかかる仕事が多いため、人件費がかかります。また、紙の書類が多い職場なら、紙代だけでなく、印刷代、ファイル・棚などの備品費もかかっています。
バックオフィス業務を効率化すれば、人件費を削減できるだけでなく、紙代などの大幅な削減が可能です。業務にかかるコストが減れば、利益増につながります。
バックオフィス業務の効率化は、コスト削減やミス削減などの多くのメリットを生みます。しかし、効率化の基準や必要な対策は、企業によって異なります。業務効率化に取り組む前に、具体的にどのような課題を抱えているのか特定しておくことが必要です。
特に次のポイントについては、確認しておくようにしましょう。
それぞれのポイントについて説明します。
バックオフィス業務の効率化は、ペーパーレス化(データ化)とデジタル化、外注サービスの利用の3つの方法で進めていきます。まずはペーパーレス化できる業務について考えていきましょう。
例えば、有給休暇の申請書などはペーパーレス化するほうが好ましいです。特にテレワークに対応している企業であれば、有給休暇の申請だけのために出社するのは業務効率が良いとはいえません。
また、取引先に渡す納品書や請求書もデータ化が望ましい書類です。データ化すればすぐに共有できるだけでなく、検索が可能になるため、書類探しの時間を削減できます。
次はデジタル化できる業務の特定です。次の特徴がある業務は、デジタル化に適しています。
単純な業務とは、数字や文字をそのまま記入するなどの業務です。例えば、データの入力や数字の照合などは単純作業のため、デジタル化しやすいといえます。
また、定型的な業務とは、決められた手順通りに行う業務のことです。タイムカードから労働時間を計算して勤怠管理表に書き込む仕事などが挙げられます。このような業務もデジタル化がおススメです。
単純な業務も定型的な業務も、いずれも臨機応変な対応を必要としないため、簡単といえば簡単です。しかし繰り返しの作業になることや数字を扱うことが多いことから、ヒューマンエラーなどのミスが生じやすい業務でもあります。ミスがあると取引先からの信用を落とすことになりかねません。まだデジタル化していない場合は、早急なシステム導入が必要といえるでしょう。
バックオフィス業務は企業運営にとって欠かせない業務ですが、必ずしも企業内で対応しなくてはいけないものだけではありません。業務内容や仕事量によっては、外注することで効率化を実現できることもあります。
例えば、経理部門において毎月請求日前後だけが忙しいのであれば、請求関連業務の外注を検討できるかもしれません。外注できる業務を特定すれば、営業や企画、マーケティングなどの外注が難しい業務へ戦力を増やすことができ、売上増や事業拡大につなげられるでしょう。
ペーパーレス化(データ化)やデジタル化、外注サービスの利用のいずれかに該当する業務は、バックオフィス業務において効率化が可能な業務です。次の方法で効率化を進めていきましょう。
それぞれの方法について具体的に説明します。
RPA(Robotic Process Automation)とは、単純業務や定型的業務に活用できるシステムです。導入することで自動化でき、業務効率化が可能になります。
データ入力や数字の照合、データ分析などは、RPAが得意とする分野です。RPAを正しく設定すれば、作業ミスがなくなるだけでなく、作業時間を短縮することもできます。RPAは人に代わる労働力として作業することが可能なため、稼働時間を増やしてスケジュールの調整を行うこともできます。
ただし、RPAを導入するときは少なくない初期コストがかかる点に注意が必要です。また、操作するのは人間のため、使いこなせるまでに時間がかかることもあります。
クラウドサービスとは、特定の業務に対してスポット的に利用する自動化サービスのことです。例えば、勤怠管理だけにクラウドサービスを利用すれば、従業員の業務時間の確認から給与計算、賞与計算などをワンストップで行うことができます。
業務内容が限られているため、RPAと比べれば初期コストが低く、毎月の利用料も低めです。また、ソフトウェアではないため、複数のパソコンで同時に利用できること、パスワードなどを共有すればテレワークにも対応できることなどもクラウドサービスの特徴です。
アウトソーシングサービスとは、外注サービスのことです。クラウドサービスは特定の業務のみに利用しますが、アウトソーシングサービスは複合的に利用できるという特徴があります。
例えば、請求業務にアウトソーシングサービスを利用すれば、請求書の作成から送付、入金確認、督促などの関連業務をすべてワンストップで任せることが可能です。既存業務の中でも自社で行う必要性がないものは、アウトソーシングサービスに任せることも検討してみましょう。
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また、「マネーフォワード ケッサイ」では、入金保証にも対応しています。取引先様やクライアント様の入金が遅れている場合でも、「マネーフォワード ケッサイ」が期日通りの入金を保証いたしますので、キャッシュフローが安定する点も特徴です。
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バックオフィス業務の効率化を検討している方は、まずはペーパーレス化・デジタル化・外注サービスの利用が可能な業務を特定しましょう。例えば、請求関連業務の負担が大きく、効率化が必要なときは、請求代行サービスの利用を検討できます。
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