請求書を入れる封筒には、いくつかのビジネスマナーが存在します。業務において頻繁に作成している方でも、意外と正しいマナーを知らないというケースは少なくありません。
そこで、本記事では請求書の封筒の書き方やマナー、「請求書在中」と記載することの必要性について解説します。
請求書を入れる封筒の書き方は、表面と裏面のどちらにもポイントがあります。メールなどによるやり取りも増えたこともあって、書き方に対して細かく指摘する方は多くないかもしれませんが、正しい書き方を知って損はありません。
ここでは、表面と裏面のそれぞれの書き方に関するポイントについて詳しくみていきましょう。
請求書を送る封筒の表面の書き方のポイントに次の3つが挙げられます。
縦書きと横書きに分けて解説します。
まずは郵便番号を記載します。郵便番号用の枠がある封筒を使用するときは、枠内に算用数字で記載してください。枠がないときは、右上に横書きで書きます。
郵便番号の右端の数字から少し下がったところに、相手住所を書き始めます。番地などの数字は、算用数字ではなく漢数字を用いるのが一般的です。
株式会社や有限会社は省略せずに記載してください。また、担当者が決まっているときは、社名の左側に「〇〇部 〇〇〇〇様」のように分けて記載します。担当者が決まっていないときは、「株式会社〇〇 〇〇部御中」のように記載しましょう。
横書きの封筒には郵便番号の枠がないことが多いです。左上端から右に2文字、下に2文字程度下がった場所に、算用数字で郵便番号を記載してください。
郵便番号の左端から1文字程度下がったところから、相手住所を書き始めます。番地などの数字は、漢数字ではなく算用数字で記載しましょう。ビル名も省略せずに書くようにしてください。
宛名は住所の右下から書き始めます。住所の最初の文字から右に2文字、下に1文字程度下がった場所に会社名を書いてください。担当者の名前がわかっている場合は、会社名とは行を分けて、1行下に記載します。
請求書を送る封筒の裏面に書く主な文言として次の4つが挙げられます。
縦書きと横書きに分けて解説します。
封筒の中央部分に継ぎ目がある場合は、継ぎ目のすぐ右側に郵便番号を算用数字で横書きします。郵便番号の中央部分の1文字程度下から、相手住所を書き始めましょう。宛名は継ぎ目の左側に記載します。担当者が決まっている場合は、右から「会社名」→「部署名 担当者」となるように記載してください。
継ぎ目がない場合は、封筒の中央部分よりも少し左側に郵便番号を算用数字で横書きします。郵便番号の中央部分の1文字程度下から、相手住所を書き始めてください。その後、住所の左側に宛名を書きます。発送日を書く場合は、封筒の左上に縦書きします。
封じ目は、誰も開封していないことを示すものです。手書きの場合は、忘れずに記載するようにしてください。封じ用のスタンプでも問題ありません。
封筒を上下に2分割する線を引いたと仮定し、その線の下側に郵便番号・相手住所・宛名が収まるように記載します。郵便番号は線のすぐ下の中央よりも少し左側、相手住所は郵便番号の左端の数字よりも下に1文字、右に1文字ほど下がった場所から書き始めてください。
発送日を記載する場合は、郵便番号よりも上に横書きします。ただし、郵便番号のすぐ上に書き、封筒の上半分は何も記載しないで空けておくようにしましょう。
請求書を封筒に入れる際のマナーとして押さえておくべき点として次の2つが挙げられます。
請求書を送付する場合は封筒の書き方だけでなく、請求書を封筒に入れるマナーについても正しく理解しておかなければなりません。取引先からのイメージを損なわないためにも、ここではそれぞれのマナーに関する詳しい内容を解説します。
請求書の折り方は、均等な3つ折りとするのが基本です。長形3号の封筒にA4サイズの請求書を入れる場合や、長形4号サイズの封筒にB5サイズの請求書を入れる場合は、3つ折りにして封入しましょう。
また、書類を3つ折りにする場合は初めに用紙の下から折り、次に上から折るのが正しい折り方です。さらに、送付状を同封する場合は送付状を請求書の上に重ねて3つ折りにしましょう。
請求書を封筒に入れる際は、取引先が開封した際に「請求書」、送付状を同封している場合は「拝啓」という文字が最初に見える状態にしておく必要があります。次の順で入れてください。
送付前に、文字が最初に見えるかどうか確認することで、間違いを防げます。
前述の通り、「請求書在中」の文言は必ずしも記載しなければいけないものではありません。しかし、記載する場合には次の2つの注意点について配慮する必要があります。
取引先が郵便物を受け取った際に識別するための配慮であるため、記載する場合には正しい方法に沿っておきたいものです。ここでは、それぞれの詳しい内容について解説します。
「請求書在中」と封筒に記載する場合、記載位置は封筒の向きによって異なります。一般的に使用されている縦書きタイプの封筒の場合の記載位置は「左下」です。
一方、横向きタイプの封筒で記載する場合の位置は「右下」となります。ビジネスマナーとして配慮したにもかかわらず、かえってマナーがないと思われないためにも記載位置はしっかりと覚えておきましょう。
「請求書在中」の記載方法には「手書き」と「スタンプ」の2つがあります。手書きの場合、赤字を連想することから赤を避けながらも、宛名より目立たせた方がよいとされています。そのため、青字で記載するのが無難でしょう。
ただし、手書きだと読みにくいこともあるため、スタンプの利用もしくは請求書送付用に直接記載された封筒を準備するのが一般的です。
請求書の封筒の選び方にも注意が必要です。選び方のポイントとして次の2つが挙げられます。
請求書の封筒選びも大切なマナーであり、ここまで紹介したポイントを押さえていても封筒選びに失敗しては意味がありません。取引先からのイメージをダウンさせないためにも、ここではそれぞれの内容について見ていきましょう。
封筒の色には明確な決まりはありません。ただし、取引先が請求書の封筒だとすぐに認識できるよう「白色」もしくは「薄い青色」の封筒を使用するのが一般的です。
赤色は「赤字」を連想させることから、一般的に用いられることはありません。また「請求書在中」と印字されている封筒を使用する場合は、印字されている文言の色にも注意しましょう。
請求書の送付用として使用される封筒のサイズは「長形3号」もしくは「角形2号」が一般的です。長形3号はA4サイズの請求書を3つ折りにする場合に多く使用されます。
一方、角形2号はA4サイズの請求書よりも少し大きく、A4サイズの請求書をそのまま入れて使用できます。基本的にどのサイズを使用しても問題ありません。
請求書を送るときには、次のマナーを押さえておくことが必要です。
上記について解説します。
請求書は「信書」として送付する必要があります。信書とは、特定の受取人に対して差出人の意思や事実を通知する文書のことで、日本郵便もしくは信書便事業者を利用するのが一般的です。
また、信書はメール便や宅配便などでは送付できません。請求書を信書以外の形式で送付すると、コンプライアンス違反と受け取られることもあるため注意が必要です。
請求書を封筒に入れる前に、再度、記載内容を確認してください。社内チェックできるようにリストを作っておくと、抜け漏れのない請求書を作成できるでしょう。
参考までに、一般的な請求書の記載項目を紹介します。
請求書のフォームを都度作成するのはおすすめできません。テンプレートを作成し、同じフォームで請求書を作成するようにしましょう。
テンプレートを使用すると、必要事項をすべて網羅できるだけでなく、請求書に統一性が生まれます。また、取引先にも見やすいと感じてもらえるでしょう。
インボイス対応の取引先に対しては、適格請求書を発行してください。適格請求書は、次の項目を含む必要があります。
請求書を封筒に入れて送付するときは、送付状を同封しましょう。送付状には、次の内容を記載します。
たとえ請求書1枚だけを送付する場合でも、送付状に「請求書1枚」と記載してください。万が一、同封する書類に抜け漏れがあっても、送付状を同封していれば受取人がそれに気付きやすくなります。
また、送付状は以下を例に作成しましょう。
平素は格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。
下記の書類を送付いたしますので、ご査収のほど、宜しくお願いいたします。
・送付状(本状)1枚
・請求書 1枚
今後とも、何卒宜しくお願い申し上げます。
請求書や封筒は、可能な限りパソコンで作成しましょう。癖のない字で記載できるため、誰にとっても読みやすい文書が完成します。
また、パソコンに送付先の氏名や名称、住所などを登録しておけば、そのままコピーして活用できるため書き間違いを回避できます。相手の氏名や住所を誤ってしまうと失礼に当たるため、正確な請求書・封筒の宛名を作成するためにも、手書きは避けるようにしてください。
しかし、場合によっては手書きにしなくてはいけない状況もあるかもしれません。パソコンの調子が悪いときや、普段はメールに添付しているが今回だけ紙で送るように取引先から依頼されたときなどは、手書きで対応することもあるでしょう。その際は次のポイントに注意して、作成するようにしてください。
それぞれのポイントを解説します。
間違えたときは、修正せずに新しく書き直してください。請求書にペンやテープで修正すると、請求内容の改ざんを疑われてしまいかねません。また、書き直すのが面倒で修正している印象を与える可能性もあります。
なお、封筒も同様に、間違えたときは新しく書き直してください。特に送付先の氏名や名称、住所を間違えるのは失礼に当たります。相手に不快感を与えないためにも、書き直しが必要です。
請求書を作成するときは、計算ミスがないかをよく確認してください。源泉徴収税や消費税の計算、税込み・税抜きの価格など、一つひとつ間違いがないようにチェックしましょう。
多く請求するのはもちろんのこと、少なく請求するのも、相手からの信頼を失う原因になり得ます。悪意がなくても、いい加減な印象を与えかねないため、念には念を入れて計算するようにしてください。
請求書が入った封書であることがわかるように、封筒には「請求書在中」と記載してください。「請求書在中」の文字を枠で囲むと、よりわかりやすくなります。
ただし、手書きの場合、「請求書在中」を囲む枠がぶれてしまうことがあります。定規を使ってまっすぐに線を書くのも一つの方法ですが、かえって不自然になってしまうかもしれません。
上手に書けないときは、「請求書在中」の部分だけスタンプを使用してはいかがでしょうか。最初から枠で囲ったデザインのスタンプなら、簡単に「請求書在中」の文字を目立たせられます。
請求書を紙書類として送付する機会が多い場合、請求書発行システムの導入も検討してみましょう。請求書発行システムは、請求書の作成・発行をワンストップで対応するシステムです。また、メールに添付して送信する場合は、作成・発行・送付のすべてを請求書発行システムで自動化できます。
請求書発行システムを利用すると、税額や合計額などもすべて自動で計算できるため、計算ミスを防げます。請求書作成や発行、計算にほとんど手間がかからなくなり、業務効率化も可能です。
また、請求書発行システムによっては、請求書だけでなく納品書や受領書などの書類作成にも対応しています。取引先の氏名や名称、住所を登録しておけば、自動的に書類に反映されるため、書き間違いがなくなります。相手に不快感を与えることが減るだけでなく、書類の見やすさや税計算の正確性も向上し、企業としての信頼維持にもつながるでしょう。
なお、請求書発行システムで対応できる業務は、システムごとに異なります。どのような業務を自動化したいのか、また、どのような業務に課題を抱えているのかをリストアップしてから、適切なシステムを選ぶようにしてください。
請求書を取引先へ送付する場合「封筒の書き方」「請求書の折り方」「請求書の入れ方」といったポイントを押さえる必要があります。
「請求書在中」は必ず記載しなければならないものではありませんが、取引先への配慮として記載するほうが無難です。そのため、記載時の注意点についても正しく理解しておかなければなりません。
また、最近ではリモートワークの増加や電子帳簿保存法の改正などの影響もあり、請求書の電子化が進んでいます。業務効率化やコスト削減にもつながるため、ぜひ導入してみてはいかがでしょうか。
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