債権回収が難しいときには、代行サービスの利用を検討できます。債権回収代行サービスに委託するメリットと注意点、流れについて解説するので、ぜひ参考にしてください。また、どのようなケースにおいて代行サービスを利用すべきかについても紹介します。
債権回収会社とは、債権の回収が難しいときに依頼する会社のことです。「サービサー」と呼ばれることもあります。
本来、債権は債務者が債権者に支払うものを指すため、債権者が債務者から回収します。しかし、債務者が誠実な対応をしないときや、債務者と連絡をとることが難しくなったときには、債権者は債権回収を専門的に行う「債権回収会社」に債権の回収を依頼することができます。債権回収会社は、法を遵守した上で、的確かつ迅速な債権回収を目指します。
債権回収業務を行う債権回収会社は、法務大臣による許可を受けた株式会社です。債権回収会社が許可を受けるためには、以下のような条件を満たしていることが求められます。
法務大臣による許可を受けずに債権回収業務に携わった場合、債権管理回収業に関する特別措置法に違反したとして3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、あるいはその両方を科せられます。
金融機関や保証会社などの債権者は、債権回収が難しいと判断したときに債権回収会社に債権の回収を依頼します。債権回収会社が利益を得る仕組みには、以下の2つがあります。
それぞれの仕組みについて見ていきましょう。
債権回収会社は、債権者から債権回収の委託を受けたときに手数料を受け取ることがあります。この手数料が債権回収会社の利益です。債権回収会社は債務者から債権を回収する窓口となり、債権者が債権を回収できるようにサポートします。
なお、債権者が債権回収会社に債権回収を委託する場合には、債権者としての権利は移行せず、金融機関や保証会社などの債権者が保有します。
債権者が債権回収会社に債権自体を譲渡するケースもあります。この場合、債権回収会社は債権者から債権を割り引いて買い取り、債務者から債権を回収することで、差額を利益にすることが可能です。
債権回収会社が債権を買い取った時点で、債権回収会社自身が債権者になります。そのため、債務者は元々の債権者ではなく債権回収会社と交渉し、債権を返済しなくてはいけません。
債権回収会社が回収できる債権は、特定金銭債権に該当するもののみです。特定金銭債権には、以下のものなどがあります。
債権回収会社は「債権管理回収業に関する特別措置法」、いわゆる「サービサー法」に則って業務を行わなくてはいけません。
債権回収会社の取り立ての一般的な流れは以下のとおりです。
最初に電話や書面で、債務者に未払金などの請求を行います。この時点で債務者が請求に応じると、回収業務は完了です。
債務者が請求に応じないときは、督促状を内容証明郵便で送付します。内容証明郵便とは日本郵便のサービスで、文書の内容や送付した日時、誰から誰に送付したかということを証明することが可能です。
内容証明郵便で送付する督促状には、新たな返済期限と返済期限までに返還しないときの法的措置の予告について記載します。
法的措置とは支払督促や訴訟の提起などのことです。
支払督促は、金銭、有価証券、その他の代替物の給付に係る請求について、債権者の申立てにより、その主張から請求に理由があると認められる場合に,支払督促を発する手続であり、債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付さなければならず、債権者はこれに基づいて強制執行の申立てをすることができます。
相手方が争う場合、訴訟を提起し、判決を得て、強制執行へと進むことが一般的です。強制執行の手続において、財産の差押えなどを実施することにより債権を回収します。
債権回収代行を債権回収会社に委託するのは、特定金銭債権の回収であって主に以下のような場合です。なお、債権が特定金銭債権でない場合は弁護士に回収を依頼することになります。
それぞれの場合について具体的に解説します。
債務者に返済を請求したものの、返還してもらえないときがあります。債務者と連絡がつかない、債務者が請求を無視するなどのときは、債権回収は困難になるでしょう。債権回収会社に依頼し、債権回収を目指します。
債権回収において、債権者であれば何をしても良いというわけではなく、支払を強要するような行為は、別途犯罪や不法行為となる可能性があります。債権回収の知識や経験がないときは、回収業務に慣れた債権回収会社に依頼するほうが良いでしょう。
例えば、次の者による債権回収は違法行為となります。
債権回収が難しいときや、債権回収に関する正しい知識を有していないときは、債権回収会社への委託を検討するでしょう。この債権回収会社の債権回収代行サービスの利用を検討するにあたって、メリットとデメリットについて理解しておきましょう。
主なメリットとしては以下の5点が挙げられます。
デメリットとしては、次の3点が挙げられます。
債権回収会社は法務大臣による許可を受けた合法な会社です。しかし、債権回収会社を名乗る悪質な業者もあるので注意しましょう。法務省では許可を受けた債権回収会社の社名や代表者、本店所在地、電話番号などの情報を公開しています。委託する前に閲覧し、正規の業者であることを確認するようにしましょう。
正規登録されたサービサー以外の業者に依頼すると、回収せずに委託料金だけを受け取るケースもあります。また債務者に近づき、架空の債権の回収を装ってお金をだまし取るケースも報告されていますので、十分に注意しましょう。
債権回収は弁護士に依頼することも可能です。債権回収会社と弁護士による債権回収では、次の2点において異なります。
それぞれの違いについて、わかりやすく解説します。
債権回収会社が回収できる債権は、クレジット債権やリース債権などの特定金銭債権に限定されます。一方、弁護士は債権の種類を問わず回収依頼を請け負うことが可能です。
債権回収会社への回収を依頼できるのは、基本的には債権回収会社と継続的な取引関係のある金融機関などに限られます。一方、弁護士に回収を依頼するのは基本的に依頼者の自由であるため、個人や金融業者以外の企業などでも依頼できます。
例えば、個人的な貸し借りトラブルを解消したいとき、金融機関以外の企業が取引先から債権を回収できないときなどは、弁護士に依頼するのが通常でしょう。ただし、弁護士は債権回収の手続きを実施できますが、すべての弁護士が債権回収を専門としているわけではありません。弁護士が扱っている業務内容を確認してから依頼するようにしましょう。
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