口座振替は取引先や顧客の口座から自動的に利用料金などを引き落とすサービスであり、事業者と取引先・顧客双方にメリットが多い方法です。
本記事では、口座振替を導入するメリット・デメリットを、事業者と取引先・顧客別に解説します。口座振替の導入がスムーズに行える決済代行サービスも紹介するため、ぜひ参考にしてください。
口座振替とは、取引先や顧客の口座から自動的に利用料金などを引き落とすサービスです。料金を受け取る側にとっては、毎回請求する必要がなく、手間をかけずに集金できます。
また、引き落とされる側は最初に口座登録などの手続きが必要ですが、その後は手続きなしに支払いを済ませることができるので、毎月定期的に発生する料金の支払いが便利になります。
一方、口座振込は自動的には利用できないサービスです。集金する側は、料金が発生する度に利用金額と支払い期限を相手に伝える必要があるだけでなく、期限内に支払われたか確認する業務や、支払われないときは督促をすることも必要になります。
また、支払う側にとっても支払いの度に手続きが必要です。ただし、支払う際に振込先や振込金額を確認できるので、不定期に支払いが発生するときなどには適しています。
口座振込では手数料は支払う側が負担します。しかし、支払う側と集金する側が事前に取り決めをしている場合には、支払う側は手数料を差し引いた料金を振り込むことが可能です。この場合には、集金する側が実質的に手数料を負担することになります。
口座振替は、集金する事業者側と顧客側の双方にメリットがあるサービスです。事業者側のメリットとしては、次の3つが挙げられます。
それぞれのメリットについて解説します。
集金方法としては、口座振替以外にも、口座振込やクレジットカードなどがあります。しかし、口座振込の場合は請求の度に請求書を発行し、顧客や取引先に振り込んでいただく必要があります。
また、クレジットカードの場合は国際ブランドごとに事前登録が必要なため、あらかじめ利用できる国際ブランドの種類を決めておくことが必要です。顧客が対応するクレジットカードを持っていない場合や、そもそもクレジットカードを使っていない方は、クレジットカード払いは選択できません。
しかし、口座振替であれば、請求書の発行や先方に振り込んでいただく必要もなくなり、顧客や取引先の毎月の工数を削減することが可能です。また、基本的にはどの口座でも登録できるので、利用できない方はほとんどないと考えられるでしょう。
このような特徴から、口座振替であれば顧客や取引先の利便性を高めることができます。
口座振替であれば自動的に口座から料金が引き落とされるので、顧客や取引先が「ついうっかり」入金を忘れてしまうことがなくなります。基本的には口座残高不足がない限り、未入金は発生しません。また、未入金リスクが減ることで資金繰りが安定するというメリットも得られます。
口座振替で集金すれば、利用料金が発生する度に請求する必要もありません。顧客や取引先が多い場合は請求業務だけでも膨大な仕事量になるので、従業員の負担を軽減するためにも口座振替を選択できます。
取引先・顧客側が口座振替を導入するメリットとして、次の2点が挙げられます。
それぞれの内容を詳しくみていきましょう。
決済手段を振替にすることで口座振替日に代金が引き落とされるため、取引先・顧客は口座にお金を入れておくだけで支払いが完了します、そのため、支払いのために金融機関やATMに出向く必要がなく、手間がかからないのがメリットです。
会社勤めをしている顧客や、業務に忙しい取引先にとって、その都度支払いの手続きをするのは負担に感じることも多いでしょう。自動で引き落としされる口座振替であれば、その負担が解消します。また、振込手数料を支払う必要がなく、コストを削減できるのもメリットです。
口座振替は、支払い忘れを防げるのもメリットです。その都度支払いをしなければならない場合、忙しいときは忘れてしまうこともあるでしょう。支払いを忘れて催促の通知が届くのは、気持ちの良いことではありません。
口座にまとめて代金を入れておけば、口座振替日に引き落とされるため、支払い忘れを防げます。
口座振替には、デメリットもあります。事業者側のデメリットとして、次の3点が挙げられます。
詳しい内容を解説します。
事業者が口座振替を導入するためには、いくつかの手続きが必要です。まず、口座振替を希望する顧客に口座振替依頼書を郵送して、必要事項を記入のうえ返送してもらうという作業があります。返送された書類をチェックし、記入事項に漏れや誤りがある場合は再度郵送して記入し直してもらわなければなりません。
正しく記入した口座振替依頼書を受け取ったら、金融機関もしくは決済代行会社に送付して申請手続きを行います。
なお、個人消費者向けの場合はWebから口座振替を申し込むことが可能な場合もあります。顧客が事業者のWebサイトにアクセスして手続きを行うため、口座振替依頼書のように書面のやり取りをする手間がありません。記入内容に不備があってもその場で訂正できるため、スムーズに手続きが進みます。
一方、企業間取引の場合は法人名義の口座を使うため、紙による申請を行うのが一般的です。そのため、書類のやり取りという手間が発生する点は把握しておかなければなりません。
口座振替は、入金までに時間がかかるという点がデメリットです。
まず、口座振替の申し込みから引き落としを開始するまで、最短でも1~2ヶ月かかります。それまでに代金徴収の必要がある場合、他の決済手段を依頼しなければなりません。
引き落としを開始してからも、振替を実施した日から事業者の口座に入金されるまで数日間のタイムラグが発生するため、すぐに入金されるわけではありません。
タイムラグの日数は金融機関や決済代行会社によっても異なりますが、約10日前後と考えておくとよいでしょう。仕入代金の支払いなど、支出とのバランスが図れるスケジュールになるよう、事前に調整しておく必要があります。
口座振替は、事業者にとって未回収のリスクがあります。自動引き落としによって支払い忘れを防ぎ、他の決済手段よりは未入金率をおさえることができるかもしれませんが、取引先・顧客の口座に十分な残高がない場合は回収できません。
このようなリスクを少しでも減らすため、振替日を給与日直後にするなど、代金を回収しやすいタイミングに設定するといった工夫が必要です。
取引先・顧客側にも、口座振替のデメリットはあります。主に、次のような点です。
詳しくみていきましょう。
口座振替は取引先・顧客側にとって、開始の手続きに手間がかかる点がデメリットです。最初に書類やWebサイトに必要事項を記入して登録しなければならず、手間がかかります。
ただし、面倒なのは最初の手続きだけで、手続きが完了すればその後は自動的に引き落としが行われます。
口座振替は申し込み後すぐに始まるサービスではなく、開始までに時間がかかる点がデメリットです。引き落としが始まるまでに、通常は2~3ヶ月程度、最短でも1~2ヶ月かかり、それまでは他の決済方法で支払う必要があります。
そのため、すぐに引き落としを開始したい取引先・顧客にとってはデメリットといえるでしょう。
口座振替はメリットの多い集金方法ですが、すべてのケースに適しているわけではありません。例えば、料金が不定期に発生する取引に対しては、口座振替は向かないと考えられます。
また、都度支払い側の承認が必要な取引についても、口座振替以外の方法が良いでしょう。口座振替がおすすめなケースとおすすめの業種について、具体的に紹介します。
塾や習い事の月謝、家賃などは、毎月定額で発生します。その他にも、学期ごとに発生する授業料も口座振替に適しています。いずれも口座振替で自動的に引き落とすと集金側も支払う側も便利になるでしょう。
保険料も、毎月あるいは半年や一年に一回支払うことが一般的です。契約者にとっては、保険料の支払いを忘れてしまうと必要なときに補償を受けられなくなるので、口座振替で支払えると便利です。
また、月々の使用料が発生するサービスを利用するときも、口座振替が適しています。例えば、インターネット回線や電話回線、定期購読の利用料金も口座振替を利用できると、集金する側と支払う側の双方にとって便利です。
利用回数に関係なく定額を支払うサブスクリプションサービスも、口座振替による集金に適したサービスです。例えば、スポーツクラブや動画配信サービスなどの集金には口座振替が適しています。
口座振替で集金するときは、事前に顧客や取引先の口座を登録することが必要です。口座登録には、振替依頼書を使った方法とオンライン経由の方法の2つがあります。
それぞれの手続きの流れを紹介します。
振替依頼書を使って口座振替の登録をするときは、以下の手順で手続きを進めましょう。
振替依頼書のやり取りがあるため、時間がかかります。また、利用者が誤った情報を記入したり、金融機関への届出印と異なる印鑑で押印したりすると、振替依頼書を再度作成してもらうことになるため、さらに時間がかかります。
振替依頼書を使って登録する場合は、書類に不備がなくても口座振替の利用までに1~2ヶ月かかることが一般的です。そのため、口座振替開始時までは振込などで料金を支払ってもらうことが必要になります。
オンラインで口座振替の登録をするときは、以下の手順で手続きを進めましょう。
書類をやり取りする必要がないため、口座振替の実施までの時間を短縮できます。早ければ登録した月から口座振替を実施できることもあります。
また、紙の書類を使わないことで、利用者の個人情報の漏洩リスクが減る点もメリットです。押印する必要がないので、届出印の間違いによる手続きのやり直しもありません。
事業者が自社のECサイトや店舗に口座振替を導入する場合、次の2つの方法があります。
ここでは、事業者が口座振替を導入する方法を解説します。
金融機関と直接契約する場合、事業者が各金融機関と個別に契約を結びます。事前申請を行ったうえで、金融機関ごとに審査を受けなければなりません。
また、直接契約では契約時の手数料と利用ごとの利用料がかかり、高額になるケースも少なくありません。
代行会社・サービスとは、企業と金融機関の間に立ち、一括契約の代行や管理システムを提供する会社のことです。複数の金融機関との面倒な契約や審査をすべて任せ、窓口をひとつに絞れます。口座振替依頼書の不備などトラブルが起きたときも、代行会社に対処してもらえる場合があり便利です。
提携している金融機関が多い会社を選べば、取引先・顧客の利便性も高まるでしょう。また、口座振替だけでなく、他の決済サービスも一括導入できる点がメリットです。
なお、代行サービスを利用する際は、取引先の企業情報や顧客の個人情報を提供するため、セキュリティ対策がしっかりしているかどうかの確認が不可欠です。
口座振替は事業者や取引先・顧客にとってさまざまなメリットがあり、導入によって得られる効果は高いといえるでしょう。しかし、事業者にとっては手続きの煩雑さや未回収リスクなど、デメリットも少なくありません。
そこで、口座振替の導入や請求業務に伴うデメリットを解消できるのが、マネーフォワード 掛け払いです。どのような点が解消できるのか、詳しく解説します。
マネーフォワード 掛け払いは、取引先企業の与信審査から請求書発行、代金回収等の請求に関する一連の業務を代行する企業間後払い決済サービスで、口座振替の導入・切替にも対応しています。
口座振替依頼書の発送から用紙の回収までを代行しており、事業者側で必要な作業は顧客リストを送るのみであるため、手続きにかかる負担を削減できます。
新規取引に際しての与信審査も代行します。高精度な自動審査により、最短1秒での審査結果通知が可能です。
取引先が増える度に与信審査を行うことは企業にとって負担であり、しかも与信審査は定期的に見直しも行わなければなりません。さらに、取引先が増えることで請求書発行や入金管理の業務も増え続けます。
『マネーフォワード 掛け払い』であれば、これらの業務をすべて任せ、業務の負担を軽減できます。
『マネーフォワード 掛け払い』では、未入金リスクも解消できます。与信審査で取引先の未入金リスクを判断するほか、審査を通過した取引については100%入金保証*をするため、「入金遅延」や「貸し倒れ」のリスクがなく、安心して取引できます。
さらに、支払期日の当日に入金があるかどうかに関わらず、売掛金を振り込むことも可能です。また、請求締め日より30日以上かかる売掛金の入金を、最短3営業日に短縮できる「早期振込オプション」もあり、資金繰りの改善を図れるでしょう。
※当社所定の条件を満たした場合に限ります。
口座振替は、集金する事業者側と支払う取引先・顧客側の双方にメリットの多いサービスです。代金が自動的に引き落とされることで、顧客や取引先の利便性を高めます。また、他の決済手段よりは未入金リスクを減らし、請求業務も簡略化できるでしょう。
ただし、口座振替導入の手続きは煩雑であり、金融機関と直接契約を結ぶ場合は個別審査や手数料がかかる点がデメリットです。
デメリットの解消に有効なのが、決済代行サービスの活用です。口座振替の手続き代行だけでなく、請求業務の代行も依頼できます。
『マネーフォワード 掛け払い』であれば、与信審査や請求書の発行・発送、代金回収など、企業間取引の請求業務を依頼できるとともに、口座振替の導入・切替手続きも任せられます。
不正アクセスを防止するIPアドレス制限など、セキュリティ対策も万全です。
口座振替の導入をスムーズに行い、あわせて未入金リスクをなくして請求業務の負担を減らしたい方は、ぜひご検討ください。
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