売掛債権を利用した資金調達は様々ありますが、でんさい割引はご存じでしょうか。こちらの記事では、売掛債権を売却して資金化するファクタリングとでんさい割引には、どんな違いがあるのかご説明します。
まず、そもそもでんさいとは何か、でんさい割引(電子記録債権割引)がどんな資金調達方法なのかをご説明します。
でんさい(電子記録債権)とは、手形を電子記録したものです。もともと日本では、商取引で約束手形を利用した取引が多くありました。しかし、手形の盗難・紛失リスクがある、郵送料がかかるという問題点もありました。手形の問題点を解決するために、でんさいが生まれたのです。
手形は印紙税がかかりますが、でんさいには印紙税がかかりません。もともと手形取引が多い企業がでんさいに切り替えれば、コスト削減にもつながります。
手形を受け取った債権者は、裏書をすることで債務の支払いに利用できます。手形の場合は手形の額面通りの支払いにしかできませんが、でんさいの場合は分割の支払いも可能です。例えば、1,000万円のでんさいを受け取った場合、300万円分だけ他社への支払いに使うという利用の仕方も可能です。
でんさいは、金融機関に譲渡することにより期日より前に現金を受け取ることができます。普段からでんさい取引をしている場合には、事前にでんさい割引にかかる契約を結ぶことにより、前日までにインターネット上で申し込みをすることで資金化が可能なケースもあるようです。
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「ファクタリングと手形割引の違いを解説。それぞれのメリットは?」
でんさい割引もファクタリングも売掛債権を譲渡する点では同じです。ここでは、でんさい割引とファクタリングの違いについて、ご紹介します。
でんさい割引は、でんさいを利用している企業しか利用できません。普段からでんさいで取引していれば、割引の申し込みは簡単にできますし、資金調達までの時間も早いです。
でんさい割引は各金融機関によりサービス内容が異なりますので、サービス内容について知りたい場合はご利用の金融機関に問い合わせてください。
なお、でんさいネットワーク(でんさいネット)とは、全国銀行協会が設立した電子債権記録機関の通称です。全国の金融機関が参加し、電子記録債権の記録や流通に用いられます。個人や法人の利用者が直接でんさいネットワークを利用することはありませんが、金融機関を通して間接的に利用することになります。
ファクタリングは、売掛債権をファクタリング事業者に売却(債権譲渡)することで売掛債権の期日より前に資金化できるスキームです。売掛債権が発生している企業であれば利用できるので、でんさい利用者に限定されるでんさい割引より、柔軟に利用できます。
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「ファクタリングとは?仕組みやメリットなどを図解で解説」
でんさい割引の場合、売掛先企業が支払不能になると、売掛先企業に代わり割引をした銀行に対して弁済する可能性も出てきます。これは手形割引の場合と同じです。
しかし、ファクタリングの場合は売掛先企業が倒産して、売掛債権の決済ができなくなってしまったとしても弁済の義務がない契約がほとんどです。ただし、未回収リスクが高い売掛債権の場合、手数料率が高く設定されたり、審査の結果、買取を拒否される可能性もあります。
でんさい割引は以下の流れで利用します。
申し込み先によっては、10分程度ででんさい割引が可能かどうか連絡してもらえます。ただし、その後、利用者番号の受け取りや書類提出などがあるため、実際に現金として受け取るまでには早くとも1時間ほどかかるので注意しましょう。
審査に通過した場合は、受け取れる金額を見積もってもらいます。見積もりに納得した場合は、利用契約に進みましょう。申し込み先から利用者番号や銀行名などの受け取りに必要な情報が伝えられるので、インターネットバンキングなどに登録しておきます。申し込み先を初めて利用するときは本人確認書類などの必要書類の提出が必要です。
書類提出の完了後、申し込み先に譲渡記録請求を行い、譲渡記録内容に問題がない場合は申込者の指定口座に割引された代金が振り込まれます。
でんさい割引を利用する際には、以下の点に注意しましょう。
それぞれのポイントについて解説します。
もし、でんさいが現金化されるまでに発行人が支払い不能になったときは、譲渡したでんさいを買戻す必要が生じます。また、でんさいの発行元の会社が倒産したときも、譲渡したでんさいの買戻しが求められます。
でんさいの譲渡は、基本的にはオンラインで手続きします。パソコンでの操作が苦手な方にとっては、難しいかもしれません。
操作ができないときは金融機関の窓口に問い合わせましょう。また、金融機関によっては電話で操作方法をサポートしてくれるサービスもあるので、不安なときは利用を検討できます。
でんさい割引の契約は、中途解約できません。現金に余裕ができた場合でも、買戻しは原則として不可となっています。
ただし、でんさいを現金化した債権者が中途解約に同意したときは、買戻しができることがあります。しかし、この場合は手数料が必要になるため、受け取れる代金が当初予定していたものよりも減る可能性があるでしょう。
譲渡先がでんさいを利用していないときは譲渡できません。譲渡するときは、相手側にでんさい受け取りの口座を開設し、登録してもらう必要があります。
なお、受け取り口座の開設と登録には1ヶ月ほどかかることがあるので注意が必要です。譲渡を検討しているときは、相手側にでんさい口座を開設してもらえるように早めに頼んでおきましょう。
ここでは、でんさい割引とファクタリングの審査と金利(手数料)水準についてご説明します。
でんさい割引は、融資扱いになるためファクタリングに比べると審査は厳しくなります。割引料は年利1.5%~5.5%程度です。売掛先企業やでんさい割引の依頼者の信用力を総合的に判断して決まります。
でんさい割引の割引率は3.5~12.0%ほどが一般的です。また、振込手数料や取引にかかる印紙代なども差し引かれるため、実際に受け取れる金額は割引額を差し引いた金額よりも少なくなります。
例えば、額面500万円のでんさいであれば、でんさい割引後に受け取れる金額は494万円ほど(割引率5%、でんさいの残存日数90日の場合)が目安となります。金融機関によって手数料などの諸費用が異なるので、事前に確認しておきましょう。
2者間ファクタリングを利用する場合、申し込みから資金調達までは最短即日から対応してくれる事業者もあります。手数料は、銀行融資やでんさい割引に比べると高いケースがほとんどです。
ただし、最近増えているオンライン完結のファクタリング事業者は、店舗費用や人件費などが抑えられていることもあり、手数率の水準も低くなっています。2者間ファクタリングでも手数料1%~で利用できるケースもあります。
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「ファクタリングのメリット・デメリットとは?」
でんさい割引は、でんさいを利用している場合のみ利用でき、割引料は年利1.5%~5.5%と低く設定されています。一方ファクタリングは、売掛債権がある企業であればどこでも利用可能です。手数料水準はでんさい割引に比べると高めですが、フレキシブルに運用できますし、審査も早いです。そのため、一日でも早く資金化したい場合にはファクタリングをおすすめします。
ただし、ファクタリングは貸金業に該当しないので、中には常識の範囲を超える高い手数料を請求する悪質なファクタリング事業者もあります。もし、どのファクタリング事業者を利用しようか悩む場合には、気になる事業者に問合せを行い、ファクタリングの利用を検討すると良いでしょう。
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