ファクタリングを利用する際には、ファクタリング会社に対して手数料を支払う必要があります。債権の未回収リスクに応じて手数料率は変動し、相場は2者間ファクタリングで1%~20%、3者間ファクタリングでは1%~9%です。(※)今回はファクタリングにおける手数料の相場や、費用を抑えるためのポイントを解説します。
※記載の手数料率はあくまで目安です。ご利用の際は、ファクタリング会社に事前に確認しましょう。
ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、売掛先の支払期日よりも前にキャッシュを得ることができる資金調達方法です。ファクタリング会社は、売掛金の額面金額からファクタリング利用による手数料を控除した金額を、利用企業へと送金します。
ファクタリングを利用するケースとしては、買掛金や従業員の給料などの支払期日が迫っていて、今すぐ手元にキャッシュを確保したい場合や、資金調達の予定はあるけれど、それまでのつなぎ資金が必要な場合などです。
銀行融資では審査に何日も要し、資金が必要なタイミングで借り入れできないケースが多々みられますが、ファクタリングは審査を依頼する手間が融資と比較すると比較的簡便な上、契約形態によっては即日現金化も可能なほど迅速な資金調達方法です。種類としては急な資金が欲しい場合に適した債権買取型のほか、万一の貸し倒れリスクに備える保証型もあります。保証型では、売掛金が未回収に終わった際に、あらかじめ定めた金額の保証金を受け取ることが可能です。
債権買取型ファクタリングには契約方式による分類もあり、利用企業とファクタリング会社のみで契約を交わす2者間ファクタリングと、売掛先も含める3者間ファクタリングに分かれます。
ファクタリングの手数料は契約方式によって相場が大きく変動し、2者間ファクタリングでは高めに、3者間ファクタリングでは低めに設定される傾向があります。両者の具体的な相場や、なぜ手数料が変動するのか解説します。
2者間ファクタリングにおける手数料率の相場は1%〜20%です。手数料率の設定が高い理由は、ファクタリング会社にとって債権を回収できない可能性がより高いためです。
2者間ファクタリングは、利用企業とファクタリング会社との間で契約を結ぶ形式となります。流れとしては、まずファクタリング会社が売掛金から手数料を控除した金額を利用企業に送金し、利用企業は、売掛金の支払期日までに売掛先から支払いがされた後、ファクタリング会社にその金額を送金します。そのため、利用企業が弁済された売掛金を必ず送金するとは限らず、たとえば売掛先から受け取った代金を別の債務の支払いに充当したとしても、ファクタリング会社側ではその事実が分からないのです。
このようなリスクがあるため、2者間ファクタリングは手数料の相場が高くなる傾向にあります。
また、2者間ファクタリングの場合、売掛先にはファクタリングを利用している事実を知らされないというメリットがあります。取引の相手方に売掛債権の譲渡を知られたくないときに有用な仕組みですが、高めの手数料を支払う必要があることはデメリットといえるでしょう。
3者間ファクタリングにおける手数料率の相場は、1%〜9%です。2者間ファクタリングより利率が低いのは、売掛金の弁済先はファクタリング会社になるため、未回収の危険が少ないからです。譲渡契約自体は2者間で行われますが、取引の前に売掛先に対して通知が届きます。
売掛先は債権譲渡の事実を知り、売掛金の弁済先が変更になったことを把握します。2者間ファクタリングと異なり、ファクタリング会社が代金を直接受け取るため、利用企業の支払いに使われる心配はありません。
経営状態の悪化や倒産など予期せぬリスクに備えれば貸し倒れに終わる危険は低いため、手数料が安価に設定されています。
3者間ファクタリングの懸念点は、債権譲渡の事実を売掛先に知らせなければいけないことです。両者の関係性次第では、債権の回収を別の企業に依頼したことを良く思わない企業もあるでしょう。
なぜなら、債権の早期回収を図るケースでは、資金繰りが悪化している可能性も高いからです。経営が傾いているのでは?と売掛先に疑われると、今後の円滑な取引が難しくなる恐れもあります。
以上の理由から、3者間ファクタリングはハードルが高いと思われ、特に中小企業の資金調達では2者間ファクタリングが使われることがあります。
ファクタリングの手数料は利用するファクタリング会社以外にも、売掛先の信用力や売掛金の金額、利用頻度にも左右されます。取引の内容しだいでは、想定以上の手数料率が適用される場合もあるでしょう。ファクタリングの手数料を決める4つの要素について解説します。
ファクタリングの審査では利用企業だけでなく、売掛先の与信調査も実施されます。企業規模や経営状態、実業実績といった売掛先の信用力は、手数料の水準を決める重要な要素です。ファクタリングは問題なく売掛債権を回収できてこそビジネスモデルとして成立するからです。
経営状態が悪い、資金力が低いなどの理由で売掛金の未回収リスクが高い売掛先に対しては、手数料が引き上げられます。手数料率を高く設定して、万一貸し倒れが生じた際のリスクに備えるのです。
上場企業や大手企業の売掛債権ならば、手数料を低く抑えられる可能性があります。信用調査会社が出すデータを使えば、創業年度や資本金、損益など経営実態の把握に必要な企業の基本情報を入手することができます。
売掛金の金額が大きいと手数料が低めに設定されることがあります。手数料は対象の債権額に応じて決まるため、売掛金の金額が大きいほど、ファクタリング会社の報酬も高くなるためです。
同じファクタリング会社でも、債権の金額に応じて、別々の手数料率を設定するケースもあります。たとえば売掛金が100万円以下なら3%、100万円~300万円以下なら5%と段階的に決めることがあります。
また、手数料の決め方は、売掛金の金額の高さとともに回収までの期間も関係します。売掛債権の回収期日までが長いほど未回収リスクも上昇するため、手数料率が高くなる傾向が見受けられます。
過去にそのファクタリング会社の利用実績がある企業のほうが、手数料が低くなることもあります。問題なく弁済を続けてきた証明ができ、信用力が高いと判断されやすいためです。過去のデータを活用して審査時間を短縮できるのも利点です。
よって、ファクタリングを定期的に行う予定がある場合は、同じファクタリング会社を使い続けるのが賢い選択でしょう。。反対に過去の利用時に売掛金の支払遅延を起こしていると、信用力の懸念から手数料は高めに設定されるでしょう。
繰り返しにはなりますが、ファクタリングの形態が2者間か3者間かは手数料の大きな変動要因です。売掛先の信用力が高く、現金化する債権の金額が大きくても、2者間ファクタリングでは想定より高い手数料を設定される可能性があります。ただし、2者間の場合は売掛先に知られないというメリットがあるため、自社にあった形式を選ぶ必要があるでしょう。
ファクタリングの利用時には手数料以外の費用が発生する場合もあります。具体的な項目は登記費用や審査手数料、印紙代、出張交通費などです。
上記はファクタリング会社によって手数料に含むのか、別個で請求するのか扱いが異なります。想定外の費用が生じて損をしたと思わないために、何に費用が生じるのか詳細を把握しましょう。
2者間ファクタリングの場合、法務局に債権譲渡登記を行うための費用を徴収されることがあります。債権譲渡登記とは、買い取った債権の権利がファクタリング会社にあると、対外的に示す手続きです。
2者間ファクタリングは売掛先への通知を要しないため、売掛金を受領する権利が自分にあると支払先に主張できません。そこで、二重譲渡や回収不能のリスクを減らす意図で、債権譲渡登記が行われる場合があります。
申請は法務局に対して行い、申請書の作成や添付書類の作成など実際の手続きは提携の司法書士が請け負う場合があります。
2者間ファクタリングで必ず負担する費用ではなく、ファクタリング会社によっては手数料を引き上げることで、登記をしないリスクに備えるところもあります。債権譲渡登記の登記費用は登録免許税に7,500円、司法書士に支払う報酬に50,000円~100,000円程度必要です。
審査に要する事務的経費を手数料として徴収される場合もあります。目安は数千円程度で金額的には決して大きくなく、ファクタリングの手数料と合わせて支払いを求められるケースが一般的です。
中には、利用者の知識不足をいいことに審査手数料をかさましして、懐に入れるお金を増やそうとする悪徳業者もあります。審査手数料の名目で数万円~数十万円の費用を請求された場合は、何に対する経費なのかを事業者に確認しましょう。
印紙代とは契約書をはじめ、課税文書に該当する書類を作成した際に貼る印紙の購入費用で、ファクタリングの債権譲渡契約を交わす際にも印紙が必要です。
契約金額が1万円に満たなければ非課税ですが、1万円以上では200円の収入印紙が必要です。
印紙税は課税文書を作成した時点で納税義務が生じ、書面の作成者に義務が発生します。しかし契約書は当事者の双方が一部ずつ保管するため、印紙税も両者が折半で負担する場合もあります。そのため契約時には自分の契約書に貼る印紙代が必要だと考えましょう。
最後に紹介する出張交通費は、ファクタリング会社の担当者を自宅周辺まで呼び寄せる際に必要な費用です。依頼したいファクタリング会社が遠方にあり、窓口まで出向くのが難しい場合かつその会社が出張サービスに応じている場合、
会社によっては、担当者の電車賃やタクシーの利用料金などの実費を請求する場合があります。出張交通費はファクタリングの基本手数料に含むファクタリング会社もあり、対応はまちまちです。
利用料金を極力抑えたい場合は、自宅周辺で店舗を展開する会社やオンライン査定に対応しているファクタリング会社の利用を検討しましょう。
ファクタリングにおける手数料率は、法的な規制やルールが存在しません。すなわちファクタリング会社が任意で自由に決められるため、依頼先によっては思わず敬遠してしまう程の高い手数料を提示する場合もあります。
ファクタリングの費用は利用者の工夫しだいで、相場より低めに抑えることが可能です。手数料の負担を減らすためのポイントは次の5つです。
それぞれなぜ手数料を抑えられるか、具体的にどのような点に注意を払うべきか解説します。
複数のファクタリング会社に見積もりを依頼して、手数料を比較してみましょう。実際の金額は与信調査や債権額の大小に応じて個別に決まるため、公式サイトの料金表のみで比較するのではなく、見積もり依頼まで行いましょう。
各ファクタリング会社が公に公開している数字はあくまで目安です。実際には審査手数料や事務手数料を別途請求される場合があります。相見積もりを取れば、総額以外にも何にお金がかかるのか詳細な内訳を把握できます。
依頼したファクタリング会社の対応やサービスに問題がなければ、次回以降も同じファクタリング会社を活用したほうが、審査のスピードや手数料の観点から有利です。最初の会社選定は重要な意味を持つため、相見積もりを取って入念に比較検討しましょう。
ファクタリング会社によっては買取金額に上限・下限を設けている場合があります。売掛金の金額しだいでは利用先に制限が受けることも考慮しましょう。
利用者側で売掛先が信用に足る会社であると証明するための資料を準備しましょう。ファクタリング会社の審査は多面的に行われますが、利益に直結する売掛先の信用力は特に重点的にチェックされます。
売掛金を期日どおりに回収できるかは、ファクタリングを依頼した企業ではなく、売掛先の財務状態や経営状態に左右されるからです。商工会議所のデータベースなどに売掛先の企業について掲載があると理想的ですが、ない場合は過去の契約書や請求書、納品書などを提出しましょう。
継続的に取引があり、請求漏れや売掛金の遅延がないと証明できれば、審査を有利に進められる可能性があります。
手数料の低さを最重視する場合は、3者間ファクタリングの活用を検討してみましょう。ただし、売掛先に対する通知や承諾を得る負担は考慮する必要があります。
また、必要な手続きが多い分、資金調達まで時間がかかる傾向があります。2者間ファクタリングでは即日の現金化も可能ですが、3者間ファクタリングではその日のうちにキャッシュを手元に入れるのは難しい可能性が高いです。
いつまでに資金調達すべきか、売掛先に債権譲渡の事実を知られてその後の取引に影響はないかなどを考慮して利用形態を決めましょう。
売掛金の支払期日が短いほうが手数料を低く抑えられるため、利用者にとって有利に働きます。
売掛金の回収において入金期日までの期間が長い場合、資金繰りの悪化や突発的な災害など影響による倒産リスクが高まるととらえます。売掛先が廃業しては売掛金を期日までに回収できなくなる恐れが高くなるため、入金サイトが長い債権の場合は手数料が高めに設定されることがあります。期日が到来していない債権が複数ある場合は、ファクタリングを利用するのは入金サイトが短いものを選択しましょう。
債権金額が高く、売掛先の規模が大きい売掛金の場合は、費用を抑えて効率的に資金を確保できる可能性があります。
同じファクタリング会社での利用実績が多いと、手数料の割引きも期待されます。新規の利用者に対して一から審査を行うよりも、すでに返済の実績がある企業のほうがファクタリング会社からみても安心だからです。
複数回利用することで、会社ごとに設定している最も低い手数料率の適用を受けられる場合もあります。自社が大手ではない、創業してまだ日が浅い場合でも、ファクタリング会社から信頼を獲得すれば、上場企業と同等の好条件を得られる可能性もあります。
初めてファクタリング会社に依頼する際は、その後も何度か利用することも視野に入れながら会社の選定をするようにしましょう。
ファクタリングの手数料は、売掛先の信用度や売掛金の金額、サービスの利用頻度などによって変動します。また債権の未回収リスクが低い3者間ファクタリングは、2者間ファクタリングと比べて利用料を安価に抑えられる方法です。
ファクタリングの手数料は、売掛債権の金額にファクタリング会社所定の手数料率を乗じて算出します。ファクタリング会社によっては別途、債権譲渡登記の費用や審査手数料を請求する場合もあります。
ファクタリング利用時の金銭的な負担を抑えたい場合は、利用者側で対策を施しましょう。入金期日が短い売掛金を選ぶ、売掛先の信用力を示す書類を提出するなど自ら働きかけると相場より安価で、損なくサービスを利用できるかもしれません。
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