ファクタリング事業者とサービサー(債権回収会社)は、どちらも債権譲渡を伴う可能性のあるサービスを提供している会社です。一方で、双方の違いやどのようなケースで活用できるのかが曖昧な方もいらっしゃるのではないでしょうか。こちらの記事では、ファクタリング事業者とサービサー(債権回収会社)にについて、その違いや特徴をご説明します。
まず、サービサー(債権回収会社)についてご説明します。
サービサーとは、債権を回収する会社のことです。バブル経済の崩壊にともなう不良債権問題を背景に、不良債権処理を促すために平成10年に「債権管理回収業に関する特別措置法」が交付されました。従来は弁護士しか債権回収はできませんでしたが、この法案により法務大臣の許可を得た民間企業でも不良債権を回収できるようになりました。
サービサーは、支払期日が過ぎた不良債権(特定金銭債権)を銀行などの金融機関から買い取ります。金融機関としては、回収不可能な不良債権を回収する業務を手放すことで、本来の業務に注力できるというのがメリットです。
サービサーが回収する不良債権の種類は以下の通りです。
債権放棄をすることにより税金が発生してしまうことが懸念となり、不良債権を処分したくてもできないことが問題になっていました。しかし、サービサーに不良債権を売却すれば、不良債権を税務上の損金として扱えるので無税償却が可能です。債権の回収を何年も待つのは金融機関としても本来の活動に集中できなくなってしまうので、不良債権の額面の数%~数十%と少ない金額に設定して、サービサーへ手放すことが多いです。
多くのサービサーは、金融会社の関連企業です。銀行で回収できなくなった不良債権を関連会社のサービサーに取り次ぎ、買い取ってもらうイメージです。サービサーには、資本金5億円以上、取締役の1人に弁護士、暴力団等排除の仕組みが求められています。また、不動産業系・ノンバンク系・投資銀行/投資ファンド系・政府系/独立系などのサービサーも存在します。
それでは、ファクタリング事業者についてご説明します。
ファクタリング事業者は、売掛債権を買い取る会社のことです。ファクタリング事業者は、期日が確定した売掛債権以外は買い取ることができません。最近では将来債権を買い取るファクタリング事業者も出てきましたが、期日が過ぎた債権は買取できないということは覚えておきましょう。
ファクタリング事業者は、売掛債権の支払い期日より前に、売掛債権額から手数料を差し引いた金額をファクタリング利用者の銀行口座に振り込みます。
そして売掛債権の支払い期日には、2者間ファクタリングの場合は、売掛先企業から支払われた売掛債権額をファクタリング利用者からファクタリング事業者へ振り込みます。3者間ファクタリングの場合は、売掛先企業からファクタリング事業者へ直接振り込まれます。
ファクタリングの魅力は、銀行融資に比べると資金化までのスピードが早いことです。銀行融資の場合、新規で融資を依頼すると格付から始まり、融資の審査、契約、融資実行までに早くても2週間~1カ月程度かかります。不動産担保の設定などがあれば、それ以上になることもあるでしょう。しかし、ファクタリングの場合は最短即日~2週間程度で資金化が可能です。突発的な資金ニーズが発生した場合の迅速な資金調達にはファクタリングを検討してみるのも一つの手です。
銀行融資の場合、主に融資を依頼する者の財務状況で融資の可否を判断します。そのため、財務状況が悪かったり、赤字が続いていたりする場合には融資を受けることができないケースもあります。
一方ファクタリングの場合は、売掛先企業の信用力や売掛債権の実在性を加味します。ファクタリング利用者とファクタリング事業者で契約を結ぶ2者間ファクタリングの場合、売掛債権の回収時に一旦売掛金はファクタリング利用者の口座を通します。そのため、いくら売掛先企業の信用力が重視されているとはいえ、ファクタリング利用者の財務状況を全く確認しないということはできません。しかし、売掛先企業の信用力によってはファクタリング利用者が赤字であっても、利用できるケースもあります。
▼より詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考ください。
「ファクタリングとは?仕組みやメリットなどを図解で解説」
サービサーとファクタリング事業者は全く異なる形態です。期日が過ぎた不良債権はサービサーでしか買い取ることはできません。逆に、サービサーは売掛債権を買い取ることは不可能です。ファクタリング事業者とサービサー、双方の違いを理解した上で、自社の課題に適した方のサービスを利用するようにしましょう。
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