「掛売(かけうり)」とは、契約に基づく代金後払いの方法です。類似する言葉である「売掛」との違いや、掛売が用いられる場面、メリット・デメリット、後払いにした代金を回収する方法を紹介します。
掛売(かけうり)とは、契約に基づく後払いの売り方です。商品やサービスを提供したときには代金を受け取らず、後日、契約で定めた日までに受け取ります。
掛売は、請求側にとって利便性の高い売り方です。たとえば、月に何度も同じ相手に商品・サービスを提供する場合、本来であれば提供するたびに代金の受け取りが発生します。
しかし、掛売であれば月に1度や2週間に1度のようにまとめて受け取れるため、代金をやり取りする回数を減らせます。また、購入側にとっても利用しやすいため、購入頻度の増加も期待できるでしょう。
つけ払いも掛売と同様、後払いの売り方です。しかし、つけ払いは正式な契約を交わさず、口約束で成立する点が異なります。そのため、企業間の取引ではあまり用いられません。
売掛と掛売はほぼ同じ意味の言葉で、いずれも契約に基づく後払いの売り方を指します。売掛・掛売を実施したときは、簿記上では「売掛金」の勘定科目を使って仕訳をします。
売掛と掛売は意味はほぼ同じですが、場面によって使い分けることもあるため注意が必要です。掛売は商談をする際に用いる傾向がありますが、売掛は代金を回収できていない状態で用いられることがあります。
掛売は、代金を後払いで受け取ることを前提とした売り方です。契約に基づいて販売するため、紙もしくは電子的に契約書を発行して取引を進めていきます。
主な掛売の方法としては、次の2つが挙げられます。
請求書払いはBtoBで、クレジットカード払いはBtoCで使われることが一般的です。それぞれの特徴や利用の流れを紹介します。
請求書払いとは、後払いの取引について販売側が請求書を発行し、請求書に記載された日までに購入側が支払いを完了させる方法です。後述する掛売のメリットを活かせる方法として、企業間でよく用いられています。
請求書払いでは、取引が発生するごとに請求書を発行するのではなく、1ヶ月程度の期間を設定し、期間内で生じた取引をまとめて請求することが一般的です。販売側にとっては都度請求書を発行する手間が省けるというメリットがあり、購入側にとっても都度支払いをする必要がない点はメリットといえます。
クレジットカード払いは、購入者がクレジットカードで支払い手続きをすると、クレジットカード会社が一定期間内に発生した取引をまとめて購入側に請求する方法です。販売側は、クレジットカード会社から代金(クレジットカード会社に支払う手数料を差し引いた金額)を受け取るため、購入側に直接支払いを請求する必要がありません。
請求書払いと比べると手数料が差し引かれる点はデメリットといえますが、購入側に直接請求をする手間が省ける点や、クレジットカード会社がクレジットカード発行時に利用者の審査を実施しているため、販売者側が審査をする必要がない点はメリットといえるでしょう。
掛売は、販売側・購入側の双方にとってメリットのある方法です。企業間取引で利用される請求書払いを例に、販売側と購入側に分けてメリットを紹介します。
販売側の主なメリットは、以下をご覧ください。
掛売では一定期間内に生じた取引をまとめて請求します。取引が発生する都度、請求する必要がなくなるため、請求業務が簡便になるでしょう。
また、都度請求する場合は、入金確認もその度に実施しなくてはいけません。掛売であれば入金確認もまとめられるため、業務効率が大幅に向上するでしょう。
販売機会を増加できる可能性があるのも、掛売のメリットといえます。掛売であれば、手元に資金がない相手にも販売できるため、購入側に「購入しやすい」と感じてもらいやすくなります。購入への心理的なハードルが下がることで、購入頻度が増え、売上増につながる可能性があります。
購入側の主なメリットは、以下の通りです。
その場で支払うことができない場合でも、請求書に記載された日までに支払うことができれば購入が可能です。「必要だが今すぐには資金を調達できない」といった状況でも、商品やサービスを購入できるのはメリットといえるでしょう。
また、何度も頻繁に取引が発生する場合であれば、都度支払わなくてよい点もメリットといえます。手間が省けるだけでなく、帳簿もシンプルになり、お金の流れを把握しやすくなるでしょう。
メリットの多い掛売ですが、いくつか注意すべき点もあります。デメリットになり得るポイントを、販売側・購入側に分けて紹介します。
販売側の主なデメリットは、次の通りです。
請求書に記載された日までに購入側が支払わない可能性があります。督促を実施する手間がかかるだけでなく、購入側が倒産などの危機的状況にあるときは、回収できないかもしれません。掛売では複数の取引をまとめて請求していることが多いため、被害が多額になることもあります。場合によっては自社の資金繰りに影響が生じることもあるでしょう。
未回収リスクや貸倒れのリスクを回避するためにも、与信審査を実施し、購入側の経営状況などについて調べておくことが必要です。しかし、与信審査には時間と費用がかかるため、販売側の負担となる可能性があります。
購入側のデメリットは、以下の通りです。
掛売は信用をベースとして成立している売り方・買い方です。期日までに支払えない場合は信用を失い、取引そのものの継続が難しくなる可能性もあります。
購入側は期日にさえ遅れなければ問題は生じないため、掛売はメリットの多い方法といえます。一方、販売側にもメリットは多くありますが、デメリットも多いため、何らかの対策が必要です。
特に注意したいのが、未回収リスク・貸倒れリスクです。代金を正しく回収するためにも、次の方法も検討できるでしょう。
それぞれの方法を解説します。
ファクタリングとは、未回収の売掛債権を買い取るサービスのことです。
請求書の期日前に代金(本来の代金からファクタリングの手数料を差し引いた金額)を受け取れるため、自社の資金繰りの調整が必要なときや、購入側から代金を回収することが難しいと思われる場合にも利用できます。
請求代行サービスとは、請求業務を代行するサービスのことです。請求書の発行から送付、代金回収や入金確認、督促をすべて一貫して任せることができます。中には取引相手への与信審査を実施しているサービスもあるため、未回収リスクの軽減につなげることができるでしょう。
掛売はメリットの多い売り方ですが、販売側にデメリットが多い点に注意が必要です。利用するときは購入側に対して与信審査を実施し、未回収や貸倒れのリスクを減らしておくようにしましょう。
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